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雪がぱらつく茶臼山 730m(長野県)

2025年12月18日(木)


photo1スミレが咲いていた
スミレが咲いていた

朝起きたら雨が降っている。この季節の雨は冷たい。山へ行こうと思っていたのに、これでは足が鈍る。そんな気分を抱えながら午前中の用を済ませた頃には、雨があがった。天気予報によればこの後は回復傾向らしい。出かけよう。

南の方が明るいからと、久しぶりに茶臼山に向かうことにする。茶臼山恐竜公園の駐車場に車を停めて歩き始める。恐竜を横目に見ながら歩き始め、すっかり葉を落とした木々の間をゆっくり登っていく。

photo2イボタノキ実
イボタノキ実

しばらく登ると植物園に着く。茶臼山植物園は冬季休業中だが、近くの人たちが散歩している。私たちもゆっくり歩いていく。今日は薬草園をのぞいてみよう。冬になって、薬草園はていねいに刈られ、名札だけが寂しく残っている。だが周囲にはイボタの木がたくさん実をつけているし、シャクナゲは大きな花芽を膨らませている。サンシュユの実は真っ赤だが萎んでしまった。ニシキギの実も落ちたのか、しがみつくように残っているのは少ない。 広い植物園の中をのんびり通ってから、動物よけの柵を抜けて山道に入る。

photo3シャクナゲの蕾
シャクナゲの蕾

歩き始める頃には雨粒がポツリと落ちていたが、山道を登り始めると雨は雪に変わった。時々ふわりふわりと白いものが流れてくる。茶臼山には粘菌が多く見られたから期待してきたが、登山口あたりの倒木は片付けられていて、粘菌の居場所が減ってしまった。濡れた落ち葉を踏みながらゆっくり登っていく。

森に残った木の実草の実

photoニシキギ
ニシキギ

photoサンシュユ
サンシュユ

photoフウリンウメモドキ
フウリンウメモドキ

photoツルリンドウ
ツルリンドウ

冬を迎えた木の実草の実

photoスイカズラ
スイカズラ

photoエゾユズリハ
エゾユズリハ

photoヤブラン
ヤブラン

photoスズメウリ
スズメウリ

photoヒメジョオンも寒そう
ヒメジョオンも寒そう

登るにつれて周囲は枯れた色に覆われる。落ち葉の中から芽吹いているツルリンドウの緑が健気だ。時々まだ残っている実は赤紫色に光っている。ゆっくり歩きながら道の脇の倒木に目を凝らすが、なかなか粘菌らしいものは見つからない。キノコが寒そうに見える。

photoキノコ
キノコ

photo8倒木が多い
倒木が多い

茶臼山の中腹には道を塞ぐように倒れている木が何本もある。斜面にはさらに大きな木が重なって倒れているのが見える。下草が枯れて目立っただけなのか、新しく倒れた木が多いのか。

里山は手入れする人が少なくて、荒れてしまっているところが多いという。山が荒れると木々の恵みも減ってくるから、最近の熊問題もなかなか解決しないかもしれない。

人間は豊かな自然の恵みを意識せずに満喫しているが、それは長い歴史の中でたくさんの人が自然を守ってきたおかげだということを思い出さなければ。小さな頃の私が杉落ち葉を一生懸命拾ってお風呂やかまどの焚き付けにしたのも、もしかしたら小さな小さな貢献になっていたのかもしれない。あまりに小さいけれど・・・。

でも、そういう仕事を汚れと思わず体験できたことはとても貴重なことだったのかもしれない。

photo9針葉樹の森
針葉樹の森

photo10山頂は森の中
山頂は森の中

山道を歩いているうちに青空が見え始めた。まだ雲は多いが、時々雲の隙間から陽がさしてくる。スギとヒノキの森を上ると山頂だ。針葉樹の森は暗いイメージだが、斜面に残った雪が光を反射して明るい。山頂には見晴らしがないけれど、三角点にタッチして戻ろう。

photo11ヒノキとスギ
ヒノキとスギ

さて、今日は雲に覆われた空、アルプスは見えないだろうと思うが、だんだん青空が広がってきた。アルプスが展望できる高台に行ってみようか。倒木は多いけれど、粘菌がほとんど見つからない。昆虫の繭が色鮮やかに残っている。すでに穴が空いていて成虫になったらしいのや、中にはうまく羽化できなかったのか、繭の中に何か黒っぽく残っているものもある。自然の厳しさを感じる。

photo12昆虫たちのねぐら
昆虫たちのねぐら

展望台からはやはりアルプスは見えなかった。前山の後ろにアルプスの裾野がちらりと覗くのを眺めながらおやつを食べて戻ることにした。登山口まで降りて、森の中をちょっと歩いてみると、木の幹に小さな泥のお城みたいなのがついている。綺麗な茶色で、てっぺんにひとつずつ穴が空いている。これは何?ドロバチの巣にも似ているが、とても小さいうえに、一カ所にとても沢山ある。巣というより個室みたい。ちょっと調べてみたけれどわからない、また宿題だ。

何だろう

photo?

photo?

photo?

photo?

photo14サイハイランの球根(偽球茎)
サイハイランの球根(偽球茎)

舗装された道を歩いているとサイハイランの葉が見える。そして根元にクリーム色の球根が出ている。動物が掘ったのか、流されてきたのか、このままではダメだ。サイハイランは菌と共生する植物なので、安易に持ち帰るわけには行かないけれど・・・。またまた宿題だ。

photo15センボンヤリ
センボンヤリ撮影中

動物よけの柵を抜けて植物園に戻る。休園中の植物園では工事をしているところがあるので現場を避けて普段歩かないコースに行ってみた。すると、緩やかな斜面一面にセンボンヤリの種が揺れている。まさしく大名行列の毛槍の千本槍だ。ふわりと揺れる様をしばらく眺めてから帰路に着いた。

photo16センボンヤリ
センボンヤリがいっぱい




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