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アファンの森再び(長野県)

2021年2月21日(日)


photo スノーシュー初体験,アファンの森
スノーシュー初体験

真っ青な空。数日前に積もった20cmほどの雪も昨日までの二日間の晴天でどんどん溶けている。そして今日は一段と暖かい。『たのちゃん頼み』と、私たちは言っているのだが、友人はすごい晴れ男。でも、今回は威力が強すぎたんじゃない?と苦笑い。

アファンセンターの駐車場に車を停め、森歩きの準備をする。初めて履くスノーシューの取り扱いにオタオタしている間に汗が吹き出してくる。2月というのに、着ている服を1枚また1枚と脱いでいく。


photo ウスタビガの繭,アファンの森
ウスタビガの繭

ここは長野県黒姫山の麓にあるアファンの森、昨年秋に友人に誘われ訪ねたのが初めてで(※)、今回は2回目の訪問。昨日やってきた『たのちゃん&きみちゃん』と久しぶりの会話に花を咲かせ、今日は森歩き。しかも私たちにとっては初めてのスノーシュー体験だ。
(※山歩き・花の旅131 風の通るところ、アファンの森


photo 童心をくすぐる(かけっこ),アファンの森
童心をくすぐる(かけっこ)

森は雪に覆われているが、気温が上がったので、表面は溶けて重い感じになっている。歩き出すとすぐ大きな木に緑色のものがぶら下がっている。ウスタビガの繭、下から覗くと穴が開いている。何か天敵に食べられたのだろうか。自然の営みは厳しい、食べるものと食べられるもの、常に自らを守るために緊張を強いられる世界だ。食物連鎖の頂点にあると自惚れている人間はいつかそのしっぺ返しに合うのではないかと思ってしまう。謙虚に自然の営みに触れていきたいものだ。

photo 雪原に立つウバユリの実(カラ),アファンの森
雪原に立つウバユリの実(カラ)

それはともかく、今日はその自然の一部に親しませてもらうありがたい日、まずはスノーシューで歩いてみよう。一面の雪の原にウバユリの実が立っている。潔い姿だ。もちろん、もう種はない、どこかに飛んで空っぽだ。積雪は多いところで60〜70センチメートルくらいか、何度か凍って溶けて、表面は締まっているので、あまりふわふわ潜らない。しばらく歩くと池のほとりに出た。氷が張っているけれど、端の方はもう温んで溶けている。硬い雪玉を投げれば、簡単に穴が開くほどの薄い氷だ。

photo 冬の池,アファンの森
冬の池

photo 水温む池,アファンの森
水温む

photo ポカポカ陽気の森,アファンの森
ポカポカ陽気の森

森の中は、動物の天国なのだろう、タヌキ、キツネ、ノウサギ、イノシシなどの足跡が雪の上に残っている。しかし、暖かい陽気で足跡もぼんやり溶けているものが多い。数日前に重い雪が降った時にその重みに耐えかねて折れたらしいヒノキやマツが痛々しいが、その影に動物たちが隠れたらしく、フンが散らばっている。ノウサギの丸いフンや、シカのフン。長野県の北部に鹿は生息しないと思っていたのに、彼らはずいぶん生息域を広げているらしい。自然の中に咲く花を食べて絶滅させないようにと祈る。

photo ハリギリの冬芽,シカのフン,イノシシの足跡,アファンの森
自然の姿さまざま

photo エビのしっぽ,アファンの森
エビのしっぽ

姿を見ることはできなかったがリスなどもいるのだろう、雪の上に食べ散らかしたエビのシッポがたくさん転がっている。松ぼっくりの硬い殻をむいて中の種を食べた痕なのだが、本当にエビのシッポに見えるのがおかしい。


雪の上を自由に歩くのはとても開放感があって楽しい。しかも今日は滅多にないポカポカ陽気、私たちの足取りは軽い。たのちゃんは童心に返って雪だるま作りに挑んでいる。きみちゃんに言わせると、童心に返るのではなく、常に童心なのだそうだけれど・・・。

photo 初スノーシューでご機嫌,アファンの森
初スノーシューでご機嫌

photo 童心をくすぐる(雪だるま),アファンの森
童心をくすぐる(雪だるま)

photo 童心をくすぐる(そり),アファンの森
童心をくすぐる(そり)

今日アファンの森を訪ねた人たちの中には子供もいるからと、案内してくれる方がシリ滑り用に簡単なソリを用意してくれたが、一番乗りはやっぱりたのちゃん。とは言うものの、本当はもちろん一番に滑るのは大変、道をつけてあげると、後の人が滑りやすくなるのだ。たのちゃんが道をつけた後に、小さな子供たちがキャーキャーと滑っている。

勝手なことをしているようで、何気なく先導しているたのちゃんに脱帽だ。


photo シラカバの老木,アファンの森
シラカバの老木

森を歩いていると、木の皮が落ちている。見上げれば見事なシラカバの大木。シラカバはあまり長生きしない木だと聞いている。この老木の風格に思わず息を飲む。私たちと同じ老人ですね、などと軽口をたたいているが、内心感動している。アファンの森にはさまざまな木が大切に育てられているが、どちらかと言うと若い木が多く見える。こんな老木を見るとなんだか嬉しくなるのは自分が歳をとっているから?

photo アファンの森で友人と
アファンの森で友人と

まぁいいか。私たちは森の空気を思い切り吸い込み、春間近のポカポカ陽気を楽しんだ。

森の入り口近くで4人一緒の記念撮影。あの白樺と同じ老齢、普段はそれぞれの生活をしている仲間だけれど、何気なく寄り添い、何気なくともに歩く、心から有難いことだと思う。

photo 楽しく歩いて美味しく食べる,アファンの森
楽しく歩いて美味しく食べる

お昼はみんなで握ったおにぎりをパクついて、あ〜幸せと笑う。なんと単純な私たちだろう。でもなんだか満ち足りた1日ではないか。




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