4月1日地附山公園が春の開園日を迎えたが、新年度の用がいろいろ重なって地附山に出かけられなかった。6日、ようやく地附山公園に向かう。公園の駐車場に車を停め、ミニ山野草園を見ていると西澤さんがやってきた。嬉しそうに山野草の説明をしてくれる。しばらく話してから私たちは山へ入る。
花を探しながらゆっくり歩き始める。ダンコウバイが森を明るく染めている。こんなにダンコウバイの木があったんだとびっくりするくらい森は黄色に染まる。
山頂で飯縄山を見ていると、地附山愛護会の方たちがやってきて飯縄山の種まきおじさんの雪形を指さして話している。昔は山の斜面に残る雪の形、あるいは雪が溶けて出てきた形を見て農作業などをしていたという。自然に寄り添った暮らしだったのだろう。山道はまだ茶色一色。
夫は町内の仕事があるので、一人で裏山へ出かける。大峰沢から上がり、歌が丘からのコースを歩く。このコースにはシュンランが多いので楽しみだ。そろそろ花が咲いているだろう。登っていくといる、いる。シュンランの花は地味な薄緑色なうえに葉叢の中に隠れるように咲き出すので、意外と見落としてしまうことが多い。おまけにヤブランと似た葉なので、間違う人も多い花だ。タチツボスミレも咲き出した。ようやく動き始めた山の花を探しながら登っていくと、あっという間に大峰山山頂だ。
山頂に登る前にふと見ると、大きな倒木に白いプツプツが付いている。キノコかなと思いながら近づいてみると、どうやら粘菌らしい。未熟子実体だろうか、茶色くツヤツヤとしたものもある。黒い髪の毛のような柄がついている。夫へのお土産に写真を撮ってから山頂へ上がる。
オオミスミソウが満開だ。斜面が白くなっている。盗掘されず、増えていってほしい。以前ここで盗掘の痕を見つけたときには悲しくなった。
大峰山から地附山へ向かう。ショウジョウバカマはまだ蕾ばかりだが、葉の先に小さな芽を出しているのを見つけた。次の世代にうまく繋げてほしい。
さぁ、地附山の山頂から飯縄山を眺めてから家に帰ろう。
前日、山頂近くで見つけた粘菌の写真を見せると、案の定夫は「見に行こう」という。空は薄曇り、夕方から雨の予報。今日は伊勢社から上がって、物見岩を通っていこう。午前中の用を済ませ、遅めに出かけてきたので、物見岩でおにぎりを食べる。幸い空は雲が薄く明るい。
ずいぶん花開いてきたシュンランを見ながら山頂へ向かう。こちらから登ると山頂を越えたところに粘菌は活動している。
山頂はオオミスミソウが見事だから、しばらく見惚れてから先へ進む。
ところが、昨日は白く光っていた粘菌が見えない。よくよく見ると、みんな茶色から黒っぽい色に変化している。やっぱり変形菌と言われるだけあって、活動の変化が早いようだ。
夫が撮影していると、ポツリ、水滴が落ちてきた。あっという間に雨の雲が被さっていた。ポンチョを広げた下で少し撮影をしてから急いで帰る。
下の方を見ると、街は明るい。山にだけきた雨らしい。場所によってほとんど当たらないところもあるようだ。ポンチョを着ていると暑いので、脱いでひっかけ、地附山に登る。ぽつりぽつりと当たる水滴は火照った体に気持ち良いくらいだ。
だが、洗濯物も出してきたので、急いで帰ろうか。
夫は午前中、私は午後から用があったが、お天気だ。午前中だけ地附山に行ってこようと一人家を出る。久しぶりにタツネ坂から登ってみよう。沢には堰堤が築かれているが、いつも乾いていた。ところが水路からは勢いよく水が噴き出している。堰堤に上がると、濁った水がいっぱいに溜まっている。春先になってからの降水量が多かったからだろう。
この森にナニワズの木があったと見回すが、もう花は終わったか、ノイバラの棘ばかりが目立つ。スミレがたくさん咲いているのが嬉しい。スミレはたくさんの種類があるらしいがそっくりさんが多くてよくわからない。以前、地附山でタチツボスミレにそっくりだけれど、側弁に白い毛が生えているのを見つけた。スミレの同定は難しい。
坂を登って駒弓神社にお参りして歩き始める。タツネ坂からの道は昔の駒弓神社への参道だったらしいが、今では荒れた道だ。
しばらく登ってから藪の道に入って粘菌を探してみるが、まだ眠っているのか、見つからない。ショウジョウバカマがずいぶん花開いてきた。
山頂から飯縄山を見るのはいつもの楽しみ。下りの森の中で妙なものを見つけた。人間が作ったものでなければ、動物の骨かもしれない。写真を撮って帰って夫に見せよう。
地附山で見つけた何だか変なものを見てみようと、車で向かった。帰りは日用品を買ってこようという。
公園から歩き始める。緩やかな斜面に植えられたカエデが一斉に芽吹き始めた。ほんわかとした芽吹きの色は美しい霞のようだ。見上げると一本高いところに赤くなっている木がある。カジカエデの花が咲いている。イケさんが「遠すぎてよく見えない」と嘆きながらも嬉しそうに見上げていたのを思い出す。「今年も咲いたよ」と心の中でつぶやく。
いつもと違うコースで歩こう。先日見つけた骨のようなものを見てから行こうと、森の中を進む。ハリギリのトゲが面白いと近づいたら、そこに昆虫がいた。じっと動かない。よくよく見ると、木に止まったまま標本のようになっている。雪が降ってもこのまま止まっていたのだろうか、やっぱり自然は面白い。
たった一週間の間にも森は賑やかになっている。蕾が膨らみ、葉が開いてくる。チョウジザクラはあまりないが、オクチョウジザクラはたくさん「ここにいるよ」と教えてくれる。昨年この違いを勉強した時もイケさんと一緒だった(※)。 地附山へ登る時はいつもイケさんと一緒だねとつぶやきながら、森の中を歩いていた。