5月の連休をゴールデンウィークと呼ぶようになったのはいつだろう。お休みが続くのはいつだって嬉しいけれど、春の花が咲き始める頃はまして自然の中に出かけるのが楽しくなる。晴れさえすれば気温も上がりポカポカ陽気を楽しめる。
高い山はまだ冬仕様かも知れないが、太平洋岸に近い山々は春の色に変わりつつある。その日、家を出る時はまだ行き先が決まっていなかった。黒岳に登ろうか、もう一つ富士に近い釈迦ヶ岳に登ろうか。家を出てすぐ東名高速に乗り、御殿場ICで降りる。国道138号線を走るが、渋滞していて思ったより時間がかかった。
東富士五湖道路に入り、富士五湖の南を西へ向かい鳴沢道の駅で休憩。周囲の森は一面ミツバツツジの花が咲き、ピンクに染まっていた。
精進湖の手前で右に折れ、国道358号線を進む。途中右に折れ、山の中を釈迦ヶ岳登山口まで走る。我が家の車には今も昔もカーナビは積んでいない。地図を見ながら右だ左だと、人間ナビで走る。今では渋滞の逃げ道まで案内してくれるそうだが、当時はさすがにカーナビでも渋滞を避けるところまでは案内してくれなかっただろう。
釈迦ヶ岳と黒岳の登山口、日向坂峠は別名ドンベエ峠という。ここに車を停めたのはすでに正午になろうという時だった。峠の下にはスズランの群生が広がるそうだが、今はまだその姿はない。
渋滞に巻き込まれて到着が遅かったので、今日は釈迦ヶ岳だけ登って帰ることにした。しばらく歩いて気持ちよさそうな岩の上でお昼を食べよう。ポカポカ日が当たって気持ち良い。まだ芽吹く前の森は見通しが良く、今にも笑い出しそうな明るい気配に満ちている。
途中の府駒山には山頂標示はあるけれど見通しは良くないので、休まずに先へ進む。緩やかな斜面にはミツバツツジがところどころに彩りを添えている。
歩き始めてから1時間20分で釈迦ヶ岳山頂に到着。途中お昼休憩をしたから、正味は1時間ほどか。山頂近くは岩が多くなり、ロープが張ってあるところもあったが、楽しんで登れる程度と思う。岩を登って山頂に立つと、目の前に大きな富士山が聳えている。春は霞の季節、少し霞んでいるけれど、空に溶けていくような富士もまた美しい。
お隣の黒岳も手が届くようだ。そしてその向こうに三ツ峠山も見える。あそこも富士山の展望台として有名だ(※)。見晴らしを楽しめる山はやっぱりいい。暖かく気持ちが良いので岩の上に寝転んでみる。このまま昼寝ができそうだ。 昼寝は夫の専売特許なんだけど・・・。たまには私もゴロリと横になる。硬い岩のベッドがおとぎの国みたいに思えるから面白い。
連休で道路は渋滞していッたから、山の上も人が多いかと思ったけれど、この山はもう少し後の方が人気なのかも知れない。スズランが咲く頃は人が増えるのだろうが、まだ小さな花がようやく咲き出したこの季節は人が少ない。ミツバツツジも麓の道路沿いほどには花開いていない。これからどんどん咲いてくるのだろう。
小さな花を見つけると近寄って写真を撮るのだが、なかなかピントが合わない。デジタルカメラを使い始めた頃だったが、ズームするような機能はついていなかったと思う。と言って、機能の問題だけかと言われれば首をすくめるしかないのだけれど。
フデリンドウ、ヒゲネワチガイソウ、センボンヤリなどの小さな花が綺麗だ。そしてスミレが何種類か咲いていたが、なかなか名前がわからない。釈迦ヶ岳の案内の中に花も載っていると「これだ」と嬉しくなるが、それでもはっきり分からないのは、自分の観察が甘いからに他ならない。
2時を回ったので、重い腰を上げて帰ろうか。少し雲が増えてきた富士山にさよならをして、来た道を戻る。花を見ながらのんびり歩き、3時半ごろ車に戻った。
帰りは国道137号線から国道20号線に出て勝沼ICから中央高速道路に乗った。八王子バイパスを通って我が家へ。大きな渋滞はなかったけれど車は多く、家に着いたのは7時を回っていた。