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富士山が近い三ツ峠山 1785m(山梨県)

2003年 10月19日(日)2023.10記

インフォメーションのイメージ画像 使用した写真の多くはフィルムカメラで撮ったプリント写真をスキャンしデジタルデータ化したものです。

photo:紅葉が始まった道をてくてく登る:三ツ峠山
紅葉が始まった道をてくてく

涼しくなって雨の日が続くと、たちまち山が恋しくなる。毎日のように裏山へ行っているのに、数日出かけられないと山に置いてきぼりされたような気分になる。

山梨から友人が来て、南アルプスや富士周辺の話が弾んだら急に昔の山旅の風景が目に浮かんできた。 行ったことがある山、行きたかったけれど行けなかった山、名前だけは知っている山・・・。山の名前をあげればキリがない。

photo:ヤマハッカ:三ツ峠山
ヤマハッカ

三ツ峠山に登ったのは秋真っ盛りの頃だった。7時頃に当時住んでいた神奈川の家を出て東名高速を御殿場まで、さらに東富士五湖道路から河口湖大橋を越えて御坂みちに進む。

家から2時間、歩き始めたのは9時だった。三ツ峠山登山口からのコース、いくつかあるルートの中で、最も一般的なコースだ。つまり短時間で登れる、コース。

紅葉には少し早めの季節だが、木々の葉は少しずつ色づいている。ススキが揺れて風情がある。道端にはヤマハッカ、トリカブトなど濃い青が綺麗だ。フジアザミが重そうに大きな花をもたげている。アザミの花は何種類かあるようだが、名前がわからない。この山域にはミツトウゲヒゴタイなどという花もあって、ちょっとアザミに似ている。

photo:フジアザミ:三ツ峠山
フジアザミ

photo:アザミ名称不明:三ツ峠山
何アザミかな

地図:三ツ峠山

photo:雲の上に山頂が見える富士山:三ツ峠山
雲の上に山頂が見える富士山

三ツ峠山は富士の展望が良いことで知られているから、私もその名を知っていて、いつか行きたいと思っていた。山頂直下の屏風岩はロッククライミングのメッカと言われていて、その岩壁を見るのもまた楽しみだった。

富士山といえば10代の最後に吉田口から登ったことがある。大学の体育授業の一環だった。麓でテント張りをしたり、屋外でご飯を炊いたりしてから日帰りの予定で登った。風が強いが晴れていた。快調に登って本八合目の小屋を過ぎ、山頂が近くなった。その時、仲間の一人が体調の不具合を訴えた(らしい)。先頭あたりにいた私は、「今日はここまで」というリーダーの声を聞いて信じられない思いだった。下りは一気に砂スキーで滑り降りた。さらに深い森の中を歩いて二合目にある宿泊所まで悔しい思いを胸に抱いて降りた。たった一人でも、もちろんその人を守るのは大切だけれど、たくさんの指導者がいたのにどうして全員が降りなければならないのか分からなかった。私が単独行を好むのは、グループで登って山頂を踏めないことが何度かあったからという経験もその理由の一つかもしれない。残念ながら、その後富士山を目指すチャンスは作れなかった。仕事がらみで須走から小富士へ、御殿場ルートから宝永山下まで歩いたことがある。一つの山の五合目あたりなのに、全く異なる山の姿を見せてくれた。遠くから眺める富士山は一様に美しい三角に見えるのに、やはり日本一の高さを持つ山、裾野も広いということだろう。

photo:カニコウモリの群落:三ツ峠山
カニコウモリの群落 1999.8.26

photo:霧にけむる御殿場口五合目:三ツ峠山
霧にけむる御殿場口五合目1999.7.01


photo:隠れた富士山:三ツ峠山
隠れた富士山、三ツ峠山荘から

photo:色鮮やかな落ち葉:三ツ峠山
色鮮やかな落ち葉

さて、三ツ峠山には開運山、御巣鷹山、木無山の三つのピークがあり、その総称として三ツ峠山と呼んだり、最高峰の開運山を三ツ峠山と呼んだりするようだ。時間があれば三つの山を縦走したいと思うが、いつも何かに追われるように忙しくしていたあの頃は最短ルートで山頂を踏んで来るのがやっとだった。

photo:山頂と屏風岩:三ツ峠山
山頂と屏風岩

photo:三ツ峠山山頂で:三ツ峠山
紅葉の道を歩いて三ツ峠山山頂へ

ジグザグ道を登っていくとやや緩やかになってくる。そのまま登って山頂へ行く道があるが、右へ回って三つ峠小屋に出る。小屋の前は広くいくつかテーブルがある。そこからは山頂と、切れ落ちている屏風岩が垂直に立っているのが見える。登ってくる人はいないかと少し眺めてから山頂へ向かった。山頂にはいくつかの電波塔が立っていてちょっと興醒めだったが、富士山が大きく見えるとあって何人もの登山者がくつろいでいた。

11時前には山頂に着いたので、ゆっくり過ごすことにした。昔一人で登った南アルプスの北岳や鳳凰山も見えている。

photo:南アルプス:三ツ峠山から
南アルプスが見える

photo:ススキ:三ツ峠山
ススキを愛でながら蓬餅を食べる

photo:山頂から八ヶ岳も見えた:三ツ峠山
山頂から八ヶ岳も見えた

大きく裾野を広げた八ヶ岳も手が届くようだ。富士山と八ヶ岳の背比べの昔話(二つの山頂に樋を渡したら水が富士の方に流れたので、悔しがった富士山が八ヶ岳のてっぺんを蹴飛ばした)によれば富士山に蹴飛ばされたという八ヶ岳の山頂はボコボコしているが、裾野の広さをそのまま上へ伸ばせばかなり高くなるなぁなどと思ってしまう。昔の人が山を見上げて考えたことは面白い。

たっぷり展望を楽しんだので、1時前には下ることにした。紅葉を楽しみながらの下りは足が進み、歩き始めて30分で車に戻った。来た時と同じ道を戻ったが、まだ昼時間だったので道は空いていて、午後2時半には家に帰り着いた。

photo:どんぐりが落ちている道:三ツ峠山
どんぐりが落ちている道

photo:山は黄金色に染まって:三ツ峠山
山は黄金色に染まって




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