珍しいほどの青空、我が家からは雲一つ見えない。午前中は夫に用があったので、私は青空を見上げながら庭をいじっていた。狭い庭を回っていても、この季節はすぐ仕事がなくなる。夫の用も済んで二人で青空を見上げたのは11時前。「どこか行ってこようか」と夫。帰りに庭の土も買いたいからと車で出発。
目指すのは須坂の臥竜山。桜で有名な公園の脇に立つ山。大きな竜ヶ池のほとりには古木を含め150本以上の桜の木があるそうだが、もちろんまだ蕾。私はここに咲くマンサクが見たい。まだ花の季節ではないので駐車場はスカスカかと思って来たら、車がいっぱいだったのでちょっとびっくり。靴を履き替えて歩き出す。
中央にある竜ヶ池にはカワウが首を出している。近づいていくとスッと水の中に潜る。次に水面に出てくるのはかなり離れたところだ。カワウの行方を見ながら岸を歩いていくとカルガモが動き出す。私たちを待つかのように順番に池の中心に向かって泳いでいく。中にマガモも2羽いる。
つがいなのか、みんな2羽ずつ並んで泳いでいく。岸辺の斜面には丸くなって羽の中に頭を隠しているカルガモが何羽も見えている。私たちが近づく足音で動き出すようだ。ごめんね、起こしてしまって。
目的のマンサクは満開だ。青空に黄色い花びらが映えている。中心が赤いので全体がカラフルだけれど、花が小さいせいかあまり目立たない。ここに立ち止まって見上げる人もいない。私たちはじっくり花を見てから登り始めた。
今日はまず須田城跡に登ろう。いきなり階段が続く。ジグザグに登ると右に空が広がる。まず斑尾山と、関田山脈、そしてさらに登ると飯縄山、黒姫山、妙高山が大きく広がる。一番左には黒く静かな前山の奥に戸隠連峰がまだ白い。さらにその左奥には北アルプスの白い岩壁が立っているのだが、そちらには雲がたなびいている。
展望を楽しみながら上がったところには四阿「南竜」が立っているが、まだ休むのは早い。しばらく展望を楽しんでから須田城跡に登る。中世の頃に山の地形を生かして作られた城の跡という。今は人々が散策を楽しむコースとなっている。
須田城跡から一度降って、観音橋を渡り緩やかに登っていく。ネズミモチと名札がある常緑の木々の横を通って緩やかに広がる山陵を歩いていると、小さな鳥がスーッと来て私にぶつかりそうになってクルッと方向転換した。そのまま近くの枝に止まってクルクル動く首を傾げながらこっちを見ている。まるで「遊ぼうよ」と言っているみたいだ。私たちはバイバイと言いながら山頂を目指す。
途中には「根あがりねじれ松」と呼ばれる奇妙な根の松の古木が多いのだが、松枯れ病なのか、他の理由なのか分からないが枯れてしまっている木が何本か見られた。伐採されて燻蒸のためのビニールをかけられた山がいくつもあったので、森が透けて見える。なんだか寂しいことだ。
到着した山頂には三角点と「北竜」という四阿がある。そしてここからの展望もまた素晴らしい。北アルプスは南部の穂高連峰、槍ヶ岳も見えている。あいにく西側の空はちょっと霞んできて、たなびく雲もあるのでアルプスは少し隠れている。北の飯縄山は目の前に大きい。お昼前に家を出てきたので、ここでちょっと休憩。持ってきたのは煎餅とクッキーだが、雄大な山の景色を見ながらおやつを食べるのは最高だ。しかも今日はポカポカと暖かく、上に着ていた服を脱ぐほど。のんびり座って山頂を楽しむ。
さて、腰を上げようか。もう一度展望を楽しんでから来た道を下る。今日はのんびりコースだ。ネズミモチの茂るところに来たら、またもや小鳥が私の腹にぶつかりそうになって身を翻した。ネズミモチの緑の茂みには数羽の小鳥が見える。ヤマガラかな。
まだ花の姿は少ないが、シダの緑を楽しみながら池のほとりに出るとノボロギクがスッと立っている。植栽されたパンジーたちが寒そうにちぢれた花を開いている中で、光るような黄色が潔いと感じた。
竜ヶ池の橋からカモを眺め、車に戻った。ふと見ると知人の車らしいのがある。野鳥観察を趣味とする人だから、この近くの山に入っているのかな。たくさんの車は野鳥観察の人のかもしれないねと、私たちは顔を見合わせて帰路についた。