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花を探して沢を遡行 頼朝山 644m(長野県)

2023年4月22日(土)


昨年も春に何度かやってきた、頼朝山。中腹に咲くらしいイチリンソウを見たいと思ってぐるりと道なき道を訪ね歩いたが、見つけられなかった。もう一度見に行ってみようか、昨年は沢の下部を遡ってみたけれど、上部の水辺まで降りてみなかったので、今回はそこを見に行ってみよう。

photo:フラサバソウ:頼朝山
フラサバソウ

photo:ヤエムグラ:頼朝山
ヤエムグラ

photo:オドリコソウ:頼朝山
オドリコソウ

photo:カキドオシ:頼朝山
カキドオシ

諏訪神社の境内で

仕事があるという夫を留守番に残して、一人で向かう。往生寺へ登る坂の途中から南西に辿り、諏訪神社の境内で花を見る。

photo:キンギンボク(金銀木):頼朝山
キンギンボク(金銀木)

photo:チャンチン芽吹き:頼朝山
空に映える紅い芽吹きチャンチン

クルミの木がもう花穂をつけている。その大きなクルミの木の根元にはキンギンボクが取り囲むように茂って満開だ。シャガや日本タンポポも咲いている。フラサバソウを見たかったが、ほとんど花をつけていない。ヤエムグラが一面に茂っていてわずかな葉が申し訳なさそうに地面にくっついている。目を近づけてみると一つ花が残っていた。

photo:クサノオウ:頼朝山
クサノオウ

photo:ホタルカズラ:頼朝山
ホタルカズラ

photo:シャガ:頼朝山
シャガ

photo:シナノタンポポ:頼朝山
シナノタンポポ

登り始めに会った花

諏訪神社から頼朝山の登山口に向かう。斜面にはオドリコソウが満開だ。クサノオウも賑やかに花開いてきた。山に入るとホタルカズラの花とチャンチンの落果が華やかだ。チャンチンの実はまるで花のような形が面白い。

あまりたくさん落ちているので、見上げると高いところに赤い新葉が広がっている。あれがチャンチンではないだろうか。 所々倒木の裏側などを覗き込んで粘菌も探しながら登る。昨年の活動の跡ばかり多い中で、マンジュウドロホコリさんが活動を始めたようだ。

photo:マンジュウドロホコリ:頼朝山
マンジュウドロホコリ

photo:ヤマツツジ:頼朝山
ヤマツツジ

さらに登っていくと斜面が赤くなっている。ヤマツツジがもう満開だ。ヤマツツジは木によって花の色が微妙に違う。濃い赤もあれば、ちょっと褪せちゃったというような色の薄いのもある。華やかな、燃えるような赤というのもある。そして透き通るようなもの、厚い頼もしそうな花もあるのだ。ヤマツツジの色の変化を楽しみながら登っていくと青い星が落ちている、フデリンドウだ。頼朝山は春爛漫だ。

photo:裾花川:頼朝山
裾花川を見下ろす

冬に孫と眺めた裾花川を今日は一人で眺め、山頂を踏む。さて、目的はこれからだ。ずりずりと沢へ向かって降りていく。昔は人がいたような痕跡が所々に残っているのだが、今でもたまには来る人がいるのだろうか。大きなバケツやホースが見える。農機具の苔むしたようなのも転がっている。それらの脇を通って沢に降りてみる。狭い沢には細かい砂利が積もって、その上にシダなどが生えている。倒木がゴロゴロ重なり合っているので、跨いだりくぐったりしてまずは下へ向かう。以前登山口からかなり上まで遡ってみたことがある。ワサビの花が咲いている。かなり降っていくが、ワサビの花とシダ類しか見えない。前に登ったあたりだろうか、大きくカーブしている沢の荒れ具合にこれ以上は諦め、今度は登り返す。

photo:ワサビ:頼朝山
ワサビ

photo:オククルマムグラ:頼朝山
オククルマムグラ

photo:イカリソウ:頼朝山
イカリソウ

photo:ネコノメソウ:頼朝山
ネコノメソウ

沢辺の花

降りてきた道を登り返すのが正しい選択だろうと思いながら、上流部の様子も見てみたくなり、そのまま沢を遡行することにした。

photo:沢の下部:頼朝山
沢の下部

photo:左岸を巻いて登った:頼朝山
左岸を巻いて登った

荒れ具合はさらにすごい。狭い沢の両側が切れ落ちていて、そこに数本の倒木が折れ重なっている。小動物にとっては良い橋になっているかもしれないが、私には通れない。少し上に上がって巻いていく。タヌキのため糞がある。そっと水辺に降りてネコノメソウを見ていたら、すぐ上の森の中で大きな息遣いのような音がした。ガサっと動く音も。クマさんか?いや、こんなところにいない?ともかく予防するに越したことはないと大きくリズムをとって手を叩く。しばらくして手拍子をやめたが、森は静かになった。

photo:源流についた:頼朝山
源流についた

photo:道無き道も二人なら楽しいけれど:頼朝山
道無き道も二人なら楽しいけれど 2022.5.4

沢は源流に近くなったようで、少し広がって湿っぽい草地になっている。やけに白い木の枝があると思って近づいてみたら、それは鹿の角だった。びっくり。やっぱり鹿はこんなに北の山にも住むようになったんだ。置いて行こうかと思ったけれど、夫にも見せてあげようと持って帰ることにした。う、重いではないか。家に帰って測ったら1kg以上あった。鹿はこんなに重いものを頭の上に乗せて歩いているのか、それも2本も・・・。妙なところで感心してしまう。

photo:翼が見えてきたウリカエデ:頼朝山
翼が見えてきたウリカエデ

さて、ついに源流に辿り着いてしまった。見上げれば急な斜面が。どうしようか。一番緩やかに見える斜面を攀じ登ることにしたが、登り切ったところは狭い尾根の先端、もっと急な斜面が上に続いている。でも、ここを登れば林道に出るだろうと頑張ることにした。

ただザレていて木が生えていないので、手がかりがとても少ない。土を払って出てくる木の根っこを掴みながらなんとか登り切った。ビニール袋に入れて持ってきた鹿の角はあちこちにぶつかって、袋がボロボロに裂けている。

残念なことに飛び出したところはまだ林道ではなかった。でも傾斜は緩やかになり杉林も出てきた。あと一息だ。林道にとび出した時は道端のミツバツチグリが一際美しく見えた。

photo:ムラサキケマン:頼朝山
ムラサキケマン

photo:フデリンドウ:頼朝山
フデリンドウ

photo:ハクサンタイゲキ:頼朝山
ハクサンタイゲキ

photo:ミツバツチグリ:頼朝山
ミツバツチグリ

彩り豊か

コンパスも地図も持たずにルートファインディングは基本やってはいけないことだと思う。全体の地形が頭に入っている低い里山で、歩く距離が少なくて済むという気持ちで遡ったけれど、やはり危険と隣り合わせだということを感じた。

自分が思っていたより観音山に近いところまで行っていたので、林道をしばらく戻って再び頼朝山の山頂に到着。

立派な鹿の角と一緒に登頂写真を撮ってから家に向かった。

そうそう、イチリンソウにはついに会えなかった。

photo:鹿の角と再登頂:頼朝山
鹿の角と再登頂

photo:お土産は鹿の角:頼朝山
お土産は鹿の角




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