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春を探して斎場山 513m、天城山 694m、大塚古墳(長野県)

2022年2月9日(水)


立春だ。暦の上では春到来、しかし庭には一面に積もった雪がまだ深い。雪かきをして積み上げた北側の雪溜まりは1.5mくらいのピラミッドになっている。しかも、まだまだ雪の予報は続く。明日からは南岸低気圧の発達による大雪という予報、長野ではそれほど影響はないかと思うが、侮れない。

今日は青空が広がっている。こんな日は山へ春を探しに行こうと、朝7時過ぎに家を出た。目的地は松代の南、鏡台山につながる尾根の先端の山、斎場山。入り口の妻女山展望台は桜の名所、車で登ることができるけれど、雪が残るジグザグの道は怖いので、なかなか足が向かなかった。

photo:雪が積もった妻女山駐車場
妻女山駐車場には愛車のみ

photo:駐車場から山へ向かう・妻女山駐車場
駐車場から山へ向かう

ようやく晴れた日が続き、道も走りやすくなったのではないだろうかと話していた時に、ネットで福寿草が咲き出したという記事を見つけた。よし、行こう。

地図:斎場山・天城山

photo:虫倉山(右)と、雲に隠れたアルプス・妻女山から
虫倉山(右)と、雲に隠れたアルプス

同じ長野市内でも、川中島や松代方面にはあまり雪が残っていない。だが、問題のジグザグ道は凍っていた。日が当たるところには雪がないのに、残っているところは轍の跡がそのままに凍りついている。なんとか上の展望台の駐車場に到着。ここで靴を履き替え、歩き出す。北アルプスのあたりには雲がたなびいていて残念ながら稜線が見えない。

さて、まずは斎場山にご挨拶。凍りついて轍が深く抉れている林道を登って行く。左に鏡台山まで続く峰を分け、薬師山へ向かう右の道を進む。わずかに登ると、『五量眼塚古墳 上杉謙信陣営跡』と案内がある。この上が斎場山(妻女山)の山頂だ。眼下に善光寺平が見下ろせるのだが、茂ってきた木々の枝が邪魔している。

photo:斎場山(妻女山)山頂へ
斎場山(妻女山)山頂へ

photo:斎場山(妻女山)山頂
斎場山(妻女山)山頂

ここで夫は軽く朝食をとる。その間に私は少し下ったところにある針葉樹の森まで行ってくることにした。ヒノキか、濃い樹影が周囲の落葉樹の中で際立っている。

photo:緑濃い針葉樹の森・斎場山
緑濃い針葉樹の森

photo:葉裏がYに見えるのはヒノキ? 斎場山
葉裏がYに見えるのはヒノキ?

斎場山の下で夫と合流、今度は稜線を天城山(てしろやま)に向かって進む。まだ雪が残る森は静かだが、この下では「もうすぐ春だよ」と、花々が囁いているような気がする。枝に見えるのは昆虫の蛹、繭などの痕跡。今年は周辺の山でウスタビガの繭がとても少ない気がしていたが、今日は道の脇でも6個体ほど見ることができた。

photo:いろいろな形の昆虫の蛹や繭,スカシダワラ,ウスタビガ,クヌギエダイガフシ・斎場山,天城山
昆虫の宿はいろいろな形

photo:陣場平はまだ一面の雪・斎場山,天城山
陣場平はまだ一面の雪

少し登ると左に陣場平が広がっている。陣場平は、日当たりが良さそうだが、まだ雪に覆われていた。ここに咲くバイモを見るために、何度も足を運んでいるが、今年はまだまだ先だ。

陣場平の端にある菱形基線測点のあたりは土が出ていた、この辺りだけ日があたるのだろうか。そして、何度来ても首をかしげる『神奈川県』の山火事注意の標識。ここへ来ると一回神奈川にワープするのが面白いと二人で笑う。

photo:山火事注意の標識,菱形基線測点・陣場平,斎場山,天城山
なんだか面白い陣場平


雪野原の陣場平を後に、堂平大塚古墳に向かう。コゲラやシジュウカラが枝を飛び交っている森の中の道。古墳はこの道を少し下ったところにある。この辺りに福寿草が咲くそうだと話しながら古墳の入り口に礼をして周囲を見回すが見つけられない。まだ日が射さないから開いていないのかもしれない。

photo:陣場平はまだ一面の雪・斎場山,天城山
陣場平はまだ一面の雪

photo:カシワの落ち葉・斎場山,天城山
カシワの落ち葉

ここじゃないのかなと話しながら稜線の方に戻る。でも諦めきれずにさらに上の林道をしばらく進むが、人が歩いた痕跡も途切れ、やっぱり違うみたいだと引き返す。多くの木々は葉を落としているが、ヤマコウバシは春まで葉を残す。明るい茶色が日に輝いて美しい。

福寿草は見られなかったけれど、折角来たからもう一つ上まで登ってこようかと天城山を目指すことにした。林道から左に分かれ、山道を登る。笹が現れるが、すぐに終わって落葉樹の森になる。所々日当たりの良い斜面の雪が溶けて、落ち葉の堆積が顔を出している。柏の葉がたくさん積もっているのを見て「お柏が食べたくなったね」などという私たちは相当の甘党だ。

photo:千曲川と高社山・斎場山,天城山
千曲川と高社山

photo:木々の隙間から爺ヶ岳の山頂・斎場山,天城山
木々の隙間から爺ヶ岳の山頂

photo:雪の斜面をトラバース・斎場山,天城山
雪の斜面をトラバース

途中展望が開ける場所があり、千曲川の青い水面の向こうに高社山が綺麗に見えた。アルプス方面は木々の枝の間からチラチラ見える。遠くの雲は横に筋を引くようにたなびいている。雲はアルプスより手前にありそうだが、稜線は隠れている。しばらく登るとわずかに視界が開けた。爺ヶ岳が大きい。鹿島槍ヶ岳はまだ頭を隠したままだ。

山道に入るまでの林道は、日当たりの良いところの雪が溶け出していたが、さすがに山道に入ってからは雪ばかり。斜面をトラバースするような登り道は思いがけず急だ。ここへ来たのはもうずいぶん前になるから(※)忘れている。

(※山歩き・花の旅40 斎場山、天城山、鞍骨山

photo:天城山一つ手前のピークで着替え・天城山
天城山一つ手前のピークで着替え

「そろそろじゃない?」と一つのピークに登ってみたが、狭い岩の上はまだ山頂じゃない。ここで汗びっしょりになった夫は着替えをする。

さっぱりしてもうひと頑張り、ついに天城山山頂に着いた。ここには坂山古墳があり、深く掘られた跡には雪が溜まっている。そしてその脇には『パワースポット』と書かれた標柱が立っている。「ここ、パワースポットなんだ。前に来た時にも書いてあった?」と私。「忘れているだけじゃないの」と冷めた夫。

photo:天城山山頂・坂山古墳
天城山山頂(坂山古墳)

photo:唐崎山へ続く尾根は雪がない・天城山
唐崎山へ続く尾根は雪がない

photo:雪の稜線をどんどん降る・天城山
雪の稜線をどんどん降る

さて、今日はこの辺で引き返そうか。心残りの福寿草はまた今度と、呟きながら来た道を戻る・・・はずだった。下りは怖いからと軽アイゼンを装着、歩き始めたら雪がなくなった。あれっ、登る時は雪道だったよね。自分達が登った道じゃないところから降りてみようなどと遊び心を起こしたのが間違い。一つ南の尾根を降り始めていた。もう一度登り返して、本来のコースに戻る。時間はたっぷりあったし、お天気は良いし、慌てなくて済んだ。そして一つ尾根が変わるだけで雪の残り方が全く違うことにも驚いた。

さぁ、そろそろ本当に帰ろうか。足元に気をつけながら一気に降りる。大塚古墳の入り口を横目で見ながら陣場平の下の入り口あたりまで歩いた。福寿草に後ろ髪が引かれる思いの私は、雪道に残る新しい足跡を見つけ「誰か、私たちの後に登ったみたいだね」と話す。夫が返事をするかしないかというところで後ろから来た男性に気づいた。挨拶をし、言葉を交わす。大塚古墳にも行ったことを話すと、「福寿草を見ましたか」と聞かれた。見つからなかったと答えると、「たくさん咲いていますよ」と、詳しい場所を教えてくださった。

photo:雪の稜線をどんどん降る・天城山
陣場平の近くで林さんと 掲載の了解を得ています

陣場平のバイモのことなど話すうちにその男性が林さんだということがわかった。実は今回の福寿草の情報は林さん主宰のブログによるもの。ご本人なのだから、それは正確な情報だ。

私たちが長野に引っ越してきて、近隣の里山に登ろうと思った時に、里山を紹介する資料がとても少ないことに気づいた。そんな時に『信州の里山トレッキング<東北信編>川辺書林2015.7.10初版』が出版された。すぐ購入し、この本を見ながら幾つもの山に登った。その著者が林盛幸さん、今目の前に笑顔で立っている方。びっくりだ。

林さんのブログ『モリモリキッズ』の情報も山歩きの参考にさせてもらっている。そして、ここで林さんにお話しするのを忘れたが、夫が興味を持っている粘菌の情報もずいぶん役立たせてもらっている。

十数分の立ち話だったけれど、長野周辺から新潟に至るまでのさまざまなお話を聞くことができた。とても嬉しい時間だった。

帰って行かれる林さんと分かれて、私たちは再び大塚古墳に向かう。春を探しにきたのだから、見つけなくちゃ。

photo:堂平大塚古墳・天城山
堂平大塚古墳

photo:鹿島槍ヶ岳が見えてきた・堂平大塚古墳
鹿島槍ヶ岳が見えてきた

福寿草は咲いていた。落ち葉を押し分けるように地面から顔を出す姿は春そのもの。花びらは空に向かって大きく開いている。太陽の光を一身に浴びて輝いている。

見つけた、見つけた、春だと心の中で繰り返しながら駐車場に向かった。林さんに会えたおかげだねと、夫と頷き合いながら。

photo:フクジュソウ・堂平大塚古墳
フクジュソウ

photo:フクジュソウ・堂平大塚古墳
春を告げるフクジュソウ




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