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196 霊仙寺跡周辺 850mと戸隠森林植物園 1200m(長野県)

2021年7月18日(日)、7月24日(土)

photo:戸隠の夏、花に会う・ホソバノキリンソウ,コバノフユイチゴ,ミヤマヨメナ,シキンカラマツ
戸隠の夏、花に会う 2021.7

photo:みどりが池より戸隠山
みどりが池より戸隠山

山に咲く花には、ある季節、しかも特定の場所だけにしか咲かないものも多い。高山のコマクサ、ウルップソウなどはよく知られているが、高原や里山、沢沿いに咲く花も同じだ。逆に比較的どこでも見られる花もある。山道で見かけるミヤマヨメナも多いと思っていた。薄紫の花びらが綺麗なキク科の花、ミヤコワスレの原種だという。だが、先日教えてもらったところによると、この花は数が少なくなっているそうだ。大切にしていきたい花と聞いた。私は、似た花、例えばノコンギクなどを見ても区別がつかなかったらしい。『野菊』と一括りにして見ていたみたいだ。日曜日に観察会に参加して、教えてもらった。

目から鱗が落ちる思いをするから、たまに観察会に参加するのもいいかもしれない。今回も参加者は少なかった。前日の螢鑑賞会には数十人が参加したそうだが・・・。


photo:タケニグサ霊仙寺跡 2021.7.24
タケニグサ 霊仙寺跡 2021.7.24

今年、霊仙寺跡周辺の山道を何回か訪れたのは、ここで見た花をもう一度見たかったから。2本仲良く並んで立っていたから、同じところに芽を出すだろうと思っていたが、周辺は土が盛りあげられたようになっていて、地面の様子が変わってしまっている。原因は猪か水の流れか、道の脇の草花が赤茶色く枯れてしまっているのも気になった。

諦めきれずに森の中をウロウロしたが、目当ての花には会えなかった。大きな切り株が並ぶひらけた沢沿いには小さな花が咲いていたので、しばらく眺めてから戸隠に向かうことにした。ミズタビラコかと思っていた小さな花は、実の形を見ると環状の縁取りのようなものが見えるからコシジタビラコのようだ。

photo:メタカラコウ・霊仙寺跡 2021.7.24
メタカラコウ 霊仙寺跡 2021.7.24

photo:コシジタビラコだろうか・霊仙寺跡 2021.7.24
コシジタビラコだろうか

ふと目を上げると木の葉に綿毛がくっついている。純白のふわふわしたもの、何だろう。奥の葉にもついているが、見回しても綿毛が飛んできそうな花はない。近寄ってみると、どうやら虫のようだ。家に帰って調べたら。ワタムシとか、雪虫とかいう昆虫がいるそうだ。なんとも不思議な生き物だ。

photo:これはワタムシ? 霊仙寺跡周辺 2021.7.24
これはワタムシ? 霊仙寺跡周辺


photo:戸隠はエゾアジサイが満開・戸隠森林植物園
戸隠はエゾアジサイが満開

霊仙寺山の裾野をぐるりと回るように走って、戸隠に向かう。黒姫山と飯縄山の間の道は、どこか広がりを感じる気持ち良いところだ。道々の駐車場はどこも満車だ。一体どこから人が集まってくるのだろう。遠い県のナンバーがたくさん見える。

photo:タマガワホトトギス・戸隠森林植物園
タマガワホトトギス 2021.7.24

私たちが車を停めた植物園は空いていた。森の中を歩こうという人は少ないのかもしれない。ここでも目当ての花はまだ咲いていなかったが、エゾアジサイの綺麗な青を楽しんだり、シキンカラマツの紫が風に揺れる様を楽しんだりした。

観察会で見つけたクロサンショウウオの幼生も無事水の中に生き延びていた。さまざまな天敵から逃げて無事成長するのはごくわずかだという。水の中をゆっくり動いている幼生に「頑張ってね」などと言いながらカメラを向けるが、水面の反射に邪魔されてピントが合わない。写真はともかく、しばらくしゃがみ込んで眺めていた。

photo:クロサンショウウオ・戸隠森林植物園
クロサンショウウオ 2021.7.18

photo:クロサンショウウオの幼生を探せ・戸隠森林植物園
クロサンショウウオの幼生を探せ

photo:ミヤマカラスアゲハ幼虫・戸隠森林植物園
ミヤマカラスアゲハ幼虫 2021.7.18

数日しか経っていないのに、蕾だったオオウバユリが咲き出している。綺麗な青翠に輝くミヤマカラスアゲハが飛んでいるのを見ると、先日教えてもらった幼虫が育ったのだろうかなどと思う。蛹になって・・・ちょっと早すぎるかな。みどりが池ではカルガモ親子がゆっくり動いている。コガモが水に潜るのを親ガモが見ているようだ。少し離れた岩の上にいるのはオスだろうか。敵が来ないか見張っているようだ。先日暑かった時は、森の影の沢で涼んでいるような感じだったけれど・・・。

photo:カルガモ親子・戸隠森林植物園
カルガモ親子

photo:オオウバユリ・戸隠森林植物園
オオウバユリ 2021.7.24

photo:オニシモツケ・戸隠森林植物園
オニシモツケ 2021.7.18

何度訪れても同じということはない。自然は少しずつ変化して、新しい顔を見せてくれる。観察会では見つけられなかったタニタデを見つけることができたが、これはただ私の目に見えなかっただけなのだろう。何度も通ううちに森がぐっと近づいてくるような気がする。

photo:タニタデ・戸隠森林植物園
タニタデ 戸隠 2021.7.24

そうそう、見分けがつきにくい花も見分けられるようになる。ヤマブキショウマとトリアシショウマの区別がつきにくいと思っていた。トリアシショウマは芽吹いた頃の姿が鳥の足に似ているそうだが、私が気づくのは花が咲く頃だから、鳥足の姿は見ることができない。花の形も違うけれど、分かりやすいのは葉。ヤマブキショウマの葉は山吹に似ているというが、葉脈が平行で葉形もすらりとしている。トリアシショウマの葉脈はもっと不揃いで、葉形がぽっちゃりしている。なんとか区別ができるようになった。

photo:トリアシショウマ,ヤマブキショウマ・戸隠森林植物園
ショウマ2種類 2021.7.24

山や森を歩くたびに新しいことに出会い、発見がある。時には思い違いを正されることもある。自然の中に立って自分のちっぽけさを感じるのは毎度のことだが、だからと言って拒まれることはない。大きな自然は、私が思っている以上に懐が広く深いのだ。




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