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丹沢の散歩道ダルマ沢ノ頭 880mからシダンゴ山 758m(神奈川県)

2008年5月4日(日)2022.2 記


地図 シダンゴ山周辺

2月も後半になったけれど、3日間も雪が続くなどという長野では珍しい日が続いた。昔の山のアルバムを繰ってばかりではつまらないとも思ったが、案外新発見(忘れていただけかもしれない)もあって面白い。

photo 中津川の新緑
中津川の新緑

神奈川で仕事をしていた頃は、山へ行けるかもしれないという日は貴重だった。その自由な時間に合わせてどこへ行こうか悩む。遠いところは難しくても、神奈川には丹沢山塊という魅力的なところがある。友人は沢登りでたくさんのコースを歩いていたが、私たちは裾野に広がるハイキングコースを歩く。沢登りには技術が必要だ。友人の話や写真を楽しませてもらうだけでよしとしよう。

地図 シダンゴ山周辺

車で出かけることが多かったが、この日は電車に乗ってみた。小田急線の新松田駅からバスがあるはず。ところが本数が少ない。時間がもったいないのでタクシーを奢ることにして、寄大橋のところまで一気に入ってしまった。9時45分出発。赤い可愛い橋で中津川を渡って林道を登り始める。

photo ウツギが満開・秦野峠林道
ウツギが満開

photo 道に降りかかるようなウツギ・秦野峠林道
道に降りかかるようなウツギ

photo フジが開き始めた・秦野峠林道
フジが開き始めた

この時は気がついていなかったが、シダンゴ山にまっすぐ登るならもう一つ下流の大寺橋で中津川を渡ればよかったのだ。中途半端な下調べをしてタクシーで『寄大橋(やどりきおおはし)』へと言ったものだから、奥へ入ってしまった。


林道の脇には真っ白なウツギの花が覆いかぶさっている。純白に輝くようで、眺めながら登っていくと足が軽くなる。開き始めたばかりのフジが淡い紫に陽の光を揺らしている。しばらく登ると満開のウワミズザクラが迎えてくれた。道の両側は白い花のパレードだ。

photo ウワミズザクラが満開・秦野峠林道
ウワミズザクラが満開

photo ウワミズザクラが満開・秦野峠林道
ウワミズザクラ

林道歩きは、だんだんつまらなくなってくる。変化ある山道を登るのとは違って、足が飽きてくるのだ。

photo チャンチン・シダンゴ山
森で見つけた面白い色や形

photo 林道歩きは疲れた・秦野峠林道
林道歩きは疲れた

約2時間歩いてようやく林道秦野峠に着いた。もうお昼の時間だ。ここでお昼を食べることにしよう。この時は、再びこの林道を歩くことになるとは思っていなかったが、この後真夏に今度はここを下ることになったのは雨山に登った時のこと(※)。(※山歩き・花の旅143 緑濃い丹沢 雨山、檜岳、伊勢沢ノ頭


photo 朽ちてきた標識・シダンゴ山から秦野峠間
朽ちてきた標識


秦野峠で休んで、ようやく山道に入る。森の新緑が迫ってくるようだ。道案内の看板は朽ちている。シダンゴ山は公園のようなところで、近くの人たちの散策路のようになっていると聞いたが、裏側のこの道はあまり通る人がいないようだ。確かに林道を2時間近く下るとなると考えてしまうだろう。

photo ダルマ沢ノ頭にて
ダルマ沢ノ頭 880mにて

森の中の道を40分ほど登るとダルマ沢ノ頭に到着。標高880m。思ったより藪山だ。シダンゴ山の一角かと思っていたので、抱いてきたイメージと違う。地図を見ると、ここはかなり奥まっているので、シダンゴ山の散策コースより一つ奥の稜線になるようだ。

森の中には春の花が咲き出している。湿っぽいところにはハコベのような小さな花が咲いている。花びらが細長く、半分ほど切れ込んでいて、サワハコベだろうと思っていたが、帰って調べるとサワハコベは毛がないと書いてある。私たちが見たのは花の脇に長めの毛があるから、別の花なのだろう。ハコベやミミナグサ、ツメクサなどナデシコ科の小さな花は識別が難しい。

photo 森を彩る花・シダンゴ山
森を彩る花

photo ナデシコ科の花?・シダンゴ山
ナデシコ科だと思うけれど

ようやくシダンゴ山758mに着いた。ダルマ沢ノ頭からは30分ほど。しかも、こちらの方が低いのだった。なんだか騙されたような気もするが、山頂は広々していて気持ち良い。丈の低いアシビの木が植えられていて、かくれんぼができそうだ。展望が開けているが、雲が大きくなってきてしまった。目の前には鍋割山から伊勢沢ノ頭へ続く稜線が大きく伸びているが、青空は消えてしまった。南に目を転じると、相模湾が見える。江ノ島がどこから見てもわかる形で海に飛び出している。アシビの間を散歩し、展望を楽しみ、夫はここで残っていたおにぎりを食べた。5月の爽やかな風の中、気持ち良い山頂だ。

photo シダンゴ山山頂で休憩,シダンゴ山の由来
シダンゴ山山頂で

photo シダンゴ山山頂758m
シダンゴ山山頂 758m

山頂にはシダンゴ山の由来を説明した石が立っていた。シダンゴは漢字で震旦郷と書く。仏教を伝えるために、この山には仙人が住んでいたそうだ。箱根や丹沢の他の山頂にも仙人がいたらしい。この仙人をシダゴンと呼んだそうで、それがなまってシダンゴ。

シダゴンとは・・・恐竜好きな孫が喜びそうな名前だが、梵語で羅漢(仏教の修行を積み悟りに達した人)様を意味するそうだ。

そして白馬にまたがった弥勒菩薩もこの山の頂に来たらしい。中津川に降りた時の馬の蹄の跡が残った大石があったそうだが、今は埋没してしまったそうだ。いくつもの心惹かれる話だが、みんな仏教がらみ、この辺りは信心深いところなのだろうか。

photo シダンゴ山から相模湾方面
シダンゴ山から相模湾方面

photo 茶畑と鯉のぼり・シダンゴ山から中津川
茶畑を通って中津川へ下りる


茶畑の緑を楽しみながら、1時間ほどで中津川まで下り、帰りは無事バスに乗ることができた。




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