雲が多い日が長く続いたけれど、ようやく青空が広がってきた。今度は暑い。なんとも勝手な私たちだ。ちょうどいい時期はないものか、などと言いながら、やっぱり一日一回は体を動かさないとカビが生えそうだ。ゆっくり裏山を散歩してこよう。
一人で登るときは玄関から登山靴を履いてトコトコ歩き始めるのだが、夫がハンドルを握ると、途中の車道をすっ飛ばして駒弓神社から歩き始めることができる。
駐車場に車を停めた時は9時を少し回っていた。遮るものがないので、日差しがきつい。今日は暑くなりそうだ、水分をしっかり取ろうと話して歩き始める。
駒弓神社に行ってきますと挨拶して山道に入る。
森は緑に溢れているが、花の色は少ない。オトギリソウが黄色い花を開いている。ツユクサの青が眩しい。ニガイチゴだろうか、木苺の枝が白くなっている。先日登った時にはツヤツヤとした赤い実をつけていたのに、今日はもう枝の先でドライフルーツになっている。それにしても枝が白くなるのは自然なのだろうか。森の中に見え隠れする木が皆白くなっているから病気ではなさそうだ。
ジグザグに登っていくと、キキョウやワレモコウの咲くところに出る。だが、まだまだ蕾は硬い。しばらく咲き続いていたヤマツツジももうほとんど散ってしまった。ギボウシが大きく花穂を伸ばしているのが目立っている。
汗びっしょりになった夫はパワーポイントのベンチで着替えをする。水分と塩分の補給が大事と塩煎餅をかじりながらしばし休憩。霞んでいる浅間山には白い煙がたなびいている。
さて行こうか。びっしり茂ったアケビのツルに小さな実がぶら下がっている。まだ緑だ。森の淵にはツル植物が多い。ヘクソカズラが可愛い花を咲かせ始めた。足元を見るとオオチドメの花もポツリポツリと立っているが、そろそろ実になるのかな。あまりに小さいので、しゃがんでじっくり見ないとわからない。
高いところにはリョウブの花が白く開いてきた。ナツハゼの実はだいぶ色が濃くなってきたからそろそろ食べられるようになるだろう。大きそうなのを一個かじってみた、酸っぱい。 森の花を楽しみながらゆっくり登って山頂に出る。久しぶりに飯縄山がよく見えた。ママコナが赤い花を開いている。
一時乾燥していた山がこのところの雨でしっとりしてきた。動くと汗をかくのは空気に湿り気が多いからだろう。山頂にはマツムシソウが芽吹いている。新しいベンチの下からも伸びているから、踏まれないように願う。
先へ進み、モウセンゴケ群生地周辺でセンブリの芽吹きなどをみて過ごす。この広場にはギボウシが多いのだが、今年は葉ばかりで花芽が少ない。ふと見ると、あたり一面に小さな葉が群生している。よく見かける小さな葉はヒメハギに似ているが、もっと小さくて丸い。なんだろうと近づいてみると、小さな小さな赤い花が咲いている。「あ、これも花が咲くんだ」と、馬鹿なことを思う。一体これは何だろう。そもそも木なのか草なのかわからない。以前から知っている葉なのに、この花をしっかり見るのは初めてだ。家に帰って図鑑を開く、アリノトウグサというそうだ。どこにでも咲くとある。
よく見れば、ツンと花穂を伸ばして、なんとも可愛らしい花なのに、しかも毎年ここに咲いていたはずなのに、今まで見ていなかったとは・・・。私の目は本当に節穴ではないか。雄性期が先行してそれから雌性の花期になるという。またその変化を見にいくのを楽しみにしよう。
旗立岩に向かい車両センターを見下ろしたら、ちょうど新幹線が通ったと、夫は喜んでいる。
帰り道、粘菌やサルノコシカケを見つけて喜びながら降りる。自然の生き物は奥深くて知らないことだらけだ。先日山から帰ったら、玄関の前に小さな卵が割れて転がっていた。一体何の卵か、どうしてここにあるのか・・・首をかしげるばかり。鳥が突いて落っことしたんだろうか。知りたいことがどんどん増えてくる。
家に帰って汗を拭いていたら、イケさんから電話があった。今日はキノコをとりに地附山に入っていたという。思ったより収穫があったからと、お裾分けを持ってきてくれた。びっくりするような、両掌を広げたより大きなキノコも見せてもらった。
ヤマドリタケモドキにススケヤマドリタケ、あれ、この傘の裏が黄色いのはなんだったっけ。これが元祖のヤマドリタケだったかな。
イタリアではポルチーニと呼ばれ珍重されている風味豊かなキノコ類。早速お料理して、今日は我が家の大好きなペペロンチーノがランクアップ。赤ワインが美味しい山の恵みに舌鼓を打つことになった。