⬆︎Top 

575
粘菌探しに斎場山 513m(長野県)

2025年6月28日(土)


青空が広がった。「粘菌探しに行こうか」と夫。今度はどこ?斎場山に行ってみよう。斎場山は松代の奥になるが、我が家からの道筋に大きな資材店があるから、どうやら帰りに寄り道しようという思惑らしい。

山歩きならいつでも嬉しい私はすぐ支度する。今年はバイモの季節に行かなかったから、久しぶりの斎場山になる。福寿草が咲くのを見たきりだ。

車を置いて歩き出すと、夏模様になった木々の梢にトビの声がにぎやかだ。数羽の大きな鳥が低く木の枝を渡っている。いつも空高く舞っている鳥が近くにいるのは珍しいので、しばらく眺めていた。枝に止まっているのはトビかと思ったけれど、ノスリらしい。トビよりちょっと小型で、胸が白い。高い梢の方でも時々声が響いている。下の枝でじっとしている鳥と、梢の方で動いている鳥とはどんな関係なのかな。あまり動かずに大きな声で鳴いているのは「おかあさ〜ん、お腹すいたよ〜」とでも言っているのだろうか。「自分でご飯を探しなさい。もうできるでしょ」と励まされているのかな。

photo1大きな声で鳴くノスリ
大きな声で鳴くノスリ

photo2お腹すいたなぁ〜
お腹すいたなぁ〜

野生生物の世界の端っこを垣間見た気分。しばらく眺めてから私たちは再び登り始めた。

そして倒木が重なっているところに粘菌発見。朽ちてきた木は緑の苔に覆われてふかふかになっている。もう土のような感じだ。

赤いのはクダホコリ、小さなツブツブも見えるが、なんだろう。カミノケホコリかクモノスホコリか。家に帰って調べた夫によるとニセニュートンモジホコリという。

粘菌に会う1

photo1トゲケホコリ未熟子実体
トゲケホコリ未熟子実体

photoトゲケホコリ
トゲケホコリ

photo名称不明
名称不明

photo変形体
変形体

粘菌に会う2

photoクダホコリ
クダホコリ

photoシロウツボホコリ
シロウツボホコリ

photoツノホコリ変形体
ツノホコリ変形体

photoツノホコリ
ツノホコリ

photo5粘菌撮影に夢中
粘菌撮影に夢中

地球という巨大な星には一体どれくらいの生き物が動いているのだろう。大きなゾウやクジラ、溢れるほどに表面に広がった我々人間、そして目に見えないほどの微生物たち。人間は(というより私は・・・)自分の分かる範囲の世界しかないものと思っているが、見えないところにも無数の命が動いている。

分からないことが分かるようになっていく過程は面白い。だから言葉はあまり好きではないけれど、「勉強」する。一つ知ると、その先に知らなかった世界が広がるから、知れば知るほど奥深く広く未知の世界が見えてくる。果てのない学びだとつくづく思うが、これが楽しい。

photo6粘菌ニセニュートンモジホコリ
粘菌ニセニュートンモジホコリ

さて、寄り道はやめて先へ進もう。斜面にクモキリソウがまだ咲いていた。葉が食べられたようで、小さくちぎれている。斎場山でクモキリソウにあったのは初めてのような気がする。

photo7クモキリソウ
クモキリソウ

草ぼうぼうになった登山道を登って山頂に到着。古墳らしい山頂も、周囲の木が伸びて見晴らしは無くなってきた。山頂の表示板も割れて一部の文字はもう無い。周囲にはマツガレ病の対策か、たくさんの木が伐採されて燻蒸用のビニールに包まれている。年数を経たものはビニールが剥がれて剥き出しだが、そこにちらほら粘菌の姿が見える。大きなヤマゴボウの花も咲き出している。

photo8ヤマゴボウ
ヤマゴボウ

photo9斎場山山頂
斎場山山頂

photo11バイモは枯れちゃった
バイモは枯れちゃった

山頂で記念写真を撮ってから山を降り、粘菌を探しながら陣場平に向かう。4月にはバイモの花が満開になる陣場平も、今は草緑だ。バイモは枯れて茶色い茎が倒れている。

photo12陣場平を歩く
陣場平を歩く

photo13陣場平は緑一色
陣場平は緑一色

木のベンチがあるので、小休憩。水分補給をして、しょっぱい煎餅を食べる。まだ6月というのに一気に暑くなった。水分と塩分を補給しながら歩かなくては・・・。

photo10クマノミズキ
クマノミズキ

陣場平の真ん中に聳えるクマノミズキは白い花を咲かせている。キョロキョロしながら陣場平を歩いていると、倒れた木に大きなキノコがたくさん顔を出しているのを見つけた。一体なんというキノコか、大きくてかなりグロテスクだ。でもまだこれから大きく開くような感じでもある。あちらこちらに顔を出しているヒイロタケは鮮やかなオレンジ色に開いている。近づいてみると、その近くには木の表面に広がったオレンジの菌糸も見える。雨が増える梅雨時からキノコが増えてくる。見えないところで動いている菌糸が時々見えると、不思議の世界に入り込んだようにドキドキする。

大きなキノコ 名称不明

photo大きなキノコ

photo大きなキノコ

photo大きなキノコ

photo大きなキノコ

photo15鮮やかなヒイロタケ
鮮やかなヒイロタケ

さて広場を後にして帰ろうか。歩きながら私が「花が少ないね。ハエドクソウくらい咲いていないのかしら」と呟いて、夫が「え?」と振り返ったそこに、ハエドクソウ。あまりのタイミングに一瞬声を忘れた。

小さく咲き出したハエドクソウの写真を撮って、なんだか浮き浮きしながら車に向かった。

photoハエドクソウ
ハエドクソウ




  • Gold-ArtBox Home