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296 雷雨危機一髪 篭ノ登山 2227m(長野県・群馬県)

〜〜東篭ノ登山2227m 西篭ノ登山2212m 雷の丘2108m 雲上の丘広場2110m 見晴岳2095m〜〜

2022年7月30日(土)


日本列島を中心に小さな高気圧が三つ仲良く居座っているから気流が動きまくっているらしい。日中は青空で高気温になるが、午後になると黒雲が広がりゴロゴロ音がしてくる。そして夕方から突然激しい雨が降ってくる。

そんな日が続いたけれど、少しずつ日中の青空時間が増えてきたようだ。今日も夕方までは晴れそうだから楽しみにしていた山へ出かけてこよう。

7時ちょっと前に家を出る。上信越自動車道を走り、湯の丸ICを降りた後は地蔵峠までジグザグに登る。カーブごとに観音様の石像が立っているのを横目で見ながらぐんぐん登っていく。池の平駐車場についた時は8時半、駐車場にはかなり車が停まっていた。 靴を履き替えてまず東篭ノ登山を目指す。ここは前に水ノ塔山から赤ゾレを越えてきたところだ(※)。たった一回歩いただけだけれど、安心感がある。

地図:篭ノ登山
篭ノ登山周辺

深い針葉樹の森の中は、絨毯のように苔で覆われている。マイヅルソウの小さな葉がたくさんある中にポツリポツリとコバノイチヤクソウが白い花をつけている。

photo:コバノイチヤクソウ:篭ノ登
コバノイチヤクソウ

photo:コキンレイカ:篭ノ登
コキンレイカ

photo:マルバダケブキ:篭ノ登
マルバダケブキ

photo:ミヤマホツツジ:篭ノ登
ミヤマホツツジ

花に会う

photo:ウスユキソウ:篭ノ登
ウスユキソウ

photo:ノアザミと東篭ノ登山:池の平
ノアザミと東篭ノ登山

photo:池の平を見下ろす:篭ノ登
池の平を見下ろす

ゆっくりゆっくり登っていく。マルバダケブキの黄色、クルマユリのオレンジが緑の中に浮かびあがるように見える。さらに登っていくと笹に覆われてくる。緩やかな登りをしばらく頑張ると大きな岩がゴロゴロしている道に出る。コケモモがたくさん赤い実をつけている。コキンレイカの黄色が輝くようだ。そしてウスユキソウがまさに純白の花を開いている。その美しさに息を呑む。振り返れば、池の平湿原が見えている。流れる雲の隙間から小諸方面の市街地も遥か下に見えている。涼しい空気の中、足取りも軽くなる。

photo:タカネニガナ:篭ノ登
タカネニガナ

photo:イワインチン:篭ノ登
イワインチン

photo:シラネニンジン:篭ノ登
シラネニンジン

photo:タカネマツムシソウ:篭ノ登
タカネマツムシソウ

岩場にも花が咲く

photo:山頂から小諸方面を見る:篭ノ登
山頂から小諸方面を見る

photo:東篭ノ登山2227mから赤ゾレ:篭ノ登
東篭ノ登山2227mから赤ゾレ

岩の道をしばらく頑張ると、広い東篭ノ登山の山頂だ。9時半到着。数組の登山者がそれぞれに休んでいる。残念ながら雲が増えてきた。お隣の水ノ塔山が隠れている。少し休もうかと話していたら、赤ゾレが見えて来た。記念撮影だ。

photo:篭ノ登山、東と西の鞍部へ降る:篭ノ登
篭ノ登山、東と西の鞍部へ降る

これから行こうと思っている西篭ノ登山が目の前に見えるところに腰を下ろす。少し足を休ませるが、雲が増えたので急いで行ってこようか。往復1時間ちょっとだ。

鞍部まで一旦下る道はかなり急だ。花が終わったシャクナゲの森をぐんぐん落ちていく。ホソバノキソチドリらしいラン科の花がたくさん花穂を掲げているのが嬉しい。ゴゼンタチバナの花はほぼ終わリだ。コキンレイカとタカネニガナの黄色が散らばっていて嬉しい。

photo:ホソバノキソチドリ:篭ノ登
ホソバノキソチドリ

photo:カニコウモリ群落:篭ノ登
カニコウモリ群落

photo:コケモモがいっぱい:篭ノ登
コケモモがいっぱい

photo:西篭ノ登山頂直下から振り返る:篭ノ登
西篭ノ登山頂直下から振り返る

深い苔むした森の鞍部を越え、今度は登っていく。葉が波のようにさざめき、一面に白い花穂を揺らしているのはカニコウモリ。白い花の先が開きかかっている。大群落だ。

それからも深い森の道を登り、最後は大きな岩の急斜面をひと頑張りすると西篭ノ登山だ。こちらはそれほど広くない。東篭ノ登山の山頂は流れる雲の隙間から見え隠れして、その下に池の平方面が小さく見えている。

狭い山頂に腰を下ろし、お煎餅をかじる。10分ほど休んでいたが、だんだん暗くなって来たので、戻ろう。下り始めるとポトリと水が落ちてきた。まずい、降って来ちゃった。重い霧のような雨が当たっているが、幸い深い森の中の道だからあまり濡れてはこない。 私たちはどんどん下りて、ガッツガッツと登り返した。

ポソポソと湿ってはいるが、濡れるというほどの雨にはならず、東篭ノ登山頂まで登り返した。「往復1時間20分、まぁまぁのタイムじゃない」と言うと「休憩もしたしね」と夫。

霧雨とはいえ雨の中展望もないので、そのまま下ることにした。


来た道を戻り、駐車場近くの広場のベンチでお昼を食べる。ちょうど12時だ。下る途中で雨は上がった。雲は多いけれど、間から青空も見える。

おにぎりを食べた後は見晴歩道を行こう。見たいと思っていたリンネソウがここに咲くという情報を得て出かけてきた。西篭ノ登山にも咲くと聞いたが、見つからなかった。

見晴歩道はなだらかで気持ち良い道だ。池の平湿原の西側をぐるっと囲む三方ヶ峰の稜線に続いている道だ。

photo:ハクサンフウロ:篭ノ登
ハクサンフウロ

photo:シャジクソウ:篭ノ登
シャジクソウ

photo:オンタデ:篭ノ登
オンタデ

photo:ミヤマアキノキリンソウ:篭ノ登
ミヤマアキノキリンソウ

色とりどりに

苔むした深い森となだらかな草原が交代で顔を見せる楽しい道。ノアザミ、マルバダケブキ、ワレモコウなど、背の高い花が満開。そして足元にはイブキジャコウソウ、ハクサンフウロ、シャジクソウなど華やかな彩り。さらによく見るとオオヤマサギソウ、ミヤマフタバラン、グンバイヅルなどの小さな地味な色の花が咲いている。ギンリョウソウも壺型の実になりつつ草の影に立っている。

photo:イブキジャコウソウ:見晴歩道
イブキジャコウソウ

photo:ミヤマフタバラン:見晴歩道
ミヤマフタバラン

足は疲れているけれど、花の豊かさに元気が出る。そして、目の前を時々ふわりと横切っていくのはアサギマダラ。他のチョウもトンボもたくさんいるけれど、優雅に舞うアサギマダラはよく目立つ。夫はしゃがんでカメラのレンズを取り替えて撮影に挑戦。

photo:アサギマダラ:見晴歩道
アサギマダラ

お花畑を眺めたり、森の空気を楽しんだりしながら登って雲上の丘広場に立つ。池の平湿原が広く見渡せる。気持ち良い空気の中で満足感いっぱいなのだけれど、目指す花は見つからない。

photo:お花畑の向こうに池の平湿原:篭ノ登
お花畑の向こうに池の平湿原

photo:雲上の丘から篭ノ登
雲上の丘から登って来た山が見える

photo:小諸方面を見下ろす:見晴歩道
小諸方面を見下ろす

まだコースは先まで続いているから行こうか。ここからは下りだ。再び湿った森の道、岩の影にはヒカリゴケが綺麗な黄緑色に光っている。ところがここを過ぎたところで、「あれ?ねぇストックは?」「あ、置いて来ちゃった」。

どうやら、さっきしゃがんでカメラのレンズを取り替えたところに置いてきたらしい。まだ近いから、ちょっと行ってみてこよう。夫に花探しを頼み、私は急いで引き返す。途中、花のガイドをしている集団とすれ違う。ない。ここじゃなかったんだろうか、さらに少し前まで戻ってみるがやっぱりない。諦めて引き返し、夫と合流。

photo:ヒカリゴケ:見晴歩道
ヒカリゴケ

photo:コマクサ まだ咲いていた:コマクサ園
コマクサ まだ咲いていた

見晴岳の展望を楽しんでからからコマクサ園へ向かう。コマクサはわずかだが咲き残っていた。

photo:雷の丘で:見晴歩道
雷の丘で ストック持ってるね

この先は池の平へ下りず、ストックを探しながら来た道を戻ろう。

再び森と花を楽しみながら戻る。雲上の丘広場を越え、お花畑を越える。ここに置いたような気がするね、でも無いね。

さらに戻ると雷の丘だ。ここで確か写真を撮ったね、見てみよう。デジタルの有難いこと、見ると夫はしっかりストックを持っている。誰かが拾って行ってくれたのかもしれない。

photo:オオヤマサギソウ:見晴歩道
オオヤマサギソウ

photo:グンバイヅル:見晴歩道
グンバイヅル

photo:カワラナデシコ:見晴歩道
カワラナデシコ

photo:タカネナデシコ:見晴歩道
タカネナデシコ

草原の道沿いに

再び雲が厚くなってきた。黒っぽい雲だ、雷が来るかもしれないね、急いで帰ろう。

15時、駐車場脇のインフォメーションセンターで問い合わせたら・・・やっぱり届いていた。しかも少し曲がってしまって短く収納できなかったストックがちゃんと短く収っている。力のある人だったんだろうか、なんだか騙されたようだけど有難い。

photo:ヤマホタルブクロ:見晴歩道
ヤマホタルブクロ

photo:シモツケソウ:見晴歩道
シモツケソウ

photo:クガイソウ:見晴歩道
クガイソウ

photo:バイケイソウ:見晴歩道
バイケイソウ

草原の花

私の調べ違いで、リンネソウの時期には遅かったけれど、豊かな山の花々に会え、涼しい空気を堪能した素敵な山歩きだった。

車を走らせ始めるとフロントガラスに雨粒が落ちてきた。チーズが美味しいアトリエ・ド・フロマージュに寄る時には止んでいたが、高速道路に乗った途端、稲光。そして一気に滝のような豪雨の中に突っ込んだ。ワイパーが振り切れるのではないかと思うくらいに動かしても前が見えないほどの豪雨の中を直走って帰った長野には雨の気配もなかった。




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