軽井沢の別荘地にドンと聳えるテーブルマウンテン、離山。この山に軽井沢町の花、サクラソウが自生すると聞いて、その季節に登ってみたいと思っていた。中軽井沢からのコースは森が広がっている中を行く登山道らしい。今回は中軽井沢から登ってみよう。
平日のラッシュ時を避け、ちょっと遅めに家を出る。しなの鉄道、長野発9時5分の軽井沢行き。中軽井沢には10:32着。車窓から雄大な浅間山を眺めながら行く。
中軽井沢駅から軽井沢に向かって国道18号線沿いをしばらく歩く。離山公園に入ると登山道を表記した看板が立っているので、その案内に従って山道に入る。嬉しいことに、道の脇にはユキザサ、クワガタソウ、トウゴクサバノオなどの小さな花が満開だ。トウゴクサバノオはそろそろ終盤かもしれない。名前の由来となった面白い形の実が大きくなっている。鯖の尾のような形というが・・・そうかな。この可愛い花の名前には似合わない気がする。
道を進んでいくとユキザサの群落だ。純白の雪のような花をたくさん開いている。そして目の高さにも白く光る花がたくさんぶら下がっている。これはミツバウツギ。白い花は俯いてあまり大きく開かないが、さわやかな風に揺れ、白く光る姿は美しい。あっちにもこっちにもと揺れる花を指差しながら歩いていると、あった。ピンクの桜が散らばるように咲いている。こちらはまさに桜の花の形。大型の花なので、森の奥に咲いていても見つけることができる。
そして、もう一つの目指す花はルリソウ。こちらは小さいけれど、鮮やかなブルーが目をひく。ルリソウも、あっちにもこっちにも花開いていて、嬉しくなる。
メインの登山道はよく踏まれているが、右に左に細い道が分け入るようについていて、つい入ってみたくなる。地元の人は、道のつながりを知っているのだろうな・・・と思いながら、初めて歩く私たちはメインの道を進む。
そして、もう一つ、私の好きな花を探していたが、ポツリポツリと見えた。ワダソウ。この花もちょっと終わりに近かったようで、赤い小さな葯が落ちてしまっているのも多かった。それでもまだ可愛い赤い点をつけたままの花も見られ、私は大喜び。この花びらも桜型で、純白に光っている様子は小さな桜のように見える。
エンレイソウ、フタリシズカ、ササバギンランなど、咲いているもの、実になりつつあるもの、山の花はそれぞれだ。 一ヶ所、足元に小さなネコノメソウがあって、またまた私は大喜び、ほとんどの株は実になっていたが、一つ小さな花がまだ咲いていた。花を開いた中に赤紫の葯を立てていて、これはニッコウネコノメかなと思う。
花を数えながら登って行くと木道になった。緩やかに続く木道には滑り止めの工夫がしてあるが、急な斜面に張り出して設置されているのでちょっと怖い。何度も折り返しながらジグザグに登っていく。斜面にはルリソウの青と、ミツバツチグリの黄色が華やかにお供をしている。
山頂をぐるりと回る道に到着、ここからは急な階段で一気に山頂へ。振り返ると浅間山が大きい。そして、山頂周辺の斜面にはピンクの広がりがあっちこっちに見られる。サクラソウの群落だ。私たちの目はキョロキョロと泳いでしまう。
だが、花は逃げないだろう、お腹も空いたことだし、まずは腹ごしらえをしよう。山頂肩にある四阿でおにぎりを食べる。青空に爽やかな風、花見には最高の日和になった。
おにぎりを食べた後は、周辺を散策。帰りは軽井沢駅方面に降りようと考えているけれど、道の両斜面にサクラソウの群落が見えるので、足は進まない。ルリソウやフデリンドウの小さな青も、ミツバツチグリの黄色も華やかだ。
花を見ながら急斜面を遠くから回って近づき撮影する。ついあっちからもこっちからもと欲張りになる。また来るのが大変だから、今日のこの出会いを大切にしようと思ってしまう。
だが、ずっとはいられない。少し心を残しながらも、そろそろ降ろうか。降り始めるとホソバノアマナが開いている。色々な花が咲いているよと話しているようだ。セントウソウのとっても小さな花もキラキラ揺れている。
花に慰められながら、軽井沢駅に向かって降りていく。途中の雲場池には観光客がたくさんいて賑やかだ。満開のズミが迎えてくれている。
サッと通り過ぎて駅を目指す。途中美味しいチーズのお店で、今日の夕食用にチーズカレーを買って、つい頬が緩む。帰りは新幹線で一息だ。