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強風の大楠山 242mとちょっぴり森戸川(神奈川県)

2025年10月9日(木)10日(金)


photoセイタカアワダチソウ
セイタカアワダチソウ

台風が来ている。ようやく二人の予定をすり合わせて選んだ日なのに・・・。だが、前日友人の家でおしゃべりの花を咲かせているうちに台風は少し逸れて、雨は降らないみたいだ。朝起きると強い風が音を立てているが、ここ太平洋岸はこのくらいの風で驚いていては暮らせないそうだ。

photo2ロシアンオリーブ実
ロシアンオリーブ実

朝ごはんを食べると早速車に乗って、目指すは湘南国際村。海辺に車を停めて登ろうと話していたのだが、波が高い今日の海辺は塩をかぶってしまうので、高台からのコースにした。広い駐車場から歩き始めるとセイタカアワダチソウが黄色い広がりになって揺れている。道沿いに白っぽい葉を揺らせている木はオリーブにそっくりだけれど、赤い小さな実をつけている。これはロシアンオリーブというそうだ。塩に強く、育ちが早い木だというから、国際村を立ち上げるときに人工的に植えられたのだろう。照葉樹の若木が密集した森には転々とカラスウリの実がぶら下がっている。

いろいろな花に会う

photoツリガネニンジン
ツリガネニンジン

photoオシロイバナ
オシロイバナ

photoシロバナキツネノマゴ
シロバナキツネノマゴ

photoフユノハナワラビ
フユノハナワラビ

友人は以前一度歩いたことがあるそうで、「海辺から登るコースの方が面白いのに、今日は残念だ」と呟いている。私は昔前田川コースが整備されていない頃に川を遡って登ったことがあるが、整備されてからは歩いていない。だが、ここ湘南国際村からのコースも初めてだからキョロキョロする楽しみはある。この季節は何もないようで、実は小さな花がまだ咲いている。

色も形も様々な実

photoボタンヅル
ボタンヅル

photoカラスウリ
カラスウリ

photoホウチャクソウ
ホウチャクソウ

photoウラシマソウ
ウラシマソウ

長野でも北の方に住んでいる私にとってはあまり目にしない花も多い。道端に可愛らしく咲いているヒルザキツキミソウは長野でも時々見かける花だ。ミズヒキ、キンミズヒキ、ダイコンソウなど、長野でも会える花はついさっと通り過ぎてしまう。だが時々「あ、ごめんね」などと言って一枚写真を撮ったりする。花は何も感じていないと思うけれど。

photo5道端で会える,キンエノコログサ,ナマアジサイ,ヒルザキツキミソウ
道端で会える

photo6咲き始めたイヌショウマ
咲き始めたイヌショウマ

イヌショウマが咲き出してきた。白い糸のような花が、下から開いている。ツルボは茎がヘタって、もう花の終わりらしい。ウバユリの実がツンツン立っている。腰より低いくらいのところに一つ二つの実を膨らませている様子は、長野で見慣れたオオウバユリとは違う。

花が咲く季節というのは、なかなか意味深いような気がする。長野と神奈川で、友人と連絡を取り合い、同じ花を楽しみにしていることも多い。春は神奈川で咲き出した花が遅れて長野で咲き始める。だが今、長野ではもう咲き終わった花がここでは咲いている。

先日長野の裏山で萎れていたクサギが今綺麗に咲いて、芳香を放っている。中には可愛い羽のような実をつけているものもいるが、まだ花も残っている。私たちは道端に咲く花を見つけては喜びながら歩いた。

photo7芳香があるクサギの花
芳香があるクサギの花

photo8クサギ実
クサギ実

途中、激しい風の音がしていたが、幸い森の中を行く道は木々が風を遮ってくれるので音だけがすごい。大楠山には肩まで車で上がれる道があることは知っていたが、この道は今も健在らしい。私たちは少しこの道を下ってみて、粘菌やキノコも見つけてから山頂へ戻った。

虫瘤や粘菌を見つけると嬉しい

個性的なキノコたち

昔、かなり昔に何度も登った大楠山。子供たちや夫と登ったときには房総半島も見えていたと思うが、茂った木々の向こうに霞んでいる海は狭かった。

山頂の売店は建物が残ったまま閉じている。ガラス窓には大楠山で見られる花などを印刷した紙が貼ってあり、私と友人は汚れたガラスに近づいて、花の名を一つ一つ見ていく。いつ誰がここに貼ったのか、春から秋にかけてさまざまな花が咲くらしい。見てみたい花もいくつかある。

小さな花たちに会う

photoナンテンハギ
ナンテンハギ

photoアカネ
アカネ

photoヌマダイコン
ヌマダイコン

photoナンテンハギ
ハイメドハギ

山頂の三角点にタッチして、友人と二人で記念撮影。彼女と登ったのは初めてだ。

photo12大楠山三角点
大楠山三角点

photo13大楠山の山頂から海を見る19990117
大楠山の山頂から海を見る

その日は友人のお母様を交えて夕食を楽しみ、翌朝、長野へ帰る前に森戸川の花をちょこっと見てこようと出かけた。森戸川は深い森の中を流れる小さな川だが、都会の近くとは思えない風景が広がる。サンコウチョウが住む森と、愛鳥家には人気のエリアだ。

深い沢を覗きながら歩く。水の量は少なめだ。ところどころ流れが見えないような感じだが、小さな魚が泳いでいるのも見えるから、流れは繋がっているのだろう。昨日の強風の影響か、大きな枝が落ちている。緑濃い草むらが続く中を少し行くと薄紫の空気が広がった。カリガネソウ、大きな株にたくさん花をつけている。まん丸の可愛い蕾もまだ多い。これからまだまだ咲きそうだ。

カリガネソウ

photoカリガネソウ

photoカリガネソウ

photoカリガネソウ

photoカリガネソウ

私たちはしばらくその花を、そしてポワンとした蕾を眺めていた。この色と形と、自然はどうしてこんなに独創的な花を造ったのだろう・・・その見事さに言葉が出ない。

独創的といえば、河辺に枝を張り出していたケンポナシの実、これもまたなんという面白い形だろう。長野で見つけた木は高く枝を張り、落ちている実を拾って感動したが、森戸川の河辺では目の高さに枝が伸びている。ケンポナシは食べられるそうだが、一見虫瘤のようにグニュグニュした形の肥大した果柄が甘くジューシーらしい。その先にポツリとくっついている丸く黒いのが実際の実。何度見てもユニークな形だ。

ケンポナシ

photoケンポナシ

photoケンポナシ

photoケンポナシ

photoケンポナシ

道端の花

photoアシタバ
アシタバ

photoイヌホウズキ
イヌホウズキ

photoクコ
クコ

photoメナモミ
メナモミ

緑の中に埋もれている

photoミヤマイラクサ
ミヤマイラクサ

photoアオミズ
アオミズ

photoノシラン花の終わり
ノシラン花の終わり

photoナガバジャノヒゲ若い実
ナガバジャノヒゲ若い実

さて、ここはまだ入り口に近い、先へ行こう。豊かな緑が茂っているが、その中にはシソ科やイラクサ科のような花が重なって見える。そしてヤブタバコの広がりも大小たくさんあって楽しい。放射状に枝を広げているが、重くないのかなと思ってしまう。見ていくと黄色いヤブタバコの花にそっくりな白い花もある。初めはヤブタバコの色が薄いのかと思ったが、友人が「葉の形も違うよね」と指差す。確かに細長い葉、しかもこちらの葉には字書き虫がたくさん活動した痕がある。調べてみたらこれはシュウブンソウ。ヤブタバコとは全く違う、そっくりさんだった。

photo18ヤブタバコ
ヤブタバコ

photo19シュウブンソウ
シュウブンソウ

自然はやっぱり面白い。チラチラ日を受けて光っているミズヒキも、赤い花ばかりでなく白いのもある。これぞまさしく紅白だなどと思いながら歩いていく。

photo20紅白のミズヒキ
紅白のミズヒキ

そして見つけた、今日会いたかった花、タニジャコウソウ。長野で見るジャコウソウより紫色が濃く艶やかだ。日本固有種で神奈川県以西に咲くという花。その綺麗な輝く紫は見ていて飽きない。開く前のそっと萎んだ花先もなんと可愛らしいのだろう。

タニジャコウソウ

photoタニジャコウソウ

photoタニジャコウソウ

photoタニジャコウソウ

photoタニジャコウソウ

今日の目的は達成だ〜と言いながらも先へ進む。もう少しもう少しと歩いていくと、キバナアキギリの花が迎えてくれた。花の先から飛び出した糸のようなのは雌蕊らしいが、その先端の濃い紫色と花の淡いクリーム色がなんともいえず楽しい形だ。

photo22キバナアキギリ
キバナアキギリ

photo23森戸川上流
森戸川上流

沢が二股に分かれるあたりまで遡って、今日は引き返すことにした。私は長野へ帰らなければならないし、友人も用が待っている。

子供達や夫と何度も訪れた森戸川だけれど、何度でも楽しみながら歩ける素敵な自然だとしみじみ思う。

行きも帰りも、トキリマメの実が真っ赤に日を受けて剽軽な踊るような姿を見せてくれていた。

トキリマメ花と実

photoトキリマメ花

photoトキリマメ花

photoトキリマメ実

photoトキリマメ実




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