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賑やかになってきた地附山 733m(長野県)

2023年3月8日(水)


photo:フキノトウ
山にも顔をだした

ポカポカと暖かくなってきた。観光地の善光寺にはたくさんの旅人がやってきている。そんな中、私たちは裏山へ向かう。2月の終わりに登った時(※)はまだ雪がたくさん残っていたが、もう跡形もない。森の影に僅かに白い塊が残っているのが却って侘しい。

先日城山公園を散歩した時に見つけた春の花は、山の中ではまだ開いていないが、一個だけ明るい緑のフキノトウを見つけた。庭に芽を出したフキノトウと合わせて蕗味噌を作ろうか。

photo:ヒメオドリコソウ、トウダイグサ
ヒメオドリコソウ、トウダイグサ

photo:イケさんと
陽だまりで

つづら折れの山道の途中でイケさんと会う。孫は「初めまして」だ。ポカポカ陽だまりに座ってしばらく話をする。これから暖かくなれば、また一緒に山を歩くチャンスが増えるだろう。楽しみだ。

座り込んで話が弾んでいる私たちを見て、孫がシャッターを押してくれた。

photo:ミツバウツギ実
ミツバウツギ実

昨年末にミツバウツギの実が話題になったが、イケさんは最近他の山で見つけたそうで、その実を私も少し分けてもらった。ハート形の羽に包まれたような独特の形は一度覚えれば忘れない。ミツバウツギは純白の花も美しいので、今年は花も見たいものだ。

しばらく話してイケさんと分かれる。私たちは山頂を目指し、もう地附山と枡形城跡を巡ってきたというイケさんは帰路につく。

photo:ツノハシバミの花芽も膨らんだ
ツノハシバミの花芽も膨らんだ

イケさんと分かれてパワーポイントへ。2月末には雪で真っ白だったのに、すっかり溶けている。春霞で遠くの山が見えないのが残念だ。学校とアルバイトと家の手伝いなど、孫の日常は多くの若者のそれと変わらないのだろう。のんびり里山の木々を見上げて木の芽を見つけたり、草花の蕾の膨らみを見つけたりする時間はあまりないかもしれない。それでも、いろいろな自然の姿を見つけては指をさす。顔が明るく感じられるのは年寄りの欲目かもしれないけれど。

photo:城山の大カツラ
城山の大カツラ

photo:木の幹にいる固まった虫たち
木の幹に・・・

先日地附山の麓に接する城山公園を歩いた時にも、大きな木の幹にはまり込んだ虫たちを見つけて首を傾げていたが、生活の場に入り込んでくる虫は苦手でも、広い自然の中にいる虫は客観的に見ることができるようだ。

そういえば大きな木が切り倒されていたが、その真新しい切り株に年輪が数えられるだろうかと熱心に覗き込んでいた。建築を学んでいる孫にとって、樹木は興味深い対象のようだ。

photo:年輪が数えられるかな
年輪が数えられるかな

photo:シナノキの実
シナノキの実

木の幹の模様や、まだ樹上に残る実、膨らんできた芽や虫こぶなどの話をしながら歩くと、山頂まではあっという間だ。

photo:ずいぶん雪が少なくなった山頂
ずいぶん雪が少なくなった山頂

photo:春に誘われて
春に誘われて

南側は霞んでいたが、北の山は見えている。わずか300メートルほどの高低差だが、山頂のそこここには雪が残っている。北に面しているから雪の量も多いのかもしれない。ベンチに座っておやつを食べていると、人声がしてきた。毎日登っているというヤマさんと、地附山愛護会の顔見知りの人が話しながらやってきた。いつもは一人で歩いていることが多いヤマさんも、仲間がいて楽しそうだ。

photo:ロープ塔の跡
ロープ塔の跡

「若い人と一緒でいいね」と言って、彼らは降っていく。さて、帰ろうかと思ったところにやってきた女性が「この近くに他にも良いコースはありませんか」と話しかけてくる。長野盆地周辺の山をいくつか紹介して、思ったより時間が過ぎた。

「今日はいろんな人に会うね」と、孫。前回登った時は午後からだったので、人に会わなかった。「これから暖かくなってくると、たくさんの人が登るようになる山なんだよ」と話す。

孫は同じ道を歩くより、できるだけ違う道を歩いてみたいそうだ。私もそう思う。山頂を一巡りするコースを行ってみよう。モウセンゴケの群生地はまだ雪に覆われているから横目で見て進む。スキー場跡ではどこがゲレンデだったのかと首をかしげる。確かに小さな傾斜地だが、今でも最後まで雪が残っているところだ。昔使ったというロープ塔の施設が残っている。孫は錆びている滑車を回してみて「まだ動く。こっちは錆びついている」などと呟いている。

photo:善光寺ロープウェイ看板
善光寺ロープウェイ看板

そこから南側に出ると、ロープウェイの跡が残っている。この短い斜面にロープウェイをかけて遊園地にしていたことに驚く。山頂駅の跡は枯れ草に覆われて立っているが、山麓にあった駅の跡はもう無い。1961年に開業したそうだが、当時は山頂には遊園施設や動物園があって、年間50万人を超える観光客が訪れたという。

photo:ロープウェイ跡
ロープウェイ跡

photo:荒れたロープウェイ跡
荒れちゃってるね

photo:シナノキの実
未来の建築家、興味津々

崩れかけたロープウェイ跡の建築物に登ってみて、「ここはどうなっていたのかな」などと観察する孫の目は意外と真剣だ。大きな建築物より、生活しやすい一軒家を作りたいと言っている、未来の建築家の目なのかもしれない。

たっぷり昔の建築物を観察してから山を下る。今日は管理の西澤さんがきているので、公園の方に降って、山野草の話をしてから帰ろう。

帰り道で「今日はいろんな人に会ったなぁ」と呟きながら、来た時とは違う道を探しながら家に向かった。




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