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166 カタクリの里から頼朝山 644mへ(長野県)

2021年3月30日(火)

map 頼朝山周辺

photo 柳の新芽と裾花川
柳の新芽と裾花川


花の便りが早い。桜の開花情報も1週間以上早いから裾花川のほとりのカタクリ群生地も咲き出しているのではないか。

我が家から歩いて40分ほど、ほぼ一直線に山裾を歩いて里島発電所の前で裾花川を渡る。雨が降ったせいか、水量が多い。柳の新芽が若草色に光っている。

photo アブラチャンとカタクリ
アブラチャンとカタクリ

車が何台か停まっている。山道に入っていくと何人もの人とすれ違う。みんな帰っていくところらしい。旭山への旧登山道を左に分け、森の中へ入ると淡い黄色の空間が広がる。その下に濃いピンクの点描画が広がっている。アブラチャンの満開の下にカタクリも満開だ。今を盛りに見事に開いている。

私たちは大喜びで森の奥へ進む。このカタクリ群生地は地元の小学生が保存活動を行っているそうで、看板や、花の内部の模様を覗くための小さな手鏡などが置いてある。そう、カタクリは花びらがそっくりかえっている姿も可愛いが、内側の桜の花びらを文様化したようなラインも見事なのだ。

photo 満開のカタクリ
今を盛りに

毎年訪れているが、少し早すぎたり、逆に遅すぎて実になってしまっていたりする。今年はまさに満開だ。散策ルートがわずかだけれど広がっている。しかも見上げると旭山の斜面にピンクの絨毯を敷いたようにカタクリが登っている。群生する範囲がずいぶん広がっている。ダンコウバイより淡い色合いのアブラチャンだが、斜面を覆い尽くすように咲いている空間はほのかな色彩で美しい。

photo 満開のカタクリ
カタクリ 満開

photo 色様々のカタクリ
カタクリ色様々に

人影も少なくなった花の間の道を夫と奥まで歩いていたら、黄色い蝶が飛んできた。そっとカタクリの葉に止まって動かない。ヒメギフチョウだ。花が満開を過ぎた頃になると何頭か現れて絡み合うように飛ぶ姿を見ることができる。まだ少し早い時期なのか、この一頭だけしか見つけられなかった。

photo ヒメギフチョウ
ヒメギフチョウ

photo 緑玉(今年は小さい)のコケ
緑玉(今年は小さい)のコケ

しばらく花を楽しんでいるうちにやってくる人が増えてきた。そろそろ帰ろうか。入り口の石垣跡のようなところに毎回楽しみにしている苔を探して、群生地を後にする。緑の玉をつける苔は年々小さくなっているようで寂しい。雪の量が減っているのも影響しているだろうか。

カタクリに押されるようにスミレが咲いている。毎年会うスミレ、図鑑と見比べてアオイスミレかな・・・と思っているのだが、さて合っているのだろうか。

photo アオイスミレかな
アオイスミレかな

裾花川を渡りながら、ちょっと寄り道をしようという話になった。善光寺七清水の一つ瓜割清水を探してみよう。狭い道を登って戸隠への道路に出る。道路を渡ったところに沢が流れていた。夫が「この沢を登れないかな」と言う。「えーっ、道はないよ」と私。「でも脇を歩いていけるんじゃないかな」と、何故か乗り気の夫。

photo 道なき沢を登る
道なき沢を登る

沢の脇の藪の中をガツガツ歩いていく。倒木が絡み合って行く手を塞いでいたが、くぐったり越えたりして進む。足元には緑の草が勢いをつけてきている。白い花を開きそうなのはワサビだ。水の近くにはネコノメソウが広がっている。楽しいね。

「こういう冒険、子供の時いっぱいしたよね」と嬉しそうな夫だが、小さな堰堤が現れるとさすがに「これ以上は無理みたい、引き返そう」。

photo 沢沿いに咲く
沢沿いに咲く

私たちは沢を戻り、一回車道に出てからすぐ脇の狭い階段を登る。長野にはこういう細い道がたくさんあるけれど、ちょっとドキドキ。もしかしたら民家に入っていく道かもしれない。幸いこの道は畑の間をクネクネと曲がって林道に出た。林道は頼朝山の方に向かって登っている。行ってみよう。

photo 岩,一番紀の国なち山
一番 紀の国 なち山

僅かに歩くと、道案内の看板があった。ここは『境沢』とある。頼朝山の新諏訪登山口らしい。『よりとも歩道分岐』の見晴らし台まで10分とある。再び、行ってみよう。道の傍には和歌の看板が建てられ、観音様などの石像がある。『一番紀の国なち山』という大きな岩には驚いた。ここは紀の国か。石像を見ながら緩くジグザグに登ると見晴らし台に到着。黄砂が飛んできていると聞いたが、そのせいか、晴れていても見通しは悪い。霞んでいる。

photo サルノコシカケ
サルノコシカケ

道はさらにジグザグとゆっくり登っている。お昼を持ってこなかったけれど、おやつはたっぷり背負っている、頼朝山まで登ってこよう。

photo 頼朝山山頂
頼朝山山頂で


誰にも会わないのがいいね。今日は着替えを持って来なかったけれど、ゆっくり登れば大丈夫だろうと、夫は呑気。気持ちの良い一定の斜度の道を何度も折り返して登り、山頂に飛び出した。いつもは葛山方面からしか来たことがなかった頼朝山、道が変わると新鮮だ。「山頂はお馴染みだけれどね」とは夫の弁。

山頂のテーブルでおやつを食べる。シャツ1枚になって座る。ポカポカして暖かい。汗に濡れたシャツがどんどん乾いていく。すごく乾燥しているね。脱いで掛けておいたカッターシャツも乾いてきた。

photo 瓜割清水
見つけた、瓜割清水

爽やかなポカポカ空気の中、ゆっくりおやつを食べて満足、そろそろ帰ろうか。干しておいたシャツを着て来た道を降る。

境沢まで降りて、そのまま林道を歩いていくとあった、瓜割清水。さらに林道を下っていくと、登山口の案内がある。いつも歩いている道の一本山側の道。こんなところに道標があったねと夫と顔を見合わせて笑う。家から歩いて登るコースが一つ増えたね。また違う季節にこの道から頼朝山に登ってみよう!

photo アブラチャン,シュンラン
アブラチャン(上)シュンラン(下)




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