朝晩の気温が低い日が続いている。冷たい雨も降った。山へ行けないとストレスが溜まる。朝の散歩にしばらく行っていない夫もうずうずしていたようで、早朝から山へ行くことにした。今日の朝散歩は裏山だ。
駒弓神社に挨拶してから登り始める。キジの鳴き声が近い。小鳥の声が響いている。途中から藪の中に入っていく。粘菌が出ていないかなぁと期待しながら歩いているのだが、藪の中は落ち葉が積もっていてまだ静かだ。活動の気配があまり感じられない。朝晩の気温が低い日が続いているからか。
公園から上がる道と合流して、花の写真を撮る。ベニバナイチヤクソウが明るいピンク色に開いている。ギンランも咲いた。松の梢でオオルリが鳴いている。姿が見えないところにいるオオルリと何か話をしているように鳴き交わしている。小鳥たちにも言葉があるようだという研究も進んでいるらしい。何を話しているのだろう。
花の写真を撮った後はまた藪に戻り、粘菌を探しながら登る。残念ながら、あまり収穫はない。まだ眠っているのだろうか、それとも目に見えない影で菌糸を伸ばしているのだろうか。
数日風が強かったので、登山道に木が倒れている。あまり太い木ではないので、歩くには困らない。
山頂まで登って、陽だまりを楽しむことにしよう。おにぎりを持ってきたので、今日は山の上での朝ごはんだ。時刻は8時半過ぎ、ちょっと遅めの朝ごはんだが、山の空気は最高の調味料だ。
休憩の後はハナイカダを見に行こう。森の中には数種類のカエデやウワミズザクラなどの木があり、豊かな雑木林だ。カラコギカエデの花が小さく咲き出している。ニワトコ、ナナカマドの花も白く開いている。ツリバナの花が揺れている。高いところにはクルミの花がかんざしのように垂れている。ホオノキも大きな花を開き始めている。数えながら歩いていると弾んでくる。少しずつ名前を呼べる木が増えてきたから。
見つけた時には蕾ばかりだったハナイカダが花開いている。これは雄花。たくさん蕾があった葉の真ん中から咲いている花の数が減ったような気がする。まだ蕾ばかりの葉は数が多い気がする。確信はないが・・・。そして一枚の葉の真ん中だけでなく2箇所から花を咲かせているのも見つけた。ゆっくり時間をかけてみると面白い発見がある。
周辺を探したけれど、雌株が見つからないので、大峰山登山道との鞍部まで行ってみることにした。沢筋を辿ると、咲いている。ハナイカダの雌花、そしてフタリシズカも咲き出している。
チゴユリはずいぶんたくさん群生しているが、花は終わりのようだ。ナンキンナナカマドの花を見ながら再び地附山に登り返し、のんびり家に向かう。公園が開く時間を過ぎたので、帰り道は公園を通って行こう。管理棟の前のミニ山野草園でヒメシャガ、ミヤマヨメナ、コマクサそしてスズムシソウなどの花を見る。ミニとは言いながら手厚い世話の甲斐あってだろう、たくさんの花が咲いている。
家に帰ると山菜採りに出かけていたというイケさんから連絡があり、嬉しいお土産をいただいた。モミジガサが食べられることを知らなかった私に「今度採ってきてやるよ」と話してくれたのは4月末だったか。お友達と山へ行ってきたというイケさんのお土産は他にもミヤマイラクサ、ヨブスマソウ、蕨などたくさん。おひたし、マヨネーズ和え、炒め物、そして煮物に味噌汁など、数日山菜の味を楽しませてもらった。
木曜日に朝散歩と称して地附山を歩いてきたが、まだ蕾の花たちが多かった。あれから一週間、そろそろ花開いたのではないだろうか。用のある日が続いているので、またもや朝のうちに一回りしてこようと出かけた。
藪の中をぐいぐいと登って旧道に出る。ミズキの花が満開だ。公園にはトサミズキの植栽が大きく育っているが、旧道にはミズキがあると教えてくれたのはイケさんだ。先日の蕾が見事に花開いている。
さらに行くと、高い木の上に咲くホオノキの花が見えてくる。大きな葉が集まっている真ん中に白い花が乗っているようだ。葉は輪生しているように見えるのだけれど、よくみると互生なのがわかる。高い木の上の大きな葉の上に咲いているから、なかなか近くで見ることができない。今年はとてもたくさんの花をつけていて、下の枝にも花がある。
しばらく上ばかり見て歩いていたが、足元に動くものがあるので見ると青い虫。ツチハンミョウに似て青い光沢があるが、動きが鈍い、なんだろう。
山頂でしばらく休み、稜線を進む。昨年白いヒメハギを見つけたところに行ってみよう。ヒメハギは咲き出していたが、まだ蕾も多い。白いのは花も蕾も見つけることができなかった。これからなのだろうか。
暖かくなってきたから山の命が活動的になってきた。ヒョウモンチョウやミスジチョウなども目の端をひらひらと舞って行く。青空をバックにクマンバチがホバーリングをしている。
粘菌も動き出しているのではないだろうか。期待しながら歩いて行くと、あった。倒木の切り口にオレンジ色が見える。マメホコリだ。冬から春にかけて、粘菌の姿をずいぶん探したけれど見つけることができなかった。ようやく活動を開始したみたいだ。
粘菌発見という素敵なことがあったので、帰りの足取りは軽い。でも、私はもう一つ見たいものがある。夫が森の中でもっとないかと粘菌を探している間に、私は桝形城跡までひとっ走り・・・。あった、アズキナシ。ほとんどの花が散ってしまっていたが、小さな木の枝先にまだ咲き残っていた。
大喜びで花の撮影をして、さぁ戻ろう。途中の斜面にはレンゲツツジが咲いている。見上げるとアオハダはまだ硬い蕾のようだ。
道端に咲く花々に挨拶しながら桝形城跡を降り、夫と合流する。夫は探していた粘菌をもう一つ発見。今日見つけたのはマメホコリだけだったけれど、これからいろいろな粘菌が活動を開始するだろう。また来る楽しみができたねと話しながら山道を降った。