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妙義山系の端っこ 三ツ岩岳 1032m(群馬県)

2020年4月10日(金)


朝家を出るときは車の窓にポツリポツリと雨粒があたっていた。5時45分。長野インターから上信越自動車道に乗る頃には白いものが混ざり、次第に雪に変わってきたが、トンネルを抜け群馬県に入ったら青空が広がった。

map:三ツ岩岳

photo1大仁田ダムの駐車場
大仁田ダムの駐車場

目的地は南牧村の奥の山、三ツ岩岳1032m。大仁田ダムに駐車場があり、そこから沢を登って行く。

家を出て2時間余り、長いドライブの後なので体を伸ばして靴を履き替える。ダムの駐車場にはトイレもある。7時50分、車は我が家の1台だけ。思ったより空気は冷えている。

ゴロゴロした岩の多い道を歩き始め、いくつかの堰堤を越える。細い丸太を数本括った丸太橋が渡してある。水の音を聞くようになると咲いていた、コガネネコノメソウ。とても小さいけれど、輝くような黄色。竜王コースへの分岐を過ぎてしばらく、枯れ沢になっても道の脇にはネコノメソウが咲き競っていた。中にはとても小さくて指の先ほどしかないものもあったが、ちゃんと小さな花を咲かせている。

コガネネコノメ

photoコガネネコノメ

photoコガネネコノメ

photoコガネネコノメ

photoコガネネコノメ

この沢にはニッコウネコノメや、ハナネコノメも多く、混ざり合いながら咲いている。しばらくの間、きついゴロゴロ登りの目を楽しませてもらった。ユリワサビもたまに顔を見せ、ハシリドコロが濃い紫の花をぶら下げている。ハシリドコロは猛毒で、間違えて食べると走り回ってしまうそうだ。

photo3ハナネコノメ
ハナネコノメ

ニッコウネコノメ

photoニッコウネコノメ

photoニッコウネコノメ

photoニッコウネコノメ

photoニッコウネコノメ


森の斜面に咲き出す

photoカテンソウ
カテンソウ

photoカテンソウ
カテンソウ

photoハシリドコロ
ハシリドコロ

photoハシリドコロ
ハシリドコロ

photo6ユリワサビ
ユリワサビ

photo7鞍部への急登
鞍部への急登

ネコノメソウたちが見られなくなってしばらくすると林道に登りつく。大きくえぐれていてとても車が通ることなどできそうにない古い林道だ。途中からもう一度杉林の斜面に入って、ひと登りで鞍部に着く。ここまで登ると左右に大岩がそびえて、岩山という雰囲気が増す。楽しみにしていたアカヤシオ、この辺りから咲いていると思ったけれど・・・と呟きながら右の岩山に登ると、そこにピンクの輝きが!

アカヤシオ、枝の先に一つずつ花をつけるので、この辺りでは『ひとつばな』とも言われているそうだ。まだ少し早かったのか花はまばらだが、明るいピンク色がなんとも言えない奥行きを感じさせてくれる。

photo8アカヤシオ
アカヤシオ

photo9おしりばかり?
おしりばかり?

ここからの稜線はなかなかハードだった。標高は低いが、妙義山系らしい大岩の連なり。滑り台のような足場のない急な下りも、ゴツゴツ岩の直登も、お助けロープが取り付けてはあるのだが。時々首を仰向けるようにして岸壁を見上げ、ため息をつきながら登って行く。途中でポーズをとって写真というゆとりはなく、私は前を行く夫のおしりばかり撮っていた。家に帰って「おしり狙いの一日だった」と言うと、夫は「カッコよく撮った?」などとふざけ、無事に行ってきたことを噛みしめた。

photo10三ツ岩岳山頂
三ツ岩岳山頂

話を戻そう。頑張って登り下りを繰り返し、ようやく山頂稜線に到着した。この辺りは周囲をアカヤシオの木が取り囲み、明るい彩で迎えてくれた。ここから山頂までは狭い岩場の稜線歩きだけれど、大きなアップダウンはなく、一息だ。

ついに山頂。一気に目の前に西上州の山並みが広がる、圧巻だ。苦労して登ってきてよかったね。狭い山頂だけれど、お尻を下ろして休むくらいの場所はあった。腰を下ろし、疲れた足を休める。朝ごはんを食べていなかったので、ここで夫はおにぎりを一つ食べる。9時50分、おやつの時間だ。

photo11山頂から妙義山を見る
山頂から妙義山を見る

photo12山頂近くの岩稜
山頂近くの岩稜

私たちがのんびりしていると、前橋から来たと言う夫婦が登頂してきた。彼らはここに3度目だとか。アカヤシオが満開になる頃にはマイクロバスが何台もやってきて、この狭い山頂には交代で登頂すると言う。私はヒカゲツツジを楽しみに来たのだけれど、今日はまだ発見できないと話した。

photo13痩せ尾根だね
痩せ尾根だね

photo14岩稜、先方は前橋からの夫婦
岩稜、先方は前橋からの夫婦

「今日はもう諦めかなぁ」と、少しがっかりしながら下山することにした私たちの前になって歩いていた婦人が、「あ、咲いていますよ」と大きな声で教えてくれた。岩のかげになって数輪、淡い独特のクリーム色の花が揺れている。「あった」思わず叫び、狭い岩綾の上から覗き込む。夫と私が、ヒカゲツツジの写真を撮れないか挑戦していると、さらに先に進んでいた婦人が再び「こっちにも咲いていますよ」と叫んでくれた。

photo15ヒカゲツツジ
ヒカゲツツジ

確かに稜線の脇に綺麗に咲いている。遠くからやってきて、頑張って岩場を登ってきた私たちへのご褒美のように・・・などというのは勝手な思い込みだけれど、ようやく出会えたヒカゲツツジにしばらく見惚れていた。

さぁ、あとは気をつけて帰ろう。竜王コースの尾根にはアカヤシオが咲いていて目を楽しませてくれるから、見下ろすと怖くなるような狭い岩綾も楽しく歩く。道は杉林の中に続いて行く。急斜面を滑るように降りて行くと,大きな岩の下に竜王大権現が祀られている。薄い岩を積み重ねたような独特の岩は、見上げると首が痛くなるほど。風もなく暖かいので、ちょっと早めのお昼を食べようか。岩の下は休憩場所としては危ないところなんだけど、竜王様の隣をお借りしておにぎりを食べた。

photo16竜王大権現の大岩
竜王大権現の大岩

再び急斜面を転がるように降りて、ようやく平らな地面に戻ったのは11時15分だった。




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