抜けるような青空。午後から用があるから、今日(5/10)は朝散歩と言って家を出た。先日蕾だった花が開花しているかもしれない。「ちょっと見てくるね」と、水とカメラだけ持って出かける。朝7時、仕事に行く人が早足で歩いて行くが、私はのんびり歩く。彼らは街へ、私は山へ。
まず、大峰山のハナイカダを見よう。一番近い伊勢社への直登コースをいく。草の勢いが強く膝より高く茂ってきたから、これからは歩きにくくなるだろう。霊山寺の横から山道に入る。物見岩から長野市街を眺めて先へ進む。地附山への分岐を過ぎて沢沿いに登り始めるとお目当てのハナイカダに会える。葉の真ん中に花が咲く面白い花だ。雄花が一個だけ開いていた。雌花はまだ蕾ばかり。少し早かったか・・・。
沢に被さるように濃いピンクの花が広がっているのは、ミツバツツジ。とても綺麗だ。これは東国か西国か、ミツバツツジは種類が分かれるのだが、なかなか特定しにくい。
小さな花を愛でながら急坂を登っていく。先日一株だけ見つけたイワカガミを探すのが次の目的。あった。森の奥に、1、2・・・数株きれいなピンクの花を咲かせている。
朝早いからか、誰にも会わない。アカマツがたくさん伐採された森は明るくなった。岩が多くなった斜面に目指すイワカガミは咲いていた。やっぱり夫ともう一度来なくては。このイワカガミを見せてあげよう。
三角点の近くに毎年楽しみにしていたツリバナだが、枯れたのか、今年は見えない。登山道の頭上に揺れている花を見つけて楽しむしかないか。
山頂には長居をせず、一旦降って地附山に向かう。もう一つの目的は・・・前回(※)まだ蕾だったナツグミの開花を見ること。流石に今日は開いていた。でもまだ少ない。これももう一度見に来なくては。
いくつかの宿題を抱えて、最後にもう一つベニバナイチヤクソウの花を見て帰ろうと、降り始める。森の中にチェーンソーの音が聞こえてきた。男性が道の脇の倒木の始末をしているようだ。近づくと「早いね〜。どこまで行ってきたの」と声をかけられた。男性は「ボランティアだよ、暇だからね」と笑う。今日は一人で作業をしているらしい。しばらく立ち話をして、素敵な花の咲く場所を教えてもらった。
大好きな花の写真も撮り、近いうちに夫と来ようと思いながら、公園口に降りる。管理棟の前に男性の姿が見えた。時々我が家のHPものぞいているという男性は西澤さん。西澤さんが丁寧に世話をされている山野草園はとても小さいけれど、魅力的な花に溢れている。この小さな土地に何種類もの花を咲かせるのはなかなかできることではないと思う。さりげなく話してくださるが、頭が下がる。
お土産話をいっぱい持って帰ったので、「よし近いうちに行こう」と夫。3日後に、雲が多い日ではあったけれど待ちきれずに出かけた。リュックの中には雨具を潜ませている。
今日はギンランを夫に見せてあげたいので、地附山から歩き始める。長野市環境緑化協力会と書いた軽トラックがゆっくり走って行ったので、また先日の男性が活動されているかもしれないねと話しながら歩く。ギンランの花は少し茶色に枯れ始めていたが、まだ気品を失わない白い個体もあって、夫は大喜び。
斜面にわずかに咲くベニバナイチヤクソウを眺めていたら、後ろから男性が話しかけてきた。あ、先日の男性だ。今日も伐採木の片付けをするそうだ。大峰山の裏側のコースに咲くイワカガミの情報を教えてもらって別れた。男性は来た道を戻って行った。
ジグザグに登っていくと、その人が森の中の木を運んでいる。2メートルほどの長さに切りそろえた丸太を道の端に積んでいく作業、思わず頭を下げる。私たちにはとても持てそうにない。「さっき後ろに歩いて行ったのに先回り・・・、ワープしたのかな」と、笑いながら挨拶して別れた。
ナツグミの花は五分咲きといったところか、地味な淡い緑をまとった白い花がぶら下がっている。なかなかピントが合わないねと言いながら撮ってきた写真を家で見たらゾウムシの影が映っていた。
山頂から見える飯縄山、黒姫山、妙高山は空にくっきり浮かび上がるようだ。妙高山の雪もずいぶん少なくなって、青と白のコントラストが美しい。
さて、今日はコバノガマズミと、ミヤマガマズミが見分けられるかという宿題がある。どちらも今は花盛り。地附山にも大峰山にもたくさん小さな白い花を咲かせている。
コバノガマズミの葉を触ってみると、ふんわりとビロードのような優しい肌触り。ミヤマガマズミは葉脈がしっかり凸凹としている。そして葉柄が短く、2本の小さな托葉が付いているのがコバノガマズミ。葉柄が長くて赤っぽいのがミヤマガマズミ、白くて長い毛が見え、葉の先っぽが細く尖っている。家で勉強してきた成果があるではないか。見分けられるのが嬉しい。
大峰山の裏側に周ってイワカガミの花を見てから、再び地附山を通って帰途に着いた。山はどこもかしこもチゴユリの大群落だった。