7月の初めに志賀高原でオニノヤガラの蕾を見つけた(※)。咲いているかな〜まだかな〜と、時々話題にのぼっていた。用があって出掛けられなかったり、雨マークが続いてのばしたりしているうちに日が過ぎていく。今日も志賀方面の山の上には雲がかかっているが、予報はそれほど悪くないみたいだと、雨具、傘を鞄につめて出かけることにした。
7時半、出発。国道18号は混み合うので山の中の道をいく。中野市からは国道292号を登っていく。何ヶ所かで補修工事中の交互通行がある。山の中の道は自然災害を受けやすいのだろう。感謝しながら通って、信州大学志賀自然教育園の駐車場に到着。家から1時間10分、早かった。駐車場には我が家の車だけ。靴を履き替えて歩き始めるとすぐ、先日は蕾だったラン科の花が咲いている。草に埋もれるように白に近い薄緑の花を開いている。このタイプの花は似たものがたくさんあって、なかなか名前がわからない。でも花がちゃんと開いていたので、なんとかオオヤマサギソウらしいとわかった。
しばらく歩いてオニノヤガラを探す。先日見つけたところに・・・ない。枯れてしまったのだろうか。枯れてしまっても、影も形も残さないほど日が経っていないのに周辺にはそれらしいものはない。仕方がないので、もう一つの株を探す。こっちは咲いていた。この後、別の場所に芽を出していたものも見にいくが、そっちもなかった。先日は3本見つけて、そのうち2本がなくなっていたということ。どうしたのだろう。でも今日新たに4本見つけることができたので、この辺りはオニノヤガラにとっては環境が良いのだろう。
オニノヤガラを探してうろうろしているうちに雨が当たってきた。池巡りをしながら森の中を歩こうと思っていたけれど、傘を差しながら歩くのは大変だ。山の駅に行こうか。でも夫が楽しみにしてきたカレーを食べるにはちょっと早いと思っていたら、雨は上がった。
雲は濃いのでまた降るかもしれない。自然探索路は何筋かに伸びている。まだ歩いたことがないところを散歩してみよう。
大沼池まで続いているという道をゆっくり登り始める。雨具を着るほどでもないが、傘はすぐさせるように持っている。マイヅルソウの実が一面に揺れる道を登っていくといきなり目の前がひらけた。いや、目の前が真っ白になったという方が正しい。どうやらゲレンデらしい斜面の上に飛び出したのだが、ガスで覆われている。足元のシラタマノキやアカモノの実を夢中で撮影しているうちにガスは晴れてきた。
冬はリフトの山頂駅になるらしい緩やかな斜面にはミヤコグサが黄色く敷き詰められている。どこまでも広がっている群落に大喜びで、私たちはゲレンデを少し歩いてみた。霧は晴れて、向こうに西館山の斜面が見えている。ここはジャイアントスキー場のゲレンデ上部らしい。ニッコウキスゲ、クルマユリ、ハナチダケサシ・・・花で覆われている。
しばらく草原の自由歩きを楽しんだ後、車に戻ることにした。国道が近くなってくると人の姿も見えてくる。男女二人連れの人が「今そこを熊が通りました」と指差す。オニノヤガラが咲いているところだ。わぁ〜ちょっと時間が違えば熊さんとバッタリだったね。
車で山の駅まで走り、楽しみにしていたカレーを食べる。早めに入ったので、人はいない。私は特製中華そばを食べる。懐かしいような味だ。
お腹がいっぱいになって外へ出ると空が明るくなってきた。山の駅から窓の向こうに見えていたゴンドラが楽しそうに揺れている。次はいつくることができるかわからないから、あれに乗ってみよう。
山の駅の脇から3基のゴンドラを乗り継いで東館山の山頂に向かう。山頂直下のゲレンデは真っ黄色だ。一面の日光キスゲの中の道を散策している人たちがいる。こちらに向かって手を振っている人もいる。こちらも手を振ると笑顔が見える。なんて楽しそうなんだろう。
ゴンドラを降りると私たちもゲレンデに向かった。わぁ〜としか声が出ない。ずっとずっと下までオレンジ色が揺れている。ゆっくりゆっくり、できるだけゆっくり歩いていく。このオレンジ色の世界に浸りながら。
東館山の山頂部は高山植物園になっている。何年も前にまだ小学生の孫たちときたことがあるが、しばらくぶりだ。ニッコウキスゲの斜面を登り返し、大沼池が見下ろせる斜面に回り込むと、湿原性の花なども咲いている。お花畑を楽しんでから再びゴンドラで山の駅まで戻る。乗り換えの登り道では送迎カートに乗せてもらってなんだか幸せ気分。
青空が見えてきたので、蓮池を一周してから車に戻った。