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雪の中のセツブンソウ(長野県)

2024年 3月3日(日)


久しぶりに青空が広がった。土日にかかるかと懸案だった用も土曜日でなんとか済ませた。車は再点検が待っているから、電車で出かけようかと、朝から気持ちが弾む。

そろそろセツブンソウが見頃を迎えるのではないだろうか。しなの鉄道に乗って戸倉まで行ってこよう。

photo:しなの鉄道長野駅
長野駅から出発

photo:キティパークから戸倉駅周辺
キティパークから戸倉駅周辺

長野駅から軽井沢行き普通列車に乗り込む。車窓の風景を見ながら戸倉駅まではすぐだが、車窓の山の斜面には白く雪が残っている。長野市より南になるこの辺りには、例年雪はあまり降らないのだが・・・。この冬は長野で上雪(かみゆき)と呼ぶ現象が多かった。低気圧の影響で、湿った雪が南の方に降る。関東の平野部にも降る雪は毎年春先になるとニュースになることが多いが、今年は真冬にもその現象が起きた。

photo:自在山神社の鳥居:戸倉
自在山神社の鳥居

こんなに雪が多いと、花は埋もれてしまっているかもしれないと思いながら山道を歩く。道に残っている雪は多くないが、凍っている。久しぶりに青空が広がったから、日の出前には冷え込んだのだろう。水たまりに張る氷が光っている。

自在山神社の鳥居をくぐり、山道を進む。セツブンソウは人気なのだろう、この凍った道を歩く人の姿がちらほら見える。 ここは千曲市の天然記念物に指定され、「戸倉セツブンソウ群生地を育てる会」の人たちがさまざまな活動を行なって守っているそうだ。

photo:セツブンソウ:戸倉

photo:セツブンソウ:戸倉

photo:セツブンソウ:戸倉

photo:セツブンソウ:戸倉

開いてきたセツブンソウ

群生地の斜面にはやはり雪が積もっていた。近づいていくと雪の下から緑がのぞいている。積み重なった落ち葉の土色、スギっ葉の茶色、シダの緑などが雪を溶かすように見える。そしてその雪の間から顔をのぞかせているセツブンソウ。淡い白は萼、濃い青は雄しべ、明るいピンクがかった紫は雌しべ、小さな黄色は花びら、この2cmにも満たない小さな花の中に華やかな色を重ねている。

photo:セツブンソウの球根:戸倉
球根がこぼれている

寒い寒いと言っているかのようにほとんどの花が俯いているが、太陽の光が差し込んでくるにつれ、開き始めたようだ。夜の間に凍りついたのか、白い萼の先が縮れたようになっているものや、濡れた萼が半透明になっているものもある。

花の季節になると育てる会の人が交代で巡視活動や、花の説明をしているそうだ。

photo:セツブンソウの球根:戸倉
セツブンソウの花

白い雪に白い花なので、じっくり見ないと見えないが、一度その姿を目にとらえると、次々に見えてくる。日当たりの良いところは花も上を向いてここだよと言っているようだから、遠くからでも見えるようになる。

photo:雪の中に俯いて咲く:戸倉
雪の中に俯いて咲く

photo:セツブンソウ三姉妹:戸倉
三姉妹

白い萼は5〜6枚のものが多いが、時に八重に重なったものがある。シナノセツブンソウというのだと聞いた。

ここ戸倉の群生地に多いような気がする。昨年来た時には萼がクリーム色のものや、全体が白いものなどを教わったのだが、今日はうつ伏せの花が多くて白いものは見つけられなかった。クリーム色の花は数輪顔を出しているのを見つけた。

photo:萼がクリーム色セツブンソウ:戸倉
萼がクリーム色

photo:白い萼が半透明になっているセツブンソウ:戸倉
白い萼が半透明になっている

そして、前から見たかった双子の花があった。双子という表現が合っているかはわからないが、一本の茎の先に2輪の花をつけることは稀にあるという。今日見つけたのは、一輪はまだ蕾状態だったが、茎の先に2輪花がついていた。2輪ともきれいに咲いているところを見たいと思いながら写真を撮ってきた。

photo:花も葉も八重がある・セツブンソウ:戸倉
花も葉も八重がある

photo:一本の茎に二輪の花・セツブンソウ:戸倉
双子 一本の茎に二輪の花

photo:雪の中セツブンソウの撮影:戸倉
雪の中の撮影

雪に半ば埋もれながら咲くセツブンソウを見ていると、「早くお山に春が来ないかなぁ」という密かな合唱が聞こえてくるような気がする。それは自分の心の中に響いている想いだったのかもしれないが。

日曜日だったせいもあるだろう、花を見に訪れる人はポツポツだが後を絶たない。私たちは一巡りして帰ることにした。群生地入り口のキティランドには子供の遊ぶ声が響いている。桜の蕾の下、広々とした公園は駆け回るのにぴったりだ。

photo:咲いてきたホトケノザ:戸倉
咲いてきたホトケノザ

私が密かに楽しみにしていたホトケノザはまだ三分咲きくらいか、蕾が多かった。もう少し暖かくなると、一面青くなるオオイヌノフグリと並んで赤紫の絨毯が広がるだろう。

photo:戸倉駅前
戸倉駅前

photo:戸倉駅115系電車
戸倉駅にて

戸倉駅裏の車庫に停車するしなの鉄道の電車を眺めながら踏切を渡って、ちょっとレトロな雰囲気の戸倉駅に向かう。電車の旅はどこかのんびりとして、こんなに近いところでも旅の雰囲気を味わうことができる。戸倉から長野へ、切符を買いながら「いいね、また来よう」と夫が呟いていた。




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