花見の季節がゆっくり始まった。フクジュソウが開き、セツブンソウ、ミスミソウそしてセリバオウレン、カタクリと楽しみが続く。セツブンソウは寒気に弱いのか、例年より二週間ほど開花が遅れたそうだ。今年は春の声を聞くようになってから強い寒気がやってきた。裏山のミスミソウも遅いかと思っていたが、23日地附山に登った帰りに出会った山仲間が「昨日もう咲いていたよ」と言う。テレポートができればそのままミスミソウの花の近くに行くのだけれど・・・生身の私たちには無理。午後は出かける用もあるので翌日に期待を込めて家に帰る。
ツノハシバミの雄花が先日までツンツン伸びていたのに、もう重そうに垂れてきている。シュンランはようやく蕾の先が緑になってきたのが見える。
この間見つけたトウゲシバの胞子嚢はミニミニバナナのような形からすでに開いてしまったのもある。たった数日なのにこの変化が面白い。
何か大会でもあるのか、それとも暖かくなってきた日曜日だからか、ランニングの人にたくさん出会う。山歩きの人も多くなって、いよいよアウトドアシーズンが始まる。
翌24日はあいにくの曇り空、でもその次の日はまた用があるから一人で様子を見に登った。久しぶりに物見岩からゆっくり登る。曇っている日は環境が良いのかたまたまなのか、アカゲラに何度も出会った。2羽で近くの木を突いたり飛び交わしてまた戻ったり。麓でも山頂近くの森でも。細かい枝の向こうにいるからコンパクトカメラで狙ってもなかなか写真は撮れないけれど、木を突く動きを楽しませてもらった。
さてミスミソウはやっぱり先をすぼめて下を向いている。予想はしてきたから、仕方ない。それでも中にはしゃんと上を向いて開いているのもあるから嬉しくなる。ミスミソウは寒さに強いのか、あまり遅れずたくさん花茎を伸ばしている。夫へのお土産に写真を撮る。
ミスミソウはすぼんでいるが、コシノカンアオイは立派な花をつけている。この子は太陽の光に左右されないでコトリと音がするような花を転がしている。
花を楽しんだ後、山頂で苦労しながら自撮りに挑戦したが若い人の様に上手くはいかない、笑える写真になった。帰りは地附山に寄る。
前日とは打って変わって、一人きりの山歩きだった。
さて25日は気温も上がり青空だが、午前中会議があるから無理かと思っていた。ところが午後でもいいんじゃない?と夫。急いでお昼を食べて車で駒弓神社駐車場まで登る。ここからまず地附山に上がり、一回鞍部に降りて大峰山に向かう。
山道を黙々と登ると、ミスミソウの花が白く見えてきた。時間は午後3時を過ぎているから日差しはかなり斜めになっているが、日中浴びた太陽のおかげでみんな開いている。ここのミスミソウは白に赤い葯のものが多いが、中にはうっすらと桃色の花もある。葯も色が薄くて全体に白い花もある。夫と二人でしばらく見惚れていた。
日本海側の山にはオオミスミソウが自生し、その花色は様々で美しい。「雪割草」と呼ばれて愛好者がたくさんいるという。
私の隣人も様々な色や姿のオオミスミソウを育てていた。長野に引っ越してきてまだあまり知り合いがいなかったが、花が好きと言うと嬉しそうに自分の庭を見せてくれた。どの木も花も丹精込めて育てた姿が綺麗だった。雪割草を交配し、そのタネを育てて新しい色や姿ができると嬉しいそうだ。
満開の雪割草を、入れ替わりにやってきた孫たちと見に行ったが、その時たくさんの鉢をもらってきた。自分の庭ではもう場所がないからもらってもらわないと捨てるしかないと言うので、もらってしまった。今でも我が家の庭に数種類の雪割草が咲く。夫と裏山のどこかに移植しようかと話しているが、人の手で交配を繰り返したものは自然の中に根付くのかちょっと不安もあってまだ実行に移してはいない。天国に行った隣人も、自分が育てた美しい花が自然の中に咲く姿を見たら喜ぶだろうなどと思っている。
さて、話を戻そう。日が傾くと同時に雲も出てきたので、山を降りることにした。ミスミソウは早いが、他の花はまだ見られない。森は茶色で冬の気配を残している。だが、枯葉の下にみずみずしい若緑がのぞいている。あれは蕗の薹。蕗の薹を摘みながら足取りも軽く家に向かう。神奈川の友人が送ってくれた切干大根の煮物と蕗味噌が夕食のお供になるだろう。