⬆︎Top 

480
黒姫童話館と高原 835mの風(長野県)

2024年5月23日(木)


太平洋岸からやってきた友人と高原散策に出かけた。コロナ禍もあって、ずいぶん久しぶりに会うことになった友人夫妻は絵が好きな二人。1日目は我が家から出かけられる範囲の観光パンフレットを手に、思い出話も混ぜながら「明日はどこへいこうか」と話が弾む。

黒姫童話館
黒姫童話館

友人はミヒャエル・エンデ(1929−1995児童文学作家)のコーナーがある黒姫童話館に行ってみたいという。ずっと昔、近くに暮らしていた頃に作品を読んで感想を話し合ったのは懐かしい思い出だ。

黒姫童話館にはいわさきちひろ(1918-1974画家、絵本作家)の山荘もあるので、そこにも興味がありそうだ。

ゆっくり出発する。山は緑濃い景色になってきたが、キリの花、フジの花が薄紫に、ニセアカシアは白い房を垂れて広がり、緑濃い葉の上に白く広がっているのはミズキだろうか、木々の花が車窓に流れていく(※)

キリの花
キリの花 2024.5.18

ニセアカシカの花
ニセアカシカの花 2024.5.18

野尻湖と黒姫山
野尻湖と黒姫山

童話館に行く前に野尻湖から見る黒姫山の勇姿を見せてあげようと、夫は野尻湖の北から湖岸を少しドライブする。湖岸沿いの道は木々が茂っているのだが、何ヶ所か展望が開けるところがある。車を停めてしばらく景色を眺める。家から1時間はかかっていないが、車を降りて足を伸ばし、雄大な景色を見ながら深呼吸をする。

再び車に乗って、目的の黒姫高原を目指す。野尻湖ではナウマンゾウの化石が発掘調査されていたので、ナウマンゾウ博物館がある。国道脇にはナウマンゾウの親子の像も立っている。ナウマンゾウを横目で見ながら走り、黒姫高原の豊かな森の中を進む。雄大な黒姫の裾野に童話館はある。

ナウマンゾウの親子20150813
ナウマンゾウの親子 2015.8.13

車を降りると、道々眺めてきたタニウツギが満開で出迎えてくれる。枝先にある蕾は赤が濃く、同じ花かと首を傾げるほど。花に歓迎されるように緩やかに坂を降りると、目の前に広々と草原が広がる。広い草原の向こうには妙高山と並んで黒姫山が長い裾野を引いている。

タニウツギ満開
タニウツギ満開

タニウツギ蕾と花
タニウツギ蕾と花(円内)

この広く伸びやかな風景はどこか日本離れしたイメージだ。この風景の中に黒姫童話館は建っている。

黒姫童話館から妙高を見る
妙高を見る

童話館に入って、しばらくは絵本の世界に遊ぶ。懐かしい絵本を手に取って木の椅子に座って読み返していると、時間が経つのを忘れるようだ。高いところまでガラスの窓からは妙高山、黒姫山の雄大な姿が見えている。

黒姫山といわさきちひろ山荘
黒姫山といわさきちひろ山荘

童話館の中でゆっくり時間を過ごしてから、奥のいわさきちひろ山荘を訪ねる。野尻湖畔に建てられていたものをここに移築したそうだ。小さな玄関を入るとスキーが立てかけられてあり、いかにも雪国の山荘という雰囲気だ。狭いながらもここで生活をし、絵を描いていたことが伺える。都会の空気から離れ、山の緑の中でしばらくの時を過ごすのは、ちひろさんにとって豊かな時間だったのだろうと感じる。

ツボスミレ
ツボスミレ

オククルマムグラ
オククルマムグラ

アリアケスミレ
アリアケスミレ

山荘を取り巻く森には小さな野の花がたくさん咲いていて、実際に建っていた周囲にもきっと咲いていただろうと思う。

絵本だけでなく野の花や木の花にも触れ、爽やかな空気の中で時を過ごした。

チゴユリ群生
チゴユリ群生

テングクワガタ
テングクワガタ

ナツノハナワラビ
ナツノハナワラビ

ホウチャクソウ
ホウチャクソウ

スズラン
スズラン

野の花たち

喫茶「時間泥棒」でお昼
喫茶「時間泥棒」でお昼

童話館の中には『時間泥棒』というちょっと心惹かれる名前の喫茶があったので、軽く昼食を食べる。『失われた時間入りエビピラフ』という、これまた気にかかるメニューがあったので、私はこれをいただいた。味についてはノーコメント。「失われた時間」って何かな、気にかかる人は自分で味わってみて!

のんびり食事タイムを過ごした後は、もう一度大きな景色の中に立つ。鳥の鳴き声がする。芝生を刈る男性がやってきた。芝刈り機が往復するのにも時間がかかっている。広いのだ。時間の流れが変わったような気がするのは、『モモ(ミヒャエル・エンデ著1973)』を思い出したからではないと思うが・・・。

妙高山の前で
妙高山の前で

私たちはゆっくりゆっくり、駐車場に向かい、もう一度黒姫山、妙高山を目に焼き付けて帰路についた。

友人たちは、明日は『東山魁夷館』を訪れて午後の新幹線に乗る予定だ。




  • Gold-ArtBox Home