⬆︎Top 

474
アズマシロカネソウと袴岳 1135m(新潟県、長野県)

2024年5月10日(金)


photo:野尻湖と黒姫山
野尻湖と黒姫山

5月に入って山に雪が降った。家の窓から見える山がうっすら白くなっている。さて、山の花は元気だろうか。いくつか行ってみたい山を思い浮かべ、やっぱり花の多い新潟県との県境の山へ向かうことにした。

野尻湖の北から山へ登っていく。タングラムスキー場を右に見て万坂峠を越えると、今度は少し降る。赤池の駐車場に車を置いて歩き始める。家からちょうど1時間。

photo:赤池
赤池の広い駐車場に1台

いつもはまっすぐ袴池へ登って行くコースを歩くのだが、今日は林道を遊びながら行くことにしよう。幸い空は真っ青、久しぶりに日差しが暖かい。

緩やかな山並みが続く信越県境にはトレイルが整備され、いく筋もの楽しめるコースがある。森の中に続くコースに分け入ってみたり、横目で見ながら通り過ぎたりしながら歩く。

photo:コゴミ
夜はコゴミのポン酢和え

林道脇に広がる緑は蕗の葉と、コゴミ。どちらも早春の山菜として楽しみにしているものだが、すでに大きく育ってしまっている。残念と思いながら歩いていると、雪が溶けるのが遅かったところにはまだ芽吹いたばかりのコゴミがある。少しだけれど今日の夕飯のおかずにしようと、摘みながら歩く。

沢の音が近いところには楽しみにしていた花が咲いているのではないか。ゆっくり見て行くと、あった。アズマシロカネソウ、とても小さくて目立たない色合いだけれど、ちょっと重なったような色が目を惹く。日本固有種の花。ちょうど良い状態で咲いている。以前見つけたときはとても少なくて心配したが、今日はあっちにもこっちにも広がって咲いている。とは言うものの、水の近くのわずかなところにしか見ることはできないから、このままずっと咲いてくれるよう願う。

photo:アズマシロカネソウ
とても小さいアズマシロカネソウ

photo:アズマシロカネソウ

photo:アズマシロカネソウ

photo:アズマシロカネソウ

photo:アズマシロカネソウ

アズマシロカネソウ

ネコノメソウの仲間も小さな葯をのぞかせてツヤツヤしている。これは・・・。赤茶色の葯が茶色の花の中に小さく立っているから、ボタンネコノメかな。花の色が緑だとホクリクネコノメで、これがボタンネコノメの母種になるらしい。キラキラと日の光を受けて光っているコチャルメルソウや、まだ光が足りないらしく俯き加減のコミヤマカタバミなど、足の踏み場もないくらい花は豊富だ。

photo:ボタンネコノメ

photo:ボタンネコノメ

photo:ボタンネコノメ

photo:ボタンネコノメ

ボタンネコノメ

photo:コチャルメルソウ

photo:コチャルメルソウ

photo:コチャルメルソウ

photo:コチャルメルソウ

コチャルメルソウ

photo:コミヤマカタバミ

photo:コミヤマカタバミ

photo:コミヤマカタバミ

photo:コミヤマカタバミ

コミヤマカタバミ

さて頑張って袴岳に登ろうか。山の斜面の凹凸は光のあたり具合、雪の溶け具合が場所によって異なるから、花の成長もそれぞれ異なって楽しめる。ヤマエンゴサク、キクザキイチゲ、ミヤマキケマンなどの花がたくさん見られる。そしてスミレサイシンもまだ咲いている。

photo:ヤマエンゴサク
ヤマエンゴサク

photo:ミヤマキケマン
ミヤマキケマン

photo:キクザキイチゲ
キクザキイチゲ

photo:イワナシ
イワナシ

花に会う

photo:サンカヨウがいっぱい
サンカヨウがいっぱい

袴岳の麓にはサンカヨウが咲くはずと楽しみにしてきたが、なかなか見つからない。しばらく歩いていて、見つけた。小さな蕾を包むように柔らかい葉。「まだこんなに小さいね」「ちょっと早かったかな」二人で顔を見合わせ、とても小さな花芽の写真を撮る。そしてまたしばらく歩くと、あっ、大きなサンカヨウの株があっちにもこっちにも。花開いている。この花が好きな夫は大喜び、今日の目的の一つはこれと、しばらく眺めてカメラを構える。

photo:サンカヨウ

photo:サンカヨウ

photo:サンカヨウ

photo:サンカヨウ

サンカヨウ

トチノキの葉が開き始め、ホオノキの葉も大きくなってきた。オオカメノキ(ムシカリ)は白い花を道に散らし始めている。雪椿は歩き始めから山頂近くまでお供をしてくれている。ヒメアオキの実も赤くなってきたが、濃い紫色の小さな花も満開だ。

photo:ユキツバキ
ユキツバキ

photo:オオカメノキ(ムシカリ)
オオカメノキ(ムシカリ)

photo:タムシバ
タムシバ

photo:ヒメアオキ
ヒメアオキ

photo:オクチョウジザクラ
オクチョウジザクラ

木の花

あっちを見、こっちを見、急な斜面をジグザグに登って行くと赤い塊が見えてきた。斜面を彩るツヤツヤした葉はオオイワカガミ。袴岳に登るたびにが終わってしまっていたが、ようやく満開の花を見た。これが綺麗だ、こっちの色が濃いなどと言いながら立ったりしゃがんだりして花の写真を撮る。私たちの山歩きはちっとも進まない。

photo:オオイワカガミ

photo:オオイワカガミ

photo:オオイワカガミ

photo:オオイワカガミ

オオイワカガミ

しばらく登って空が近くなると、またもや花を探して藪に分け入る。今度はコシノカンアオイ。あった、あった。今年も会えたねと言いながらまたもやしばらく花のそばで立ったり座ったり・・・。

photo:コシノカンアオイ

photo:コシノカンアオイ

photo:コシノカンアオイ

photo:コシノカンアオイ

コシノカンアオイ

photo:袴岳山頂にて
袴岳山頂にて

ようやく山頂に着いた時は12時近かった。こんなに楽しんでのんびりしていても、人にはほとんど会わない。赤池を出たのは9時ちょっと前、今日袴岳に登ったらしいのはすぐ後ろから来た男性一人、私たちが花を撮影してウロウロしている間に往復しておりて行った。あとは登山口あたりで、山菜を採りに来たという女性二人に会っただけ。

山頂には鳥の声が響き、目の前には雄大な妙高山。黒姫山。そしてちょっと後ろになる高妻山、火打山はまだ白い。のんびり座っておにぎりを食べよう。頭上のウワミズザクラはまだ蕾だ。ブナの新緑が綺麗な緑の屋根になっている。

photo:山頂で
山頂でのんびりおにぎり

山頂のオオカメノキは満開。純白の花が光って、広がっている。タムシバはそろそろ終わりか、項垂れているようだ。

見晴らしを満喫し、お腹も満たし、今度は袴池の方に降る。神々しいブナの新緑の中、降りるのが勿体無いような山の空気の中、ゆっくり歩く。オオタチツボスミレ、ナガハシスミレが道の脇にずっと続いている。薄紫の絨毯だ。

photo:ブナの新緑
ブナの新緑

photo:ブナの新緑の中を歩く
ブナの新緑の中を歩く

小さな花を乗せたニシキゴロモも見えている。確かこの辺にミチノクエンゴサクがあったはずと思ってゆっくり見ながら歩いたが、見える花はヤマエンゴサク。しかしその近くを見ると、もっともっと小さい葉があった。残念ながら、花は見られない。小さな実がついている。「花はそれぞれの季節を選んで咲いているから、一度に全てを見ることはできないよね」と言いながら、それでも目はあっちへこっちへとキョロキョロ泳ぐ。

photo:ミヤマスミレ
ミヤマスミレ

photo:ナガハシスミレ
ナガハシスミレ

photo:ツボスミレ
ツボスミレ

photo:スミレサイシン
スミレサイシン

スミレがたくさん

photo:エンレイソウ
エンレイソウ

photo:エンレイソウ
エンレイソウ

photo:ニシキゴロモ
ニシキゴロモ

photo:ニシキゴロモ
ニシキゴロモ

エンレイソウとニシキゴロモ

袴池への分岐に降りると、まず袴湿原へ足を伸ばす。近年灌木がどんどん進出して乾いてきた。湿原へ続く沢には水芭蕉が育っている。大きく伸びた葉の下に白い苞が倒れている。水芭蕉は終わりだが、昼の日を受けたコミヤマカタバミがたくさん花開いてきた。この沢辺に咲くサンカヨウはまだとても小さいものが多い。こっちの方が南と思われるが、山の空気の流れは違うらしい。乾き始めた袴湿原に点在する小さな水芭蕉を見てから袴池方面に戻る。

photo:袴湿原に小さな水芭蕉が点在
袴湿原に小さな水芭蕉が点在

photo:袴池には白い卵塊が見える
袴池には白い卵塊が見える

袴池周辺にはカエルの声が響いている。水の中にはクロサンショウウオの卵がいくつかの塊になって沈んでいるし、向こうの水辺の木からはモリアオガエルの卵が水に垂れている。私たちが池のほとりにいると、赤池方面から人がやってきた。パトロールらしい男性3人、カエルの卵を指差し話している。挨拶してすれ違い、私たちは赤池に向かう。

photo:新緑が眩しい森
新緑が眩しい森

池の脇の崖にはオオイワカガミとイワナシがまだ花を開いている。気持ち良い太陽、爽やかな風、スミレやコミヤマカタバミの彩りの絨毯・・・疲れも感じることなく赤池の駐車場に着いた。朝は我が家の愛車だけだった広い駐車場に、パトロールの文字が入った軽トラックが2台増えていた。さっきすれ違った男性たちの車だろう。

花に会う、素敵な時間の余韻を感じながら帰途についた。




  • Gold-ArtBox Home