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ロウバイに会う鉄道旅(埼玉県)

〜羅漢山 215m、花園御嶽山 247m、鐘撞堂山 330m、高根山 284m〜 

2023年1月12日(木)


photo:ロウバイ満開:鐘撞堂山
ロウバイ満開

今年こそはロウバイ(蝋梅)を見に行こう、あの芳しい香りを感じてこようと話していた。昨年思い立って調べた時はもう花の季節が終わっていた。2月から3月にかけて咲くと勘違いしていたから。ロウバイは1月から2月にかけて咲く冬の花だった。漢字では梅と書くが、梅と同じバラ科ではない、れっきとしたロウバイ科の潅木だ。

半透明に透き通ったクリーム色の花びらも綺麗だが、なんといっても独特の甘く優しい香りがいい。関東あたりには何ヶ所かロウバイ園があるらしいが、山に登って見るのがいいと思っていた。

地図:寄居町周辺

photo:乗車券
乗り鉄の楽しみ


秩父鉄道の駅から歩いて登れる低山ハイキング、山頂周辺にはロウバイが咲くという鐘撞堂山と、その近くにある羅漢山に行ってこよう。羅漢山の標高は低いけれど、五百羅漢様が登山道脇にずらりと並んでいると聞く。正月早々羅漢様にご挨拶してくるのもいいではないか。


乗り鉄旅の最初は北陸新幹線で熊谷駅へ。ここで秩父鉄道に乗り換え、波久礼(はぐれ)駅まで行く。駅には人がいない。踏切を渡って曹洞宗のお寺、少林寺を目指す。最初に渡った川には西行戻り橋という小さな橋がかかっていた。私たちは戻らず進む。

地図:鐘撞堂

photo:波久礼駅で下車
波久礼駅で下車

photo:波久礼駅駅舎の前で
波久礼駅

西行さんがここから戻ったいわれが書いてあるが、ユーモアなのかただただ真面目なのかよくわからない。

少林寺に着くと、太った猫が草の影から顔を出した。ちゃんと座ってこちらを見ている。いらっしゃいませと言っているようだ。猫さんに挨拶して五百羅漢と矢印が出ている登山道に進む。少林寺は16世紀初頭に創建された古刹で、三大五百羅漢(川越の喜多院、目黒の五百羅漢寺とともに)と書いてある案内もあるが、明確ではない。

photo:西行戻り橋
西行戻り橋

photo:猫さんがお出迎え 少林寺
猫さんがお出迎え 少林寺

羅漢様に挨拶しながら登っていく。それにしても圧倒される数だ。実際は五百体以上あるそうだ。羅漢とは阿羅漢の略で、悟りを開いた人や修行を積んだ人、煩悩を断滅した境地に達した人などと言われる。見ていくと頭を抱える像、耳を抑える像、口に手を当てている像、怒っている像、笑っている像、中にはうつ伏せになっている像まである。この様々な羅漢像が、どんな思いでここに安置されたのか・・・、修行の道は厳しいという事なのだろうか。

photo:いろいろな羅漢様
いろいろな羅漢様

羅漢様に横目で挨拶しながら登って、山頂のお釈迦さまの前に到着。麓はポカポカ暖かくてホトケノザやノボロギクがたくさん咲いていたが、山頂にはまだ霜があった。羅漢山山頂から少林寺へ降りるもう一本の道には千体荒神石碑が安置されているそうだが、山頂下の一部だけ見て、私たちは円良田湖方面へ降った。

photo:五百羅漢と羅漢山山頂で
五百羅漢を巡って羅漢山へ

降り始めると分岐を右に降りるよう道標が出ている。しかしここを直進したら、国土地理院の地図によるピーク247mの頂に行けるだろうと、まずは直進してみる。滑りやすい急坂を登ると、鳥居があり、痩せた狼のような狛犬がいる。階段の上は広く平らな頂で、石碑のようなものがぐるりと周囲に立っている。石碑の奥は秩父の山が見える頂だ。あとで調べたところ、ここは花園御嶽山というらしい。ここが247mの山頂だ。

photo:花園御嶽山は広い奥宮
花園御嶽山は広い奥宮

photo:ヤブツバキ満開 桃色は咲き初め
ヤブツバキ満開 桃色は咲き初め

さぁ、次はロウバイを見にいこう。分岐まで戻ってからヤブツバキの咲く道を降っていく。途中、倒木の影をのぞいて粘菌を探す。冬に活動するらしいハチノスケホコリがここにもいて嬉しくなる。さらに降って、左に円良田湖への道を分けて、緩やかな登り道を鐘撞堂山へ向かう。沢沿いの道は本当に登っているのかと思うほど緩やかな林道、この道まで来ると時々すれ違う人がいる。沢沿いの枯れた藪の上にはカラスウリの赤い実が光っている。

photo:立派な木
立派な木だなぁ

この藪には太い倒木があるので、そっと下側を覗くといる、いる。ムラサキホコリやヘビヌカホコリが元気に活動しているようだ。ひとしきり粘菌観察を楽しんでから再び登っていく。水の流れがほとんどない川原には薄い板状に割れた緑色の光る石がたくさん転がっている。秩父は蛇紋岩があるところだけれど、その破片だろうか。

photo:ヤブコウジ,カラスウリ,マユミ,不明の実
実りのいろいろ

photo:ヘビヌカホコリ

photo:ヘビヌカホコリ

photo:ヘビヌカホコリ

photo:ヘビヌカホコリ

ヘビヌカホコリ

photo:ムウラサキホコリ,クロスミホコリ?,スズメバチ?,霜
森で見つけた

photo:緑色に光る石が転がる沢
緑色に光る石が転がる沢

沢から別れて少し急になった道を登っていくと、遠くに明るいクリーム色が見えてきた。ロウバイかな。最後の急登は階段が造られていて、そこをひと頑張りで山頂に出る。山頂下には巻道のようになったロウバイの群生があるので、私はそっちからいく。夫は一足先に階段から山頂へ。青空に映えるロウバイの良い香りを楽しみながら反対側から山頂へ出る。

山頂には大きな四阿と、見晴台があり、はずれには名前の由来の鐘がぶら下がっている。平日だけれどロウバイが見頃だからか、山頂には人が多く、順番に鐘をついていく。12時を過ぎていたので、まずは四阿でおにぎりを食べよう。熊谷駅で買ってきたポタポタ餅と熊谷アンパンも仲良く半分こだ。

photo:ロウバイ
ロウバイの香りに包まれて

photo:鐘撞堂山山頂の鐘と三角点
鐘撞堂山330m山頂の鐘と三角点

photo:山頂で憩う:鐘撞堂山
山頂で憩う

暖かい陽気を楽しみながらおにぎりを食べていると、それまで賑わっていた人たちが降りて行った。誰もいないチャンスに記念撮影をしよう。登頂の記念に鐘もつく。この鐘の音は硬い音で、あまり良い響きではないね。

photo:鐘撞堂山の見晴台
鐘撞堂山の見晴台

見晴台に登ってみるが、霞んでいて遠くの山は見えない。淡いクリーム色の花の向こうには寄居の町が広がっている。空は青いのに、天気は下り坂のようだ。

しばらく休んでいると、またやってくる人が増えてきた。みんなロウバイの香りに惹かれてきたのかな。私たちはそろそろ降ろうか。

photo:ロウバイ2種:鐘撞堂山
ロウバイ2種

photo:青空に映えるロウバイ:鐘撞堂山
青空に映えるロウバイ

目的は達したので、あとは降るだけだけれど、ハイキングコースはたくさんあるらしい。寄居の駅方面に行く尾根筋にある高根山の頂を踏んでから降りようかと話は決まった。鐘撞堂山からぐるりとロウバイの咲く道を回って、来た道に戻る。すぐ左へ折れていく。しばらく降るとさらに大正池への道を左に分け、右への尾根道を登り始める。沢の向こうにさっきまでくつろいでいた鐘撞堂山の山頂稜線が見えている。風に乗って声が流れてくる、訪れる人が多い人気の山なんだ。時々聞こえてくる声を背中にしばらく歩くと高根山の山頂に到着だ。今日、4つ目のピークになる。ベンチが置いてあるが、木々に囲まれているのであまり日当たりは良くない。

photo:四つ目のピーク高根山山頂
四つ目のピーク高根山 284m

photo:急で滑りやすい道:高根山
急で滑りやすい道

記念撮影をしたら、降ろう。「寄居駅方面」とある左側の道を下ることにした。持って来た地図にはないけれど、道標は比較的新しいし、踏み跡もしっかりしているので大丈夫だろう。

途中ロープに頼るような急坂があったが、ほとんど人が通らないような笹の道は面白く、滑るように降りて民家の裏に出た。

photo:帰りも鉄道を楽しみながら:寄居駅
帰りも鉄道を楽しみながら

寄居駅に近づくと重そうな貨車が走ってきて、普段なかなか見られない鉄道の力強い姿を見ることができた。そしてやって来たのはさまざまな生き物の姿が描かれた楽しいジオパークフルラッピング電車。電車内部の壁にも天井にも描かれ、生き物たちの説明も書いてあるので、楽しんで帰り道についた。




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