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曼珠沙華に誘われて日向山 404m(神奈川県)

〜〜巾着田(埼玉県)は一面曼珠沙華〜〜    

2008年9月27日(土)2022.10記 


photo:庭に咲いた曼珠沙華

photo:庭に咲いた曼珠沙華

photo:庭に咲いた曼珠沙華

photo:庭に咲いた曼珠沙華

庭に咲いた曼珠沙華

9月中秋の名月を見上げる頃、庭に曼珠沙華が咲く。お彼岸の頃に咲くからヒガンバナという。曼珠沙華というのはヒガンバナの別名、仏典に由来する「紅色の花」という意味だとか。球根には毒があるけれど、毒抜きして食用にもなるから飢饉に備えて植えられたとも言われている。お墓周辺に多く植えられているのは野生動物に荒らされないように植えたとか、身近な花だったことを感じさせる。

ヒガンバナは気温が一定以上にならないと咲かないらしく、新潟の雪国に育った私は子どもの頃ヒガンバナを見たことがなかった。目立つ花だからか絵本などにもよく登場し、見てみたいと思っていた。神奈川で初めて見たとき、スクッと咲き出した潔い姿に感激した。

あまりにも真っ赤だからか、群れて咲くからか、嫌いだという人が多いが、大地からいきなりスッと伸びてきて華やかに開く姿を私は嫌いではない。花が終わる頃になってようやく茎の周囲に葉が出てくる。ヒガンバナといえば赤、つまり曼珠沙華だが、実際は白や黄色の花もある。


photo:珠沙華がいっぱい:日向薬師
曼珠沙華がいっぱい

丹沢の麓の小さな山、日向山に登ったのは「ヒガンバナが満開だよ」と、同僚に教えてもらったからだった。彼は撮ってきた写真を見せてくれた。今満開というから、なるべく早く行ってみたかったが、週末には用が入っていた。しかし土曜の予定は午前中だ、午後行ってみよう。

map・丹沢

横浜での用が終わった後、相鉄線で海老名まで行き、小田急線に乗り換える。伊勢原駅からはバス。30分ほどバスに揺られて日向薬師についたのは午後1時45分。山里の田んぼの間の道を緩やかに登っていくと黄色い稲の間に真っ赤な曼珠沙華。すごい。青空に映えて光っている。

この花を見ようと多くの人がやってきて、田んぼの畦道に作られた散策コースをそぞろ歩いている。

photo:青空に珠沙華:日向薬師
青空に曼珠沙華

photo:田んぼを彩る曼珠沙華:日向薬師
田んぼを彩る曼珠沙華

彼岸花の咲くコースは広いようでもひと回りするのにさほど時間はかからない。私たちは奥の日向山まで登ってみようと山道を歩き始めた。

photo:仁王門「どっちが怖い?」:日向薬師
仁王門「どっちが怖い?」

photo:日向薬師にお参りして
日向薬師にお参りして

日向薬師にお参りしてから歩き始める。一歩山道に入るとそこは深い森の中。さっきまでの人声が嘘のように誰もいない。日向山の山頂には石祠があり、説明板が立っていた。風雨にさらされて木の看板の文字はほとんど消えてしまっている。かろうじて読むと、この石祠には弁天様が祀られていたそうだ。人々の暮らしがもっと山に密着していた頃はこの道を行き交う人も多かったのかもしれない。

photo:山道は静か:日向山
山道は静か

photo:日向山404m山頂で
日向山404m山頂で

山頂から七沢の里を見下ろす。まだ稲刈りが行われていない田圃は黄色く実りの色に染まっている。

photo:七曲峠にて:日向山
七曲峠にて

photo:魅力的な沢:日向山
魅力的な沢

photo:七沢温泉まで降りてきた:日向山
七沢温泉まで降りてきた

photo:山頂から見下ろす田園:日向山
山頂から見下ろす田園

七沢温泉は鄙びた温泉宿だそうで、一度訪ねてみたかった。知人から聞いていた宿を発見した時は嬉しかったが、今日はもう日暮れに近い、宿でゆっくりする時間はなかった。七沢温泉からバスに乗り本厚木駅まで行く。小田急線で相模大野まで行って江ノ島線に乗り換え、家に帰る。秋の日は釣瓶落とし、午後からの旅は短い時間だったけれど充実していた。


彼岸花といえば全国的に有名な埼玉県の巾着田に行ったことがある。その時は所沢のホテルに小学生の孫と一緒に四泊していた。バレエの舞台に出る孫のリハーサルのために滞在したのだが、日中孫がレッスンしている間は時間を持て余す格好だったので、晴れた1日、一人で電車を乗り継ぎ巾着田まで行ってきた。

photo:どこまでも赤い:巾着田
どこまでも赤い 2015.9.23

map・巾着田

駅からの道は行き交う人々で賑わっていてびっくりした。

photo:巾着田
巾着田の曼珠沙華 2015.9.23

photo:真っ赤に染まる巾着田
真っ赤に染まる巾着田 2015.9.23

photo:巾着田にて
巾着田 2015.9.23

巾着田とは高麗川が湾曲してΩ形、あるいは巾着のようになっている土地だからその名がついたそうだ。川に沿った散策路はあまりにも見事な曼珠沙華の大群落。その真っ赤な世界にただただもう驚いた。ゆっくり曲線を描く川の向こうは垂直の崖になっていて、カワセミが住むというから、しばらく川岸に座って眺めていたが、あまりの人の多さにカワセミも驚いたか、ついに姿を見ることはなかった。

ここから駅に帰る途中で、彼岸花の球根を売っていたのでシロバナを一個買った。おじさんは嬉しそうにおまけにあげるよと、黄色い彼岸花の球根を一個くれた。我が家の庭に咲く白と黄色の彼岸花はこの時のものなのだ。




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