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戸隠森林植物園に学ぶ4(長野県)

2024年5月12日(日)


気に掛かりながら時間が取れないということはよくある。昨年は戸隠の自然の中に出かけることが少なかった。今年こそはと思いながら、5月半ばになってしまった。カタクリ、水芭蕉、リュウキンカはもとより、トガクシショウマも白根葵(シラネアオイ)も見頃を終えてしまったかもしれない。

photo:山芍薬:飯綱山麓
知人の庭(飯綱山麓)の山芍薬 5.11

前日に夫と飯綱高原を訪れ、駐車場からはみ出すような飯縄山登山者の車を見たので、戸隠方面も混んでいるとは思ったが、この後も予定があるので、日曜日の朝一人でバスに乗った。夫は町内の仕事に駆り出され、見送り。

余談だが、仕事関係で出会った男性が、飯綱山麓の敷地に山野草を育てているというので前日はその花を見せてもらいに行った。森のような庭に白根葵などがたくさん咲いていた。暮らしには大変なことも多いと思うが、心から伸びやかな日々を楽しんでいる様子だ。庭に咲く山芍薬が純白の花を開いてきたところは清楚でとても美しい。

photo:雪が残る:戸隠森林植物園
雪が残る

photo:コキンバイとカタクリ:戸隠森林植物園
コキンバイとカタクリ

車の窓から見た大谷地湿原にはリュウキンカの黄色が広がり、水の流れを変えたりカヤを刈ったりして保護に努めている効果が出ているようだ。

さて、日曜の朝のバスに話を戻そう。2台連なってきたバスは、満席。幸い補助席がついていたので、そこに座ることができた。

photo:シラネアオイ:戸隠森林植物園
シラネアオイ

宝光社あたりからぼちぼち降りる人がいて、森林植物園では空席が目立ってきた。まず『八十二森のまなびや』に挨拶。日曜の混雑の中、観察会も企画されている。あまり人が多かったら参加せずに自由に歩こうと思っていたが、聞くと私を含めて5人、良い人数ではないか。この日のガイドは女性、花に詳しいようだ。5人の参加者のうちの一人は愛知県から鳥の観察に来たという男性。とても詳しい上に、持っていた望遠カメラで鳥の姿を捉えると三脚を立ててのぞかせてくれる。遥か昔、三浦半島で柴田先生(※)がそうやって見せてくださったことを思い出す。その時一緒に歩いていたシゲさんは今、県野鳥の会の会長さん、近くにいれば聞きたいことがたくさんあるのに・・・と思うこともしばしば。

photo:ホソバノアマナ :森林植物園
ホソバノアマナ

photo: ツボスミレ:森林植物園
ツボスミレ

photo: サワハコベ:森林植物園
サワハコベ

photo: タチカメバソウ:森林植物園
タチカメバソウ

小さな白い花

また話がそれた。観察会の参加者は鳥に詳しい男性以外はみんな女性。花に詳しい松本からの参加者もいて、やはり戸隠の人気は大きいみたいだ。みどりが池には大きなハルニレの木が倒れ込んでいた。鳥に詳しい男性によると、昨日はそこに作りかけの浮巣があったそうだが、今日は見当たらなくなっていたとか。自然の世界は厳しいのだろう。池のほとりの水芭蕉は白い苞が倒れて、緑の葉が大きくなってきた。植物園の入り口辺りには雪の山が残っていて、水芭蕉もまだいくらか白さを残していたが。

photo:コミヤマカタバミ:戸隠森林植物園
コミヤマカタバミ

photo:何を咥えているのか、カケス:戸隠森林植物園
何を咥えているのか、カケス

池を見ているとカケスが2羽飛んできて会話をするように寄ったり離れたりしながらゆっくり飛んでいった。森の中で見かけることは多いが、しばらくの時間全身を見せてくれることは少ないので、思わず見惚れてしまった。

photo:群生するオオタチツボスミレ:戸隠森林植物園
群生するオオタチツボスミレ

植物園はオオタチツボスミレの群落があっちこっちに見られ、紫の広がりが綺麗だ。小さな池にはカエルや山椒魚が卵を産みにやってくる。ちょうどアズマヒキガエルが産卵中だった。彼らにとっては迷惑だったろうが、見るだけだから許してもらうとしよう。

photo:アズマヒキガエルとその卵塊:戸隠森林植物園
アズマヒキガエルとその卵塊

高台園地にはここで初めて見るコヨウラクツツジが花をぶら下げている。シャクナゲは終わりかけていたが、コヨウラクツツジはちょうど花盛りか、目立たない花だけれど。

photo: ヒカゲツツジ:森林植物園
ヒカゲツツジ

photo: エゾユズリハ:森林植物園
エゾユズリハ

photo:ヒュウガミズキ :森林植物園
ヒュウガミズキ

photo: イヌエンジュ新芽:森林植物園
イヌエンジュ新芽

樹木それぞれの姿

高台園地から湿地に降りて鏡池まで続く道は気持ち良い森の中の道で、私たちは大好きだったのだが、数年前から不通になっている。途中の木道などが傷み、管理が行き届かないからと聞いたが、全国からここの自然を求めてくる人がいるのだからなんとかならないものか。少しずつ入場料を集めてもいいのではないかとも思える。多くの人が気持ちよく歩けるように、そしてバリアフリーの木道を作れるように。

photo: ツルシキミ:森林植物園
ツルシキミ

photo: コヨウラクツツジ:森林植物園
コヨウラクツツジ

photo: フッキソウ:森林植物園
フッキソウ

photo:ヒメアオキ実と花 :森林植物園
ヒメアオキ実と花

木の花さまざま

楽しく話をしながら森の中を歩く。ツルシキミやエゾユズリハなど、樹木の花は目立たないけれど、近寄ってみると見事な形に驚くことが多い。それぞれの姿だから美しいのかもしれない。

photo:ニリンソウの群落:戸隠森林植物園
ニリンソウの群落

photo:気持ち良い道だった:戸隠森林植物園
気持ち良い道だった 2019.11.21撮影

photo:森の湿地を通って鏡池まで:戸隠森林植物園
森の湿地を通って鏡池まで 2019.11.21

話が弾み、鳥も見て、花についても学び、解散時間を越えてしまったが、解散場所に戻ってもまだ話は尽きなかった。私たちがさまざまな話を楽しんでいる姿を横目で見ているかのようにアカハラが一羽、草の上を歩いている。

photo:戸隠の自然の中で:戸隠森林植物園
戸隠の自然の中で

時々地面を突きながらちょこっと歩いてはまた立ち止まる。みんなと別れてバスを待つ間も、このアカハラは岩の上でポーズをとるかのようにじっとしていてくれた。夫へお土産になると、狙いを定めて撮影する私を知っているかのようにアカハラは「どう?」と時々ポーズを変えてそこに立っていた。

photo:アカハラ:戸隠森林植物園
アカハラ





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