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バイモの終盤 斎場山 513m(長野県)

2024年 4月25日(木)


3月に一度出かけた。バイモはまだだが、福寿草が咲いているだろうと出かけてみた。ところが、3月に降った雪は松代あたりにも多かったようで、登り始めた最初のカーブでずるりと滑った。カチカチに凍っていないのがむしろ始末に悪く、もちろんスノータイヤに4輪駆動で走ったのだが、タイヤは空回りする。道は細くて急、片側は側溝があり、反対側は急な斜面になっている。私は車を降りて、「右、そのままゆっくり、ストップ!」などと案内する。何度も切り返してかろうじて脱出できた。

あれから1ヶ月、いつの間にかバイモは満開になったらしい。今年は会えないかもしれないと思っていたが、朝の雨が止んでなんだか晴れてきそうだ。今日は予定もないので、行ってみようか。

松代に用があったので、松代から高速道路沿いに南下、3月に苦労した道を難なく登って妻女山展望台の駐車場に車を停める。いつもは我が家の一台だけということも多いのに、今日は満車に近い状態だ。数日前の新聞に陣場平のバイモが紹介されていたからか。いつもは貸し切り状態の山道を、数人の人が後になり先になり歩いている。新聞効果はすごいんだねぇと言いながら、静かな山が好きな私たちはちょっと選択を誤ったかなどと思っている。

もう少し早く来ていればバイモの最盛期に会えたのだけれど、おそらく今日はもうかなりの花が萎れてしまっているだろう。

道沿いを飾っているシロヤブケマンも終わっているのが多いけれど、それでも白に紫の彩りが可愛く開いているものもたくさん見える。陣場平に近づいていくと、クサボケの赤も道を彩っている。

photo:シロヤブケマン:斎場山
シロヤブケマン

山は新緑に覆われてきた。桜の花びらは吹雪になって舞っている。見上げると若葉の色はなんという華やかさだろう。黄色がかったもの、赤っぽいもの、若緑、深い青緑、春の緑は実に豊かだ。

新緑の中を陣場平に登っていく。バイモの広がりが見えてくると、数人の人の姿も見える。「あ、林さんがいるよ」と夫。林さんは新聞にも載っていたが、ここのバイモを発見し、仲間の人たちと一緒に保護してきた人。保護するだけではなく群生地を広げているそうだ。私たちはここで数回会って、いろいろな話を聞いている(※)。林さんはやってくる人にバイモの説明をしているようだ。

photo:バイモの群落:陣場平
バイモの群落

photo:バイモ:陣場平
まだ咲いていた

さて、バイモの花は・・・やはり終盤だ。バイモは一つの茎にいくつもの花をつけるが、下の方から萎れている。かろうじて一番上の数個がまだ花開いている。一面淡い黄色がかった緑のバイモが満開で揺れている様も綺麗だが、萎れかかった花は赤色が混じったように見え、その色の広がりもまたなかなか面白い。

photo:バイモの花:陣場平

photo:バイモの花:陣場平

photo:バイモの花:陣場平

photo:バイモの花:陣場平

バイモの花

これまで、芽吹きの頃、咲き始めの頃、そして満開の時と、何度か見てきたけれど、終盤の姿もいいねぇと、これは負け惜しみではない。小さな実もできている。

photo:バイモ:陣場平
虫の冬の棲家インセクト・ホテル
円内はバイモの実

photo:バイモ7枚花:陣場平
花びらが1枚多い(7枚)花

photo:新緑の中の山椒摘み:斎場山
新緑の中の山椒摘み

バイモの群落の中にいるのは気持ち良いのだが、人が多いところはあまり好きではない。私たちは天城(てしろ)山への登山道を先へ進む。少し遅めに出てきたので、もうお昼時だ。登山道の途中に千曲川が見下ろせるところがあるので、そこでおにぎりを食べよう。森の真ん中に座っておにぎりを頬張る。地形の関係か風が強いが、木の下なので大丈夫。クマンバチが地面スレスレに飛んでいくのは風当たりを避けながら風に向かって行きたいからだろうか。見あげると山桜の花の残りが風に舞って踊っている。

photo:千曲川を見下ろす:陣場平
千曲川を見下ろす

photo:千曲川を見下ろしながら:陣場平
千曲川を見下ろしながら

photo:ハナヤスリと、ヒナスミレかな:陣場平
ハナヤスリと、ヒナスミレかな

しばらく森のポケットのようなところでのんびりしてから再び陣場平に向かう。途中山椒の若葉を摘みながら歩くので、ちっとも進まない。ここは山椒の畑のように道沿いに続いている。今日の夕食は山椒味噌だ。

photo:サンショウの森:陣場平
サンショウの森

photo:夕食のお供は山椒味噌:陣場平
夕食のお供は山椒味噌

陣場平にはまだ人が多かった。入れ替わり立ち替わりやってくるのだろう。林さんは忙しそうだ。私たちは奥の方に満開になっているズミの花を見てから降る。

photo:ズミ:陣場平
ズミ

さて、ここまできたらやっぱり斎場山に登ってから帰ろう。ミヤマウグイスカグラは満開だったが、ガマズミはまだ蕾が多い。それでも真っ白い花を開き始めたのがある。斎場山の最後の登りはウワミズザクラの屋根の下だ。純白の小さな花がたくさん、穂のようになって揺れている。

photo:ウワミズザクラ:陣場平
ウワミズザクラ

photo:新緑の道を斎場山へ
新緑の道を斎場山へ

花を見ながら斎場山に登り、あとは緩やかにゆっくり車に戻ろう。駐車場は桜の名所だが、今は葉桜、代わりに大きな胡桃の花がぶら下がっている。太い花穂は雄花、そしてその上にちらっと見える赤いのが雌花。

胡桃の花を見上げながら帰り支度をした。

photo:オニグルミ雄花と雌花(赤):妻女山
オニグルミ雄花と雌花(赤)




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