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観音山 575mの冬景色(長野県)

2025年1月20日(月)


湯福神社の前からまっすぐ往生寺に向かって登って行く急な道を歩いている。暮れにこの道を孫と歩いた時の話をしながら夫は楽しそうだ。正月明けにひいた風邪がようやく治って、初登りだと嬉しそう。だが、実は初登り(5日)の地附山で冷たい風にあたったのが風邪の初めだったような気もする。まぁいいか。

今日は青空が気持ちよく、陽だまりはポカポカと暖かい。

photo1登り始めは往生寺境内から
登り始めは往生寺境内から

photo2往生寺の急な階段を登って出発
往生寺の急な階段を登って出発

往生寺までの道は車でも急すぎるような気がする道だ。ゆっくり、ゆっくりと言いながら歩くが汗が滲んでくる。唱歌『夕焼け小焼け』に歌われた鐘と、本堂に向かって「行ってまいります」とお参りして、さらに急な階段を登る。幸い雪が乗っていないので、安心だ。登り切ったところで、夫はシャツを着替える。久しぶりに汗をかいたと言いながら。

photo3弾けたガガイモの実
弾けたガガイモの実

photo4飛んできたガガイモの種
飛んできたガガイモの種

茶枯れた山の斜面には春蘭の葉が緑に光を放っている。往生寺参道の途中で見かけたガガイモの実が風に乗って飛んできたのか、落ち葉と遊んでいる。

photo5ヤマコウバシ実
ヤマコウバシ実

photo11荒れた感じの坂東三十三観音道
荒れた感じの坂東三十三観音道

観音山への道は二つに分かれているが、緩やかな坂東観音道を進む。雪が溶けたばかりか、ぐちゃぐちゃしているところを抜けていく。登りになると道は乾いてくるが、細かい枝が登山道まで伸びている。頭上にはヤマコウバシの茶色い葉が枝を飾り、目を凝らしてさがすと黒い実も僅かに残っている。ヤマコウバシの実は小さいうえに、春まで残っている茶色になった葉に隠れていて見つけにくい。

photo6坂東と西国の観音道分岐
坂東と西国の観音道分岐

細い木が芽吹いて山道にまで張り出しているから気をつけながら行くが、落ち葉が一回雪で締められたのか、登山道は歩きやすいようだ。枯れ枝を分けながら登っていくと笹が出てくる。笹の中を僅かに進むと、西国三十三観音道との分岐に出る。ここからは善光寺平が見下ろせるが、向こうの山は白い霞に覆われている。根子岳など高い山の山頂部だけが日の光を跳ね返している。

ここから僅かに登ると山頂の碑が立っているが、三角点は少し外れた尾根の先端にある。今は樹木が茂っているが、樹木がない時は見晴らしが良かったのだろう。観音山から葛山に向かって歩いていた頃には気づかないで通り過ぎていたが、学校の春休みにやってきた孫と一緒に歩いた時に見つけた。

photo7尾根の先に三角点
尾根の先に三角点

photo10ここから野兎が飛び出した
ここから野兎が飛び出した 2018.3.18

そういえば、この孫と登った時にノウサギに遭遇したことを思い出した。今日歩いてきたのは坂東三十三観音道だが、孫とは西国三十三観音道を歩いた。そのとき孫が「熊さん出て来ないかなぁ」と、恐ろしいことを言う。「熊さんが出てきたら大変」と言うと、「だって虫しかいないよ。大きな動物さんに会いたいなぁ」と笑う。「熊さんじゃなければいいよ」と応えて、私も笑いながら一歩足を踏み出した時、すぐ脇の叢からノウサギが飛び出していった。ピョンピョンと飛ぶように跳ねていくウサギにビックリ。「きっと動物さんに会いたいって言ったから、出てきてくれたんだね」と、二人で顔を見合わせた。我が家から歩いて行けるいくつかの山には既に何十回も登っていたが、ノウサギに出会ったのは初めてだった。そしていまだに雪上の足跡をたくさん見るだけだ。

photo8観音山山頂で20180318
観音山山頂で 2018.3.18

photo9観音山山頂で
観音山山頂で

茶色一色の中にまぎれているが、オケラは葉が白くなって倒れている。センボンヤリや、アキノキリンソウもそれぞれの実を飛ばしながら揺れている。日の光が綿毛を愛でているようだ。登り始めに見たのは長い毛が艶やかに光るガガイモの種だ。昨年は可愛い毛むくじゃらな花を見る機会がなかった。薄紫のかわいい花を咲かせるガガイモは減ったけれど、アレチウリやクズはかなり増えているようだ。カラスウリも夜に咲くからなかなか花を見るのが難しい。冬に実がぶら下がっているのを見つけると、花の季節に来てみようと思うのだが、その季節には他にもたくさんの花々が気を引くので、忘れてしまう。今年こそは・・・と言っておこうか。

寒そうな木の実草の種

photoニシキギ実
ニシキギ実

photoキカラスウリ実
キカラスウリ実

photoオケラ種
オケラ種

photoアキノキリンソウ種
アキノキリンソウ種

道に張り出した細い枝には時々白くてふわふわしたような膜が巻かれていることがある。そしてその幕の端あたりに、茶色い粒がくっつていることが多い。何かの虫の巣だろうとは思っていたが、あえて調べようとはしなかった。

photo13イボタロウムシの巣
イボタロウムシの巣

photo14シャーベットのような雪
シャーベットのような雪

最近これはやはり虫の巣だということがわかった。この虫の名はイボタロウムシというそうだ。色の少ない森に木の枝が白いコートを着たようだ。貝殻虫の一種だという。なんだか可哀想なような、気持ち悪いような気がして白い幕を剥がしてみようとは思わないが、研究している人によると、この中に幼虫や蛹がいるらしい。

この白いのはイボタ蝋とも呼ばれ、最高級品の蝋でそろばんの滑りや障子や襖の敷居の滑りをよくするために使われたそうだ。そろばんや障子が生活から消えつつある今でも、日本刀を磨くのに使われるとか。

久しぶりに見つけた粘菌マメホコリは寒そうに見え、森の中で春を待っているよと言っているようだ。

photo15胞子を飛ばすマメホコリ
胞子を飛ばすマメホコリ

photo16往生寺の急階段上から見ると怖い
往生寺の急階段上から見ると怖い




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