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観音山 575m、頼朝山 644m(長野県)

2016年12月10日(土)


小丸山で雨模様
小丸山で雨模様 2016.12.9

葛山に登ってみたらこの山にはいくつものコースがあって、そのうちの往生寺コースというのは時間がかかるらしいが、我が家からは歩いて登ることができそうだ。車で高度を稼ぐのももちろんラクチンでいいのだが、玄関から歩いて行ける山が増えるのは嬉しい。夫が行ってみようと乗り気だ。午後晴れるとの天気予報を見て金曜日に歩き始めたが、往生寺までの道を一本間違えて歌が丘の方へ出てしまった。少し遠回りをして往生寺まで行けない訳ではなかったが、空から雫が落ちてきて、この日は登るのを諦めた。大峰山の麓の小丸山公園や、歌が丘の辺りを散策して家に戻った。

写真・山頂の看板
観音山山頂の看板

地図・長野市街を囲む北西部の山

翌土曜日、予報はそれほど良くなかったがだんだん晴れてきたので、お昼を持って出かけることにした。我が家から往生寺まではゆっくり歩いて30分弱。

長野に引っ越して来てしばらく経った頃に一度行ったことがあるが、往生寺は唱歌『夕焼け小焼け』の舞台になったというお寺。歌詞の中にある『山のお寺の鐘』は、この往生寺の鐘らしい。また刈萱上人(かるかやしょうにん)の最後の修行地としても知られていて、観光客も訪れるらしい。刈萱上人は九州博多の大名が世の無常を感じて家を捨て修行した人だそうだが、どうも凡人の私には想像も及ばない世界だ。しかも子ども(石堂丸)が弟子入りをしたが、親子の名乗りをあげられないとか・・・なかなか複雑な世界だ。この話はさまざまな語りとなって伝えられている。

大きなサルノコシカケ
大きなサルノコシカケ

そんな昔の無常の世界を頭の片隅に感じながら往生寺口を歩き出す。『遊歩道入り口』の看板があったので、階段を上っていく。ところがお堂のようなところに着いてもそこから道は無い。枯れた森の中、枝を払いながら少し進むが、ますます人の通った痕跡はなくなった。ノイバラのトゲにも閉口して、もとのお堂に戻ることにした。

戻って、お墓の裏の平らな踏み跡を進むと上り道に続いた。古い石の碑が所々に立っている。ジグザグの道に添うようにたくさんある。しばらく登ると善光寺平が下に広がる。目の下には長野西高の校舎やグラウンド、その向こうに善光寺さん、少し霞んでいるが盆地の向こうの山も見えている。

森の中にあるさまざまな実
森の中にあるさまざまな実

西国三十三観音道
西国三十三観音道

分かれ道の道標
分かれ道の道標

その辺りまで来ると稜線が近くなり、分かれ道の道標があった。中央に『観音山575m』と書いてある。私たちの歩いてきた道は『西国三十三観音道』、もう一方の道は『坂東三十三観音道』というらしい。石碑は一体一体が観音様だったのだ。

その道標から一登りで観音山だった。

観音山山頂
観音山山頂

観音山から善光寺方面を見下ろす
観音山から善光寺方面を見下ろす

遊歩道と言うだけにベンチも置いてあり地図の看板もあったが、ほとんど人が歩かないのか、全体的に荒れている。しばらく景色を楽しんでから先へ進む。

倒木を跨ぐ
どっこいしょ

荒れた道
荒れた道

観音山の山頂を巻くようにして葛山への登山道が続いている『転倒注意』の赤文字があったが、どんな道だろう。ほんの少し歩いただけで、了解。道は荒れていた。落ち葉が積もっているのはこの季節では当たり前だが、倒木が道を塞いでいる。細いのや太いのや、一度に何本もの木が横たわっているところもある。しかも倒木の根が掘った穴があり、道が崩れたところもある。スリル満点だ。高低差はあまりなく、郷路山(ごうろやま)と思われるあたりを巻いたあとは緩やかな下りが続くくらいだから、登りのきつさはないのだが、枝を払ったり、くぐったり、またいで乗り越えたり・・・。なかなか大変な道だ。

落ち葉がいっぱいの登山道
落ち葉がいっぱいの登山道

郷路山の道標
郷路山の道標

郷路山は善光寺さんの石畳の石を切り出したところだそうで、道標や看板にも表示してあるが、実際に歩いてみるとどこか分からない。一度道を間違えて緩やかな広い稜線に出てしまったが、その辺りだったろうか。山頂らしき表示も、登山口案内も無いので分からない。次は意識して探してみようかと思う。

道は荒れているが、カラマツの落ち葉が増えてきたあたりから倒木は減って来た。クリのイガが沢山転がっているそばに、ツチグリが一つ落っこちていた。

キノコやホオノキの葉がいっぱい
キノコやホオノキの葉がいっぱい

笹が茂るところを越えると葛山の登山口に出る。先日私たちが下りて来た(※)『かつら歩道』より1本東よりの『からまつ歩道』。ここから道は広くなり、二人並んで歩ける。ホオノキの落ち葉が一面に広がり、道が白く見える。

思ったより長く歩いて、頼朝山の道標があった。道標からはすぐ山頂だ。

頼朝山山頂
頼朝山山頂

風が冷たいが、ベンチがあるので頼朝山の山頂でお昼を食べることにした。山頂からは長野市街、裾花川が見えている。風が強くなってきたので、お昼を食べて早々に引き上げることにした。途中道を別れて少し入ったところにある旧静松寺跡に立ってみると、兵(つわもの)ども・・ではなくて僧どもかな・・の夢のあとという無常の気配が漂っていた。

兵(僧?)どもの夢のあと
兵(僧?)どもの夢のあと

頼朝山頂から長野市と裾花川を見る
頼朝山頂から長野市と裾花川を見る

再び沢山の倒木を乗り越え、くぐり、観音山まで戻る。帰りは気楽だから、写真を撮りながらのんびり歩く。観音山からは『坂東三十三観音道』を、観音様に記されている文字を見ながら下りて来た。




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