朝、東の窓を見る、今日は雲がない。こんな日は見晴らしの良い山の頂に立ちたくなる。 夫が「離山に行こう」と言う。一昨日、大峰山の山頂から見た浅間山に雪があったから、近くで見たくなったのかもしれない。もちろんOKだ。
急いで支度をして長野駅に向かう。贅沢に新幹線の旅だ。
軽井沢駅で降り、駅前で、靴の紐を締め直してゆっくり歩き出す。離山へ登るのは2度目だが、前に登ってから数年経つ(※)。道を覚えているだろうかと話しながら歩いていく。案外覚えているものだ。迷うことなく雲場池(くもばいけ)の前に到着。ここには観光客が多い。すでに紅葉は終わっているが、人気らしい。ここまでは孫と一緒に来たこともある。カモがたくさんいた。
雲場池を過ぎ、旧軽井沢の別荘地をまっすぐ進み、ゆっくり離山の傾斜地を登っていく。登山口にはノートが置いてあるので、記入してから登り始める。車は侵入禁止になっているが、道はずっと広い。しばらく登ると落石予防の工事をしていた。脇を通って登っていくと、広い道と分かれて左へ狭い階段の道が続いている。今日はこちらへ行ってみよう。ここにも工事の車が停まっていた。斜面に取り付けられた工事車両の道はレールだけのような怖い道だが、工事の車はその道をガタガタと進んで行った。
木々はほとんど葉を落とし、道は落ち葉で埋もれている。あまり人が歩かない様子の道は時々落ち葉に隠されて消えている。山頂は広々とした台地状、落葉樹の森がどこまでも広がっている。青空の下、ポカポカ陽気の今日はとても気持ちが良い風景だ。
しばらく登ると大きな岩が見えた。岩の前に回ると保健休養地100年記念碑と書いてあるが、風雨にさらされて読みづらくなっている。記念碑の向こう側は崖になっていて、この下が工事現場のようだ。
記念碑を越えるとなだらかな凹凸がある広場で、四阿と展望台があった。朝通ってきた軽井沢の駅とその向こうのスキー場、そして妙義山が目の前に見える。しばらく見ていると、新幹線が走っていくのがジオラマのように見えた。
鉄ちゃんの夫は喜んでしばらく展望台から離れない。私は周辺の木々を見たり、四阿を見たりしている。この四阿には雷を避ける装置がついているそうだ。雷の多い土地なのだろうか。確かにここで雷にあうと逃げ場がない。防雷設備の四阿があると安心だろう。
さて、そこからはもう一つ岩のピークを越えていく。木々の葉が茂っているときには、足元の登山道に従って周り道を楽しんでいくのだろうが、今はあまりに見通しが良い。どこを通ってもまっすぐ山頂目指して行けそうだ。
しかし、落ち葉に埋もれた分かりにくい山道に従って大きくカーブしながら歩くのも面白い。道路標識は丁寧に立っているので分かりやすい。時々急斜面を直登して落ち葉に埋もれるのを楽しみながら山頂に出た。
目の前に浅間山がドーンと聳えている。その左の奥に北アルプス、そしてさらに左に目を走らせると、八ヶ岳と微かに南アルプスの姿も見える。