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ふらっと井の頭恩賜公園(東京都)

2025年10月8日(水)


神奈川に住む友人と花歩きの計画がまとまった。特に忙しいわけではなくとも、二人の予定を合わせて出かけるのはいつでもいいというわけには行かない。友人の予定に合わせて前日の夕方神奈川に着くように出かけることになった。待てよ、長野を朝出れば、夕方友人のところに行く前に散歩ができるのではと思いついた。

photo1都会の中とは思えない井の頭公園
都会の中とは思えない井の頭公園

新幹線で東京へ着くと、中央快速に乗って中野へ。中野からは各駅停車に乗り換えて吉祥寺に着く。懐かしい。もう誰も覚えていないだろう駅ビル「ロンロン」で、私はアナウンスなどのアルバイトをしたことがある。

街は賑やかな雑踏に包まれ、若者がたくさん歩いている。公園口に出ると足が迷うことなく懐かしい方向へ歩き出す。周囲は賑やかな商店街になっているが、道は昔のままに公園まで続いていた。

photo2ヒドリガモもやってきた
ヒドリガモもやってきた

井の頭恩賜公園に到着したのはちょうど正午。池には白鳥のボートが浮かび、薄い秋の日を浴びている。池のほとりを歩き出すと様々な看板が立っている。水性生物の再生についての説明や、池の生き物の説明がたくさん書いてある。

だが、今回私がここを目指したのは水性生物ではなく、緑の中に咲く小さな花。咲いているかな、もう終わったかな、ドキドキしながら草の中をキョロキョロして歩く。ヤブミョウガの実が色付いているが、まだ花もわずかに残っている。一面の草に溺れるようにアオスジアゲハがヒラヒラしている。

photo3ヤブミョウガ花と実
ヤブミョウガ花と実

photo4アオスジアゲハ
アオスジアゲハ

ないなぁ。探している花は葉緑素を持たない菌従属栄養植物だからとても小さくて目立たない。だが、柵の影に隠れて咲いていた。一つ。数輪咲いていたと思われるが、下の方はもう萎れて形がわからない。一番上の花がかろうして色を保っている。マヤラン、ラン科シュンラン属の花だそうだ。明治時代に六甲の摩耶山で最初に発見されたと聞き、摩耶山を思い出そうとするが、あの頃は全く花を探そうという目で見ていなかった、残念。

photo5マヤラン萎れてきちゃった
マヤラン萎れてきちゃった

photo6マヤラン
マヤラン

photo7マヤラン花の終わりか
マヤラン花の終わりか

photo9懐かしい玉川上水から井の頭公園(19970505)
懐かしい玉川上水から井の頭公園

井の頭公園は広く、玉川上水が通っている。昔夫と歩いた懐かしい上水のほとりをしばらく歩いてみた。玉川上水の辺りにもマヤランは咲くというので、足元を見て歩いたが、ようやく見つけたのはもう花が終わって黒くなっているものだけ。残念だが、あまり良い季節ではなかったらしい。

photo8マヤランの蕾も見つけた
マヤランの蕾も見つけた

マヤランにはあまり会えなかったが、井の頭公園には秋の花があちこちに咲いている。キノコもポツポツと顔を出していて、その形の面白さに目が惹かれる。森の中には公園の人が立てたらしい棒が立っているが、スッと伸びた茎の上にポツリと実をつけているのはキンランだろうか。あちらこちらにポツポツと結構数が多い。キンランだったら、花の季節には綺麗だろう。確かめに来たいものだと思うが、長野からは結構遠い。

photo10昔も今も緑色の井の頭池
昔も今も緑色の井の頭池

ヤブタバコのような花もあり、長野でもよく見るゲンノショウコ、ヒヨドリジョウゴが咲いている。そうかと思うとその近くにはキツネノマゴが咲いている。花の中に綺麗な模様が浮かぶ、長野ではあまり見ない花だ。美しい紫のツルボの花も長野では見ない、懐かしい花だ。その近くの草むらにはタマサンゴの赤い実がまるで宝石のように光っている。

井の頭公園で会った秋の花

photoツルボ
ツルボ

photoノアザミ
ノアザミ

photoヒヨドリジョウゴ
ヒヨドリジョウゴ

photo1ヨメナ
ヨメナ

photo12広い森にはキノコもいっぱい
広い森にはキノコもいっぱい

photo13キツネノマゴ
キツネノマゴ

photo14タマサンゴ実
タマサンゴ実

花を見てゆっくり歩いていると時間を忘れる。玉川上水の辺りから再び森の中に戻り、井の頭池のほとりの道に出る。弁天様が祀ってある島の近くにはアザミが大きく伸びている。近づくと、アザミの近くに青い色のホトトギスが咲いている。黄色や紫、そして白いホトトギスは見たことがあるが青い色のは初めて見たので、びっくり。これはタイワンホトトギスというらしい。花はほとんど終わりに近く、最後の一輪が残っていた様子、嬉しいけれど、満開の時も見たかったな。

photo15タイワンホトトギス
タイワンホトトギス

弁天橋のあたりにはカワウが潜ったり日向ぼっこをしたりしている。苦手な自撮りに挑戦して苦笑い。公園にはたくさんの人がいるが、この辺りは静かだ。

ゆっくりほとりを回って歩く。再び森の中に入っていくと、赤いボタンのような大きな花が見える。近づいていくと、大きな花に見えたのは小さな花の集まりだった。クサギ、でもこのクサギ、どこか違う。調べたら、これはボタンクサギという花。やっぱりボタンのように見えるのは私だけではないらしい。

ボタンクサギ

photoボタンクサギ

photoボタンクサギ

photoボタンクサギ

photoボタンクサギ

そろそろ電車に乗らないと、夕方までに神奈川の海辺の友人のところに行きつかない。2時間余りひたすら歩いていたので足が文句を言っている。出口近くの椅子に腰掛けてちょっぴり一休みしてから井の頭線の客になった。渋谷から湘南新宿ラインに乗っていこう。




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