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416 地附山 733m桝形城跡 706m日々の変化(長野県)

2023年 10月30日(月)


朝晩の寒さが堪えるようになってくると里山の木々も彩り豊かになってくる。今年は『粘菌』の変化に興味を惹かれ何度も地附山に通った。小さくてつぷつぷしている粘菌の写真を見るとイヤ〜と言う友人もいる。ゾワっとすると言う人もいる。実を言えば私も、鮫肌状のものは好きではない・・・かもしれない。イクラが食べられなくなるかもしれない。と言っても、あの粒々の姿が嫌なわけではない。私はイクラが好きではないから元々食べないのだ。粘菌が苦手な人はしばし目を瞑っていただいて、イクラも美味しく食べてくださいな(※)

photo:一週間、ほとんど変化が見られない粘菌:地附山
一週間、ほとんど変化が見られない

とまぁ前置きはよいが、10月後半は地附山にほぼ日参した。昼に用がある時は朝一番に、朝用がある時は昼頃に、そして午前中用がある時は午後から、時には一人でカメラを持ってと、粘菌の変化を観察したくて登った。

photo:ロウホコリか:地附山
光っている粘菌

photo:クダホコリか:地附山
一日で色が変わってしまった

秋の花が終わりに近づき、木や草の実が実り、山は豊かな色づきの中、乾いていた。毎年キノコを楽しみに登る人たちも、今年はキノコがないと嘆くが、それもそのはず、落ち葉が乾いて丸まっている。暮らしの中で感じる以上に山の雨量は少なかったようだ。

photo:ウツボホコリの仲間:地附山
左から黒く変化してきた

それでも粘菌は木の影、洞の中にその姿を見せている。その変化を見ようと通ったわけだが、あまり大きな変化はなかなか見せてくれない。これも雨量に関係するのか、しないのか。科学的な根拠はないが、関係があるような気がする。

photo:ロウホコリか:地附山
ドロホコリの仲間

photo:ドロホコリ?:地附山
ドロホコリだろうか

いろいろな倒木の影に現れ、色が変わったと思うと、また次のが生まれるのか、その変幻自在な姿に、戸惑わされる。それでもわかりやすいのは毎日観察していると色が変わったり、はじけたりしていて面白い。なんでも面白いと思うところから道が開けていくのだろう。

photo:粘菌マメホコリ:地附山
粘菌マメホコリ(数字は観察日)

photo:クダホコリか:地附山
飯縄山が赤くなってきた 10.23

秋深くなってくるにつれ、マメホコリが増えてきた。小さな粘菌の中では比較的わかりやすい姿で、しかもちょっと可愛い。色も形もずいぶん様々だが、成長して飛ばす胞子は薄いピンク色だ。ヌカホコリの仲間らしい小さなぷつぷつは、初めきれいなオレンジ色のイクラ状から濃い茶色のチョコボール状まではほぼ同じように変化していくが、その後は目を近づけてじっくりみないと分からない。軸の色が違っていたり、胞子嚢の大きさが違ったり、割れ目が見えてきたり、同じように見えているのに種類が違うものが混ざっているようだ。

photo:ベニテングタケ:地附山
ベニテングタケ 10.27

だから、毎日見に行きたくなってしまう。地附山とその隣の桝形城跡には毎日のように登る人たちがいて、こちらも回数多く登ると山道で出会うことが増える。挨拶を交わしてすれ違ったり、山頂でしばらく話をしたり、出会いの回数に比例するように立ち止まる時間が長くなっていくのが面白い。ちょっとした情報を交換するのも山での出会いならではだ。

photo:秋の味覚キノコ:地附山
秋の味覚キノコ

photo:トチノキ、ホオノキ:地附山
トチノキ(左)ホオノキ(右)10.27

ほぼ毎日登っているヤマさんが何か握って山頂から降りてきた。枯れ葉のようだが、膨らんでいる。「何を採ってきたの」と聞くと「アミタケさ」と、見せてくれた。朴葉にアミタケをくるんでいる。「とてもいいなぁ〜」と感心したら、「ビニール袋を持ってくるのを忘れちゃうんだ」と笑う。素敵な朴葉の包みの写真を撮らせてもらった。

photo:ホコリタケ:地附山
ホコリタケ、食べてみた 10.23

キノコといえば、ホコリタケの幼菌は食べられると知っていたが、食べたことはなかった。ぽつりぽつりと顔を出すホコリタケを採ってしまうのは忍びなかったからだ。ところが今年はあっちにもこっちにも一面に出てきた。こんな時でなければ味見はできないだろうと、初めて食べてみた。その味は・・・まぁ食べられます。求肥を噛んでいるような食感で、味はほとんどないみたいだ。スライスすればもう少し味が出たかもしれないが、一回食べればいいかな。

photo:ハリギリの紅葉:地附山
ハリギリの紅葉  10.26

photo:アオハダの実:地附山
輝くアオハダの実 10.27

これから冬に向かって山の色は一瞬の華やかさの後、茶色に沈んでいく。日本には『紅葉狩り』という言葉があるが、この冬に向かう前の一瞬の華やかさの中に侘びや寂を感じる人が多いのだろうか。日本各地の高原などには紅葉見物の人がたくさん訪れるらしい。わが裏山、地附山の紅葉もなかなか素晴らしい。

photo:山頂から飯縄山:地附山
地附山山頂から飯縄山 10.25

天邪鬼の私は紅葉を見にわざわざ混み合うところまで行こうとは思わないが、と言って、秋の輝く森を見るのが嫌なわけではない。近くの山で日々の移ろいを見るのも素敵だと思っている。

photo:日々紅葉が進む:地附山
日々紅葉が進む

地附山の登山道からは善光寺平の向こうの志賀、菅平などの山々を見渡すことができる。空気が澄んでくると、山並みの向こうに浅間山、湯ノ丸山、烏帽子岳のスカイラインも見えてくるのが楽しみだ。先日浅間山の山頂部から立つような白い煙が見えた。火口の淵が見えたが、小さな噴火のような現象だったのだろうか。全く雲も煙もない稜線を見せている時ももちろんある。

photo:噴煙か 浅間山:地附山
噴煙か 浅間山 10.23

photo:タンナサワフタギ:地附山
紅葉が進む森 10.26

山頂へ行くと北の飯縄山、黒姫山、妙高山なども見ることができる。山肌がどんどん赤く色づいていくのがわかる。 山の花が楽しみな私にとって、秋から冬は花の姿が少なくなるので寂しい季節とも言える。だが、草も木も花の後には実をつける。その実の姿がとても豊かなことに気づくとまた山道を歩く楽しみになる。

photo:ウド実:地附山
ウド実  10.26

photo:コバギボウシ実:地附山
コバギボウシ実 10.26

photo:モウセンゴケ実:地附山
モウセンゴケ実 10.29

photo:ツルリンドウ実:地附山
ツルリンドウ実 10.26

目立たない草の実

photo:アオハダ(黄実) :地附山
アオハダ(黄実)  10.25

photo:サルトリイバラ:地附山
サルトリイバラ 10.26

photo:ムラサキシキブ :地附山
ムラサキシキブ 10.29

photo:ヤマブキ:地附山
ヤマブキ 10.29

色さまざまに木の実

photo:タンナサワフタギ:地附山
タンナサワフタギ  10.26

photo:アオハダの実:地附山
ナツハゼ 10.26

photo:アクシバ :地附山
アクシバ  10.29

photo:ウメモドキ:地附山
ウメモドキ 10.29

木の実いろいろ

まだ咲いていて嬉しいのはアキノキリンソウ、ヤクシソウ、リュウノウギクなどのキク科の花たち。道の端にはススキが真っ白に穂を揺らし、その上に落ち葉がハラハラと舞っている。風が強くなるとホオノキやハリギリの葉がヒュウンと落ちてくるが、柄を先頭にして次々と風に乗ってくる様子は迫力があって見ていて飽きない。

photo:マツヨイグサ:地附山
マツヨイグサ  10.27

photo:ヤクシソウ:地附山
ヤクシソウ 10.27

photo:アキノキリンソウ :地附山
アキノキリンソウ  10.29

photo:ゴマナ:地附山
ゴマナ 10.29

秋の山を彩る

久しぶりに駒弓神社から登ったら、スズメバチの巣に注意の看板があった。数日前、イケさんが仲間と早朝に駆除したと話していたところだろう。秋になったら藪へ入るのはかなり注意深くしないといけないと思っているが、山道の近くは駆除してくれる人たちに感謝だ。スズメバチは、飛んでいてもこちらが激しく動かなければ大丈夫だが、うっかり巣に近づいたら危ない。

photo:センボンヤリ閉鎖花と実:地附山
センボンヤリ閉鎖花と実 10.29

今年はヘビさんにあまり会わないと話していたら、帰り道で出会った。日向ぼっこをしていたのか、びっくりしたように草むらに入って行って、体半分のところで止まった。ヘビは「頭隠して尻隠さず」をやってくれることが多いので笑えるが、このヘビさんもちょっと止まって、その後は一気に草の中へ入っていった。ジムグリかな。

photo:落ち葉で染まる山道:地附山
落ち葉で染まる山道 10.29

森の中は乾燥して落ち葉もカサカサ丸まってしまっているが、道に散り敷いた落ち葉がそれぞれの色に道を染めて、落ち葉の絨毯になるのもまた秋の景色と言える。

参考登山日  10/23(月)、25(水)、26(木)、27(金)、29(日)、30(月)




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