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地附山 733m 桝形城跡 706m(長野県)

2023年4月10日(月)附記 4月13日(木)


3月後半はびっくりするほど気温が高くなって、花々が咲き急いだ感があるが、4月に入ってから平年並みの寒さが戻ってきた。ゆっくり春の盛りを楽しみたいものだと思っているから、朝晩の寒さは我慢しよう。

9日日曜日、年度始めの多忙にバタバタしている夫を残して地附山〜桝形城跡を歩いてきた。駒弓神社から登って、途中藪の中を歩き、粘菌を探す。夫へのお土産をと思うが、昨年の活動の跡しかない。地附山から桝形城跡を巡って再び駒弓神社に降りるまで、粘菌には会えなかったが、木々の花が空を彩り美しい。

photo:ヌカホコリ:地附山

photo:ヌカホコリ:地附山

photo:ヌカホコリ:地附山

photo:ヌカホコリ:地附山

ヌカホコリ

翌日自分の目で木々の花や粘菌を見たくなった夫と、再び地附山へ。「今日は楽ちんコースで、一気に桝形城跡に行ってみよう」と、地附山公園の駐車場に車を停める。

公園の桜が満開だ。たくさんの人が桜を見に訪れている。私たちはゆっくり桜の下を歩いて山道に入っていく。イタヤカエデの緑の花が青空に映えて美しい。

photo:オオバクロモジ:地附山
オオバクロモジ 4.9

photo:ウリカエデ:地附山
ウリカエデ 4.9

粘菌探しをしながら歩いていると、どうしてもテンポは遅くなる。右に左に藪の中の倒木を探しながら歩くからだ。旧バードラインの脇の藪の中で倒木の下にびっしりビョウタケが生えているのをのぞき込んでいたら、下から上がってきた二人連れが笑いながら近づいてきた。あらイケさん、こんにちは。一緒にいる男性も山で何度か会っている顔馴染みだ。

photo:シュンラン:地附山
シュンラン

photo:ショウジョウバカマ:地附山
ショウジョウバカマ

photo:スミレの仲間:地附山
スミレの仲間

photo:スミレの仲間:地附山
スミレの仲間

道端に咲く 4.9

しばらく立ち話をした後、一緒に桝形城跡に登ることにした。ついに粘菌の図鑑を手に入れたというイケさんは、嬉しそうに私たちと一緒に倒木をのぞきこんでいる。もう一人の男性は、蝶や木の芽など、自分の興味のあるものにカメラを向けている。

photo:桜の花と志賀の山:地附山
桜の向こうに志賀の山

photo:イタヤカエデ:地附山
イタヤカエデ

4人で前になり後ろになり、見つけたものを眺めたり、話したりしながら地附山へ向かう。冬を越したルリタテハやヒオドシチョウが私たちの周りをひらひら舞っている。小さな蛾の仲間も嬉しそうだ。近づいてそっと見ていると、小さな蛾の羽を叩く音が聞こえる。

photo:桝形城跡で:地附山
桝形城跡

photo:イタヤカエデ:地附山
びっしりビョウタケ

photo:日向ぼっこをするルリタテハ:地附山
日向ぼっこをするルリタテハ

photo:山繭の糸:地附山
こんなに伸びた 山繭の糸

大きなスミナガシが立てる音は強くてびっくりしたことがあるが、小さな蛾の羽音を聞くことができたのは嬉しい発見だ。

森の中にヤママユガの繭の抜け殻を見つけた。ヤママユガ、ウスタビガの繭は、里山では時々木にぶら下がっているのを見る。もう本体は抜け出していて、繭は空っぽだ。この繭から絹糸をとったんだよね〜と話しながら、そっと端の糸を引いてみる。細かく光沢のある糸が伸びてくる。ゆっくり引くと切れずに伸びてくる。途中でイケさんに交代して糸引きが続いた。1メートル以上伸びてもまだ繭は3分の2以上残っている。糸はホワホワと温かく手に優しい。これが本物の絹なんだね。あまりにも細い糸だけれど、その存在感に驚く。

糸引きをしながら、地附山の山頂に辿り着く。山頂で定点撮影をしてから、のんびり休憩タイムを楽しむ。昨日は一人でつまらなかったけれど、今日は気の合う仲間と話しながらの山頂だ。

photo:地附山山頂で休憩:地附山
地附山山頂で休憩

photo:定点撮影一人は寂しい:地附山
定点撮影一人は寂しい

空は青く、ほとんど雪がなくなった飯縄山、その奥の黒姫山、そしてまだ白さが際立つ妙高山、地附山の山頂から眺める三山はいつ見ても素晴らしい。

私たちはしばらくおしゃべりを楽しんだ後、降りることにした。帰りはパワーポイントからカエデの森を通って公園に向かおう。カエデの花はとても小さくて葉の影にぶら下がるように咲くから目立たないけれど、可愛い。実になるとプロペラのようになって、風に乗って遠くまで飛んでいく。

photo:倒れた木を整備:地附山
倒れた木を整備

トレッキングコースを歩いていると、斜面の木が倒れてコースに覆い被さるようになっていることがある。今日も細い木が頭上に倒れ込んでいた。イケさんたちは早速先端の危ない部分を切り落とす。「あとであの木を切りにこようか」「あれとあれが危ないね」と指差しながら話している。ありがたいことだ。

公園近くまで降りてから、イケさんが高い空を見上げて「あれがカジカエデ」と指さす。木の梢が赤く染まっているようだ。遠い上に逆光だ、「カメラで綺麗に撮るには倍率の高い望遠レンズがないと難しいね」と言いながらも、小さなカメラで狙ってみる。

photo:カジカエデの花:地附山
カジカエデ 実を形成し始めている

なかなかうまくは撮れないけれど、なんとなく花の姿はイメージできるかな。フィルムの頃には考えられないことだったが、写した画像を再生してみんなで見てみる。長い柄の先に赤い花、その花が集まって房になっている。華やかだね。

photo:アカフタチツボスミレ?:地附山

photo:アカフタチツボスミレ?:地附山

photo:アカフタチツボスミレ?:地附山

photo:アカフタチツボスミレ?:地附山

アカフタチツボスミレか 4.9

photo:ムラサキケマン:地附山
ムラサキケマン

桜の花が散る中をイケさんたちと分かれ、私たちは下の駐車場に向かう。スミレもたくさん咲いているけれど、なかなか名前がわからない。昨日、駒弓神社から登ったコースで見つけた葉に赤い斑が入っているスミレはアカフタチツボスミレだろうか。花の柄もじっくり見たけれど毛は無いようだった。ずいぶん目を凝らして探したつもりだけれど、今日のコースでは見つけられなかった。


附記

photo:黄砂で山が見えない:地附山
黄砂で山が見えない

午後には用があるけれど、朝から出掛けて「昼までに戻ればいいから山を歩いてこよう」と話しながら出掛けたのは、3日後の木曜日。公園の駐車場に車を停めて、車道経由で公園東端に登り、そこから藪の中を登っていこうと話しながら歩いていた。

photo:冬を越えたマンネンタケ:地附山
冬を越えたマンネンタケ

黄砂が飛んできているという日で、向こうの山は見えない。下の町もヴェールを被ったように霞んでいる。

道端の花を見ていたら、車が登ってくる。振り返ると運転席からイケさんがニコニコ顔を出して「内緒で登っちゃ困るな〜」と冗談を言う。上の広場で落ち合って一緒に歩くことにする。藪の中の道はイケさんの方が詳しい。周囲に目をやりながら歩いていくが、粘菌はまだまだ活動していないのか。昨年顔を出していたマンネンタケはまだ残っていた。

photo:ヤマブキ花と蕾:地附山
ヤマブキ花と蕾

photo:ヤマブキ満開の道を行く:地附山
ヤマブキ満開の道を行く

photo:地附山はカエデの新緑:地附山
地附山はカエデの新緑

頭上の木々が花盛りだ。ヤマブキの花も明るい黄色に輝き出した。斜面一面に咲くと見事だ。六号古墳を周り、足元のショウジョウバカマを見、モミジイチゴの俯いた花を見、ウリカエデやオオバクロモジの花を見る。見上げればウラジロノキ、シデザクラなどが蕾をつけているようだ。森の花はこれから次々と開いてくるから、楽しみだ。

photo:ハチノスケホコリ:地附山
ハチノスケホコリ

photo:ヌカホコリ:地附山
ヌカホコリ

photo:フンホコリ:地附山
フンホコリ

photo:ムラサキホコリ:地附山
ムラサキホコリ

粘菌の活動はこれから

わかっているかのように書いているけれど、木のことはイケさんに聞きながらじゃないとまだまだだ。幹の肌の様子、枝ぶりと全体の樹形、葉の特徴、そして花から実・・・。

photo:イロハモミジ:地附山
イロハモミジ

photo:カジカエデ:地附山
高いところにカジカエデ 4.13

少しずつ覚えた花を見上げて名前を呼びながら歩いていく。この日もカジカエデを見上げてから帰路についた。高いところに光るカジカエデはすでに実を形成しているようだった。




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