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415 紅葉の米子大瀑布 1450m(長野県)

2023年 10月30日(月)


近所に住む男性が、米子大瀑布に行ってきたと話してくれた。紅葉の最盛期だからぜひ行ってみなさいよと言う。お隣の須坂市から菅平高原に向かって登る途中の山の奥にある大瀑布だ。いつか行ってみたいと思っていたが、台風のため土砂崩れが起き、しばらく通行止めになっていた。補修工事が終わって開通したという記事は見たのだが、機会がなくてまだ行っていない。一度道路が開通したと勘違いをして山道の奥深くまで入って「通行止め」の標識を見た時のがっかり感が残っているのかもしれない。

photo:米子大瀑布
旧鉱山の台地から米子大瀑布を見る・クリックで拡大

朝裏山を歩いて降りてきたらまだ10時、せっかくの青空、しかもこのあと一日予定がないからと米子瀑布まで足を伸ばしてみることにした。見覚えのある山道を奥へ入っていく。ところが長野は青空だったのに、道路が濡れている。周りには白いヴェールが立ち込めていて雲の中に入ったようだ。以前通行止めのため引き返したところを過ぎ、さらに登っていく。湿った落ち葉が積もった道は細くカーブが多い。かなり登ったところで補修工事の跡があった。綺麗に舗装されていて、おかげで奥へ入ることができる。

地図:米子瀑布

photo:紅葉の下に滝が続く:米子大瀑布
紅葉の下に滝が続く

一回緩やかに下って、沢を越えて一気に登り返すとどうやら駐車場が近いらしい。ところが渋滞らしく一列に並んだ車が詰まっている。下からはゆっくり帰る車が登ってくるから順に前へ進むだろうと思うが全く動かない。車を降りて見に行くと前に並んだ車には人が乗っていない。みんなここへ駐車して山へ入ってしまったようだ。歩いてみると駐車場まではあとわずか、仕方がないので、私たちも山靴を履いて歩くことにした。

photo:沢沿いの道:米子大瀑布
沢沿いの道

photo:紅葉の中を登る:米子大瀑布
紅葉の中を登る

空は雲で覆われているけれど、雨は降ってこない。見事な紅葉の中、沢の淵を登り始める。駐車場がいっぱいになるだけあって、人が多い。狭い山道は大きな岩を縫っていくようだ。所々木の段が設けられているが、沢の水量が多いからか湿っていて滑りやすい。注意して登っていく。

photo:小さな滝がいくつもある:米子大瀑布
小さな滝がいくつもある

photo:崖の上も真っ赤:米子大瀑布
崖の上も真っ赤

photo:渓流に現れた岩が赤い:米子大瀑布
渓流に現れた岩が赤い

photo:渓流の水は冷たい:米子大瀑布
渓流の水は冷たい

最初に沢を渡るのは吊り橋、奥万橋。ここは一人ずつ渡るようにと書いてある。ゆっくり下の流れを見ながら渡る。 流れが洗う大きな岩は赤く染まっている。鉄分が多いのだろうか。上には昔硫黄などを採取する鉱山があったというが。さらにしばらく登ると大きな岩が斜めに立っている。雨宿岩と標識が出ている。修験者が雨を凌いだと言われているそうだが、頭の上に巨大な岩が覆い被さっているので、落ちてきそうだ。入ってみたけれど落ち着かない。さすがに修験者は肝が据わっていたのだろうか。

photo:奥万橋(吊り橋):米子大瀑布
奥万橋(吊り橋)は一人ずつ

photo:雨宿岩:米子大瀑布
雨宿りをするには怖い雨宿岩

橋を渡ったり、沢を見下ろして写真を撮ったりしながら30分ほど登ると、不動滝が目の前に見えるところに着いた。見上げると落ち口は霞の中に溶けるようで、まるで天から水が降ってくるようだ。

photo:不動滝 朝は霞んでいたけれど:米子大瀑布
不動滝 朝は霞んでいたけれど

photo:不動滝の下へ:米子大瀑布
不動滝の下へ

しばらく滝を見上げたり、写真を撮ったりしてから米子不動尊奥の院へ向かう。来てみて初めて知ったのだが、この奥の院本宮は日本三大不動尊の一つに数えられているそうだ。並ぶ二つは千葉の成田不動尊と新潟の菅谷不動尊だという。不動尊を祀る由緒ある寺は多く、三大不動尊と言われるところも他になぜか、5〜6あるようだが・・・と思ったので首を傾げたが、納得する理由があった。平安時代に弘法大師空海が一本の欅の霊木から三躯の不動明王像を彫刻し、その三体を安置しているのが前記の不動尊なのだそうだ。あまり信仰心の篤くない私だが、そのいわれを聞いてなるほどと思った。

photo:速い流れの上を渡る:米子大瀑布
速い流れの上を渡る

photo:米子不動尊奥の院本堂:米子大瀑布
米子不動尊奥の院本堂

お参りもそこそこに私たちは権現滝の見える高台まで登る。滑りやすい急坂と何段も続く急な狭い階段を登っていくと紅葉の向こうに一直線に落ちる滝が見えてきた。狭い高台には権現滝ビュースポットと標識がある。少しずつ晴れてきたが、まだ空は霞んでいる。赤に黄色に染まった木々の向こうに一直線に落ちる滝の落ち口は霞の向こうに消えている。ここも天から落ちているようだ。

photo:紅葉の向こうに権現滝を見る:米子大瀑布
紅葉の向こうに権現滝を見る

photo:標高が上がると紅葉も終盤:米子大瀑布
標高が上がると紅葉も終盤

権現滝を眺めてから再び不動尊奥の院の前に戻る。お腹も空いたからおにぎりを食べよう。午後1時、ちょっと遅めのお昼だ。さて、この沢の向こうには硫黄を採取していた鉱山の跡がある。当時は1,500人ほどの人が住んでいたそうだ。そして鉱山跡の高台からは今見てきた二つの滝が同時に見えるらしい。そこには日本の滝100選の標柱も立っているとか。日本の滝100選の標柱は見なくても良いが、滝が落ちる崖の景色は見てみたい。

photo:日本の滝100選の標柱と滝:米子大瀑布
日本の滝100選の標柱と滝

裏山を歩いた跡長い山道を運転してきた夫は疲れたと言う。夫が不動尊奥の院の前に建つカフェでコーヒーを飲んでいる間に、私は鉱山跡まで行ってくることにした。

不動尊から少し降って、二つの小さな橋で沢を渡る。沢の淵にはベンチがあって、紅葉と水の流れを眺められるようになっている。そこからわずかに登り返すと緩やかな林道になる。林道を登るとすぐ日本の滝100選の標柱が立っていた。振り返れば谷の向こうに垂直の岸壁が大きく広がっている。その真ん中に二本の帯のような水の流れ、さっき見てきた滝だ。

photo:米子大瀑布
鉱山跡から見る米子大瀑布・クリックで拡大

photo:鉱山跡から根子岳への登山道:米子大瀑布
鉱山跡から根子岳への登山道

photo:鉱山跡に聳える崖:米子大瀑布
鉱山跡に聳える崖

photo:不動尊奥の院前のカフェで:米子大瀑布
不動尊奥の院前のカフェで

その垂直の崖の連なりに圧倒される。さらに林道を登ると鉱山跡の広い台地に出る。シートを広げて、景色を眺めながら憩う人たちの姿が見える。ここからは根子岳への登山道が続いている。すでに葉を落とした木も多いが、まだ赤や黄色が残っている。

photo:森の冬支度,ヤマブドウ,マムシグサ,オクモミジハグマ:米子大瀑布
森の冬支度

ここから林道を歩いて駐車場へ下る道もあるが、少し遠回りになりそうだ。急いで一回りして、夫が待つ不動尊へと下る。カフェに着いたら、沢に張り出したベランダから鉱山跡を撮影していた夫が振り向く。「あれ、もう戻ってきたの」私が鉱山跡の台地に立ったら写真を撮ろうと思っていたそうだ。山の中のカフェだけれど、とてもコーヒーが美味しかったと満足そう。

photo:不動滝の前で:米子大瀑布
不動滝の前で

一休みして、来た道を下る。不動滝の下に着いたら、滝の落ち口がくっきり見えた。朝は霞んでいたから、まるで空から降ってくるようだったけれど・・・。崖の上のスカイラインも紅葉に染まっている。

帰り道はゆっくりだ。木々の彩り、渓流の水飛沫、澄んだ空気を感じながら駐車場に向かう。朝の喧騒が嘘のように車は少ない。私たちは紅葉に染まりながら愛車のところまで林道を歩いた。林道に駐車していた車もほとんどいなくなって、我が愛車が寂しそうだ。車に乗ってようやく駐車場に入った。駐車場でゆったりUターンして帰路についた。

photo:岩壁の紅葉:米子大瀑布
岩壁の紅葉




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