晴れた、青空だ。大寒波が日本の広い範囲を襲って、大雪、低温が続いた。長野の雪はそれほどではなかったけれど、気温が低く、日中の最高気温も氷点下という日があった。落ちてくる雪の量は多くないとはいえ、暗い空の雪が舞う中を山へ行くのはためらう。
青空が広がった今日は朝からソワソワしている。気温が低いので、家の雑用を済ませてからおっとり出かけようという目論み。さてどこから登ろうか・・・、いくつかのコースがあるけれど、夫は車を少し動かしておきたいという。寒い中、止めっぱなしだったのでバッテリーの心配をしている。それならば、家から登山口までの車道はあまり歩きたくないので、駒弓神社の登山口まで車で登ろうということになった。
日曜だからか、駐車場には車が何台か停まっていた。この駐車場は10台ほど停められる広さがあって良いのだが、入り口の急カーブには思わぬ段差があり、そのあと急勾配。しかもぬかるみがひどい。雪が続く間は仕方がないかもしれないが、好んで登りたくはない。 それはさておき、四輪駆動にして急カーブを登って車を停める。周囲は真っ白、ワクワク感が高まる。
駒弓神社の階段を登り、山道に入ると踏み跡がついている。早朝の凍てついた空気が緩み始めたところか、繭玉のように木の枝にしがみついていた雪がポツリポツリと落ち始めた。「溶け始めちゃったね」「油断していると上から雪の塊が降ってくるね」、私たちの会話が聞こえたか、話しているうちにもザァーッと雪崩のように雪が降ってくる。一煙幕終わるとパウダースノーが舞う。日が当たってキラッキラッと輝く様はダイヤモンドダストみたいだ。
足跡はあるが人の姿は見えない。モノトーンの世界に私たちのはしゃぐ姿だけ、雪上の足跡は鹿や兎のものも、犬に似たものもあるが、みんな森の奥に隠れている。
雪道は人の踏んだ後が凍りやすく、そして滑りやすい。軽アイゼンを持ってきたから、滑るようなら装着しよう。ところが、気温が低過ぎて雪が溶けないからか、道は凍りついていない。踏み潰されて超パウダー状の雪が道を覆っている。しかも驚いたことに踏み込んで地面に近くなると、水を含んだ雪になる。地面は暖かいんだ。こんなのはおかしいよね。上に積もった雪が凍っていなくても、何度も踏まれた雪はカチカチに固まっていることが多いのに。大寒波大寒波と言っているけれど、長いスパンで見れば地球は確実に温暖化に向かっているようだ。
地表を埋め尽くした人間が地球を壊滅状態にしないうちに何かできることはないものか・・・などと首を捻っても慧眼は持っていないのが悲しい。
さて周囲に目を戻そう。残った木の実も雪をかぶって寒そうだ。秋に稔った実は縮んで、それでも輝いている。動物や鳥の餌になるもの、見逃されるもの、その差はどこにあるのかわからないが、ポツリポツリと残っているのは嬉しい。
ホツツジの実がもう大変とばかりに折れている。初めは上を向いているのだけれど、冬に近づくにつれ重そうに折れ曲がる。最後は折れて落ちるのだけれど、まだぶら下がっている。ホツツジはお隣の大峰山にはたくさんあるのに、ここ地附山にはこの一本だけしか見つからない。登山道を外れた山の中にはあるかもしれないが、山の主のようなイケさんもこの一本しか知らないそうだから本当にないのかもしれない。
冬芽の膨らみも楽しみだ。雪は多くなってくるが、もう花芽が膨らみ始めているものが多い。ダンコウバイ、ツノハシバミそれぞれの姿で雪をかぶっている。オオバクロモジも可愛い花芽が膨らむのだが、今日見つけたのはアブラチャンかな。葉芽の方が大きいからオオバクロモジかもしれないけれど、花芽が少ないからなぁ。花が咲けば分かるだろうから、また来るしかないか。こうして来るたびに宿題をもらって帰ることになる。
先日まで楽しみにしていた粘菌探しはさすがに困難だ。倒木は雪に埋もれているから。それでも、大きく傾いた木の下を覗くと見つかるものもある。胞子を飛ばして休んでいるのだろう。
帰り道、前方後円墳の下の道を巻いていくと大きな倒木が道を塞いでいる。先日来た時にはなかった。幹の直径が50センチはあろうか、倒れた時の様子を想像すると怖い。自然の恐ろしさを実感する時だ。よっこらしょと倒木を越えて、駒弓神社への道を降りた。