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金峰山 2599mから朝日岳 2579m、国師ヶ岳 2592m(山梨県、長野県)

1974年 11月22日(金)〜24日(日)

 使用した写真は一部を除いて当時のフィルムカメラで撮ったプリント写真をスキャンしデジタルデータ化したものです。

photo:金峰山山頂で:地附山
金峰山山頂で 1974.11.23

昔々の山歩きを思い出す。山はそこにあって、変わらない(ように見える)。金峰山に登ったのは社会人になってすぐだった。休みが続けば夜行列車に乗り、ワクワクしながら山へ向かった。私が登った時の標高は2595mとメモしてあるが、1991年の調査で現在の標高2599mとなった。

金峰山に登りたいと思ったが、雪の様子も気になり躊躇してしまう。きっかけがなんだったか忘れたが、川上村の役場に電話して状況を聞いてみた。役場の人の親切な案内で、川上村から山へ入ることにした。

map:奥秩父と周辺の山々
奥秩父と周辺の山々

map:金峰山周辺の山々

photo:金峰山小屋の前で
金峰山小屋の前で

東京方面から金峰山への登山は一般的には韮崎から瑞牆山荘経由が多いと思う。わざわざ山を回って長野県側から入る人は少ないだろう。

小海線の信濃川上駅から大深山遺跡の下を千曲川に沿って登り、川端下を目指す。川端下から金峰山川を遡り、西俣沢へ入る。この道中を役場の車に乗せてもらった。ちょうど金峰山小屋に届けるものがあり、そこへ登る人がいるというので便乗させてもらったのだ。無料でガイドさんについてもらったような、なんとも贅沢な登山の初日だった。小川山、瑞牆山を見上げながら辿る沢沿いの道の下の川べりを熊さんが歩いていた。かなり距離があったのと、慣れた山男が一緒だったから怖くはなかったが、熊は黒くて大きかった。

photo:霧の中に霧氷が輝く:金峰山
霧の中に霧氷が輝く

かなりガツガツ登っていく。雪の量はそれほど多くないが、登るにつれ樹高が低くなり、枝に氷が張り付いてキラキラ光っている。山肌一面に白い芸術の広がり。霧氷というのか、どこまでも白く光っている。

この日泊まる予定の金峰山小屋にはかなり早い時間に到着したので、山男のお兄さんに案内してもらって山頂周辺を一回りしてくる。金峰山山頂2599mで写真を撮ってもらい、裏側の道のないところを歩く。私はお楽しみの周遊だが、山男たちは見回りなのだ。何か異変はないか、困っている人はいないかなどと周囲に目を光らせながら見回りをしている。これは毎日の日課の一つらしい。

photo:小屋のお兄さんたちと見回り:金峰山
小屋のお兄さんたちと見回り

photo:金峰山賽の河原から富士:金峰山
金峰山賽の河原から富士

photo:山頂から八ヶ岳を見る:金峰山
山頂から八ヶ岳を見る

初めは空いていた山小屋だったが、日暮れが迫ってくるとどんどん登ってくる人が増え、混み合ってきた。初めて(そして最後だったが)寝袋に入って互い違いに横になって寝た。

小屋は小さかったので、重なり合うようにして眠ったが、八ヶ岳に沈む夕陽は美しく、みんな眠るのをいっとき遅らせて暗くなるまで見惚れていた。

photo:金峰山小屋から八ヶ岳に沈む夕陽:金峰山
金峰山小屋から八ヶ岳に沈む夕陽

翌日は国師ヶ岳周りで降る予定だ。山小屋のお兄さんたちに「今度はシャクナゲの季節においでよ」とたくさん声をかけてもらい小屋を出た。

一人で歩く予定だったが、前日登ってきた中に槍ヶ岳で出会った女性がいた。彼女も国師ヶ岳に登ってから降る予定だという。偶然の再会を喜び、この日は一緒に歩くことに決めた。

photo:早朝の五丈岩:金峰山
早朝の五丈岩

まずは山頂の五丈岩に挨拶をする。前日は霧に覆われていたが、雲の切れ目から青空が見えてきた。五丈岩に挨拶してから下りにかかる。一回下って登り返すと朝日岳2579mだ。

朝日岳にはその後友人と夫と一緒に登った(※)。やはり雪の乗る山道を大弛峠から歩いた。私も、誘ってくれた友人も、過去に歩いていると言いながらほとんど忘れてしまっていたから、みんなで苔が可愛い、富士が見える、シラビソらしい林が気持ち良いと、一つ一つに感動しながら歩いたことを思い出す。

photo:鉄山から金峰山を振り返る
鉄山から金峰山を振り返る

photo:朝日岳山頂で
朝日岳山頂で(円内20161110)

金峰山から朝日岳までには何度かのアップダウンがあり、岩の道だったが、若かったからか、さほど大変とも思わず通り過ぎた。朝日岳からは金峰山の五丈岩が飛び出している山容がよく見え、その奥には甲斐駒ヶ岳が青い山肌を見せていた。

photo:今の昔も岩だらけの大ナギ:朝日岳
今も昔も岩だらけの大ナギ

photo:立ち枯れ現象:朝日岳
立ち枯れ現象は謎らしい 20161110

金峰山から大弛峠に降り、再び登ると国師ヶ岳に着く。国師ヶ岳の山頂には男性が一人休んで、湯を沸かしていた。私と同行の女性はサーモボトルなどを持っていなかったので、男性はカップに熱いコーヒーを注いでくれた。両手に持ったカップの端から氷がじわじわと広がっていくのをびっくりして眺めたことを覚えている。氷点下何度くらいだったのだろう。

photo:大弛峠
大弛峠に着いた(角内2016.11.10)

photo:国師ヶ岳山頂で
国師ヶ岳山頂で 11.24

私と同行の女性は今日のうちに下山したいと意見が一致。彼女は西沢渓谷へ降る登山道があるから、そこを下ろうと言う。私も同意して歩き始める。

photo:国師ヶ岳から西沢渓谷へ
国師ヶ岳から西沢渓谷へ

ところがこの天狗尾根、どうやら廃道になっていたらしく、しばらく降りると藪の中に道は消え、岩と灌木の中の道探しの旅となってしまった。地図を見ながら、地形を見ながら、二人でずるずると降りていき、下に西沢渓谷の水流を見つけたときは思わず「やったー」と二人で手を合わせた。

photo:天狗尾根を降りて西沢渓谷へ
天狗尾根を降りて西沢渓谷へ





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