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241 有明山 652mから一重山(ひとえやま) 458mへ(長野県)

2022.2.3(月)


photo:森将軍塚古墳から北の空を臨む
北の空に雲が残る

長野市の隣、千曲市にあるという一重山(ひとえやま)が気になっていた。その名前がいい。七重八重などと沢山がもてはやされるが、一重とはすっきりとしているではないか。しなの鉄道屋代駅のすぐ裏にあり、標高も458mという小さな山だから、そこだけ目指して出かけるのもなんだかもったいない気がしてのびのびになっていた。

朝起きたらふわりふわりと雪が舞っている。「今日は晴れの予報だったよね」と言うと、「冬型気候になったから南は晴れているよ」と、夫。他に予定がなかったので、少し南下して雪のなさそうな山を歩いて春を感じようと話していたのだ。今日は節分、冬と春を分ける季節になったのだ。

南は晴れていると言われても目の前の空は雲で覆われ、大きな綿のような雪が風に乗ってくるから、つい気持ちが後ろ向きになる。それでも気を取り直して出かけることにした。2年ほど前孫と一緒に登った有明山(※)に登り、その後一重山まで歩いてこようという計画。

(※山歩き花の旅94 孫と歩いた冬の森 有明山

photo:森将軍塚古墳から上空をバックに
青空が嬉しい

家を出たのは9時半。犀川、千曲川を渡って、森将軍塚古墳がある『科野の里歴史公園』の駐車場に車を停めたのは10時15分。

斜面に急な階段が造られていて近道という看板が立っているので、私たちはその道を行くことにした。確か前にきた時も近道を歩いたねと話しながら。

森将軍塚古墳の上は広い。途中何人もの人とすれ違ったけれど、上には誰もいない。青空が広がってポカポカ暖かいのに、北の空には黒い雲が乗っている。我が家のあたりはまだ雪が舞っているのだろうか。

地図:有明山・一重山

photo:キリの花芽・有明山
キリの花芽

しばらく古墳上の見晴らしを楽しんで、有明山に向かって登り出す。斜面を巻いて歩いていくと新幹線の線路がすぐ目の下に見える。線路は北へ伸びて、その先には戸隠高妻山が真っ白に聳えている。夫は大喜び。ここからなら山と新幹線の写真が撮れそうだ。「でもさっき何台か通過したよね。しばらく来ないかもしれないよ」と私。それでも今日は急ぐ旅ではなし、チャンスを逃すのも勿体無いと、待つことにした。

photo:びっしりキノコ・有明山
びっしりキノコ

photo:登山道で・有明山
暇つぶし?

私はあたりの雪の中をうろうろして木の芽や動物の足跡などを観察、夫は体が冷えないように雪道をうろうろ往復。約30分間、待った。

「来た」、足下のトンネルを通ってくる音が響く!

photo:高妻山と北陸新幹線・有明山登山道から
高妻山と北陸新幹線


ここから一気に登りにかかる。南とはいえ今年の雪は多い。しっかり踏まれた急な道なのでアイゼンをつける。しばらく登ると有明山将軍塚古墳に飛び出す。ここから有明山まで数ヶ所急な斜面がある。踏まれて凍っている雪は滑る、滑る。ロープが張ってあるのがありがたい。登りはともかく下りは滑りそうだ。

三角点のある有明山の山頂に到着、ちょうど正午だ。常緑樹がほとんどない森は幹が立っているだけでなんだか殺風景だが、太陽の恵みが得られるのはありがたい。木の幹などに腰掛けておやつタイムとする。お煎餅と干し芋を頬張ると結構お腹が膨らむ。

photo:急斜面を登る(右下クヌギ)・有明山登山道
急斜面を登る(右下クヌギ)

photo:有明山山頂はポカポカ
有明山山頂はポカポカ

photo:有明山山頂でおやつ
有明山山頂でおやつ

20分くらい山頂でゆっくりして、今度は一重山をめざそう。有明山将軍塚古墳まで一旦下る。中途半端に溶け始めた雪道はやはり滑る。ロープにも捕まりながら一気に下った。森が少し開けると、姨捨の棚田が眼下に広がっている様子が見える。

さて、有明山将軍塚古墳からは初めての道だ。屋代駅方面と書いてある道を降りる。南西斜面に当たるからか雪は溶けて、落ち葉がびっしりの歩きやすい道になった。傾斜はかなり急だけれどもジグザグにつけられた道は歩きやすい。土が出ているところには餌も多いのか、小鳥が沢山地面をつついている。目の周りが白いからメジロだろうか。キノコや粘菌も見える。地元の小学生が登るらしく「のぼりみち」と書いた看板が木に取り付けてある。

photo:姨捨の棚田方面が見える・有明山
姨捨の棚田方面が見える

photo:登山道にやってきた小鳥(メジロ?)・有明山
登山道にやってきた小鳥

photo:キノコや粘菌・有明山
キノコや粘菌

photo:登山道の標識「のぼりみち」,アキノギンリョウソウ,赤い実・有明山登山道
のぼりみちだよ

ぐんぐん下っていくと下に神社の屋根らしきものが見えてきた。一重山はどこだろう。ちょうど登ってきた男性がいたので聞いてみた。すると、一本降り道を間違えたようだ。下に見えるのは東山神社。神社からは下に降りず、斜面を巻いていくと登山口があるらしい。男性にお礼を言って歩き始める。墓地と水道施設のような建物の間を行くとすぐに看板が立っていた。ずいぶん古いのか、地図の紙がボロボロになっているが、ここが一重山への登山口だということはわかる。 13時半、ちょっと周り道だったかもしれないが、下り道が歩きやすかったから良いではないか。ここからは10分ほどで広い山頂に出た。

photo:一重山登山口
見つけた、一重山登山口

photo:一重山から有明山を見る
一重山から有明山を見る

一重山は屋代城が立っていた所。この山城は15世紀後半、応仁の乱の頃の地方武士屋代氏が築いたと考えられているそうだ。見晴らしの良い高台に城跡らしい曲輪の跡が段々に広がっている様子は、なるほど『地の利』と頷ける。

photo:一重山の山頂で看板は
一重山 452mの山頂で

山頂の木の看板の前で記念撮影をしようと思ったら、文字が消えていて読めない。まぁいいか、一重山と書き入れておこう。

帰りは分岐まで下って、『科野の里歴史公園』に戻った。途中に、間違えた下り道との合流点があったが、雪が沢山残っている急な階段だったから、案外良い選択をしたのではなかったかと夫と顔を見合わせてニンマリしたのだった。




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