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戸隠の春から夏へ花めぐり(長野県)

2019年5月6日,5月25日,7月10日 参考日2015.6.29


5月6日 森林植物園と戸隠展望苑、大谷地湿原

水芭蕉が咲き出したと聞いて、戸隠へ出かけた。途中の戸隠展望苑へ寄り道する。夏になると雄大な戸隠山が聳え、その前に一面に白い蕎麦の花が咲く風景を見ることができるが、今はまだ畑は土の広がりになっている。ずっと昔には、春一番に菜の花が咲き広がっていることもあった。

1戸隠連峰と高妻山
戸隠連峰と高妻山 5.6

2菜の花が満開の戸隠展望苑
菜の花が満開の戸隠展望苑 1999.5.23

3ミズバショウ
ミズバショウ

森林植物園の駐車場に車を停めて、みどりが池から歩き出す。ミズバショウが咲き出している湿原は淡い色が広がって息を飲む。まだ木々が芽吹く前に白く広がるミズバショウの花は「春が来た」と言っているようで、見ている私たちも心が浮き立つようだ。

まだ花は少ないけれど、春が動き出している。小さな花を見つけながら歩くのが楽しい。カタクリの花も見られる。キクザキイチゲやアズマイチゲが咲いていると華やかだ。水辺にはワサビの花もほころびかけている。

春を知らせる花々

エンレイソウ
エンレイソウ

カタクリ
カタクリ

キクザキイチゲ
キクザキイチゲ

ワサビ
ワサビ

戸隠は野鳥の宝庫とも言われるようだが、季節季節に野鳥観察の人が集まってくる。長い望遠レンズを付けたカメラと三脚を担いている人たちが歩いている。野鳥は決まった場所にやってくるのか、何人もの人が三脚を立てて同じ方向に向けたカメラをのぞいていることもある。

6野鳥観察の人が多い
野鳥観察の人が多い

5咲き出したミズバショウ
咲き出したミズバショウ

7キビタキ
キビタキ

この日も数人が集まっているところに出会ったので、「何がいるのですか」と聞いた。一人の男性が説明好きな人と見えて自分のカメラの映像を見せて説明してくれた。京都から来たというその人は時には観察会の案内などもしていると言っていた。

コルリが動いている可愛い映像を見せてもらった。ブルーに光るような小鳥が森の中を動いている。とても綺麗な小鳥がすぐ目の前の森にいるというのだから映像ではなく実際の姿を見たいと思ったが、私たちはせっかちらしく、じっと待っているのが苦痛になった。その男性に挨拶して歩き始めようとした時、すぐ脇の木の上に赤い姿が見えた。「あ、あれはオオアカゲラ」私が指差すと、その男性も見上げて大きな声で「オオアカゲラだ」と言った。その瞬間、今まで三脚を立てて反対の森にカメラを向けていた人たちが一斉にくるっと回れ右をしてオオアカゲラに向かった。

オオアカゲラは大きな木の皮をばさりばさりと落としながら上に向かってコンコンつついていった。その姿は迫力があり、野鳥に出会うのも楽しいものだと思った。

オオアカゲラ

オオアカゲラ

オオアカゲラ

オオアカゲラ

オオアカゲラ

シャッターの音が重なる中を私たちは駐車場へ向かった。鳥を愛する人たちがあちらにもこちらにも小さな塊を作ってカメラを立てている。

9ネコノメソウ
ネコノメソウ

10花もそばも嬉しい,シラネアオイ
花もそばも嬉しい

花を楽しみ、美味しい蕎麦も食べて、満足満足と言いながら、さらに帰り道の途中の大谷地湿原に寄ってみた。飯綱高原に広がる湿原、近くには大座法師池があり観光地ではあるのだが、湿原を歩いてみようという人は少ないようだ。いつ立ち寄っても人に出会うことは稀だ。

11大谷地湿原のリュウキンカ
大谷地湿原のリュウキンカ

この日も、リュウキンカが咲き誇る広がりには私たち以外誰もいない。静かな湿原だ。湿原の真ん中に向かって少し高く作られた木道を歩いて行く。リュウキンカの鮮やかな黄色の広がりは遠くの飯縄山の裾模様のようだ。

ゆっくり一回りして戸隠に向かう古道と合流する山道にぶつかる。山の麓には森が迫っている。森との境目に流れる小さな水の流れを知らせるように、そこには水芭蕉の白が広がっている。たっぷり花を楽しんで家に向かった。

12大谷地湿原のミズバショウ0506
大谷地湿原のミズバショウ 5.6


5月25日 随神門からささやきの小径へ

戸隠にはスキーや森歩きに何度か訪れているが、花が咲くようになるといつもほぼ同じコースを歩いていた。森林植物園は池あり、湿原あり、森林ありで多様な自然の姿に巡り会える。高台には植物園もあるので、自然に近い姿の中に様々な花が咲く様子を見ることができる。

月初めに訪ねたときはまだ花も少なかったが、5月も後半になると花々は競い合うように咲いている。大好きなシラネアオイ、サンカヨウ、そしてトガクシショウマも。

13シラネアオイ
シラネアオイ

14トガクシショウマ
トガクシショウマ

「いつも同じ道ばかりではつまらないね」「今日はちょっと違う道にも足を伸ばそうか」と話しながら、植物園から随神門に周った。随神門からは奥社山道を横切り、さらにキャンプ場に向かって続く森の中に入る。ここはささやきの小径という。ささやきの小径を歩くのは初めてだ。歩き始めるとすぐにニリンソウの大群落が迎えてくれる。

15ささやきの小径はニリンソウ大群落
ささやきの小径はニリンソウ大群落

道の両側には溢れるように白い花が咲き、スミレの紫が彩りを添えている。ニリンソウの群落はどこまでも続き大迫力だ。こんなに見事な満開のニリンソウはなかなか見られないかもしれない。時々現れる薄紫の広がりはオオタチツボスミレ。タチツボスミレとそっくりだが、距が白いので見分けることができる。この日は花全体が白いのを見つけた。ぽつりぽつりと咲いている。シロバナタチツボスミレというのだろうか。純白が美しい。

スミレの季節

ツボスミレ
ツボスミレ

オオタチツボスミレと
オオタチツボスミレと

ミヤマスミレ
ミヤマスミレ

シロバナタチツボスミレ
シロバナタチツボスミレ

18森の向こうに戸隠山
森の向こうに戸隠山

深い森は冷温帯に生育する夏緑広葉樹林(トチノキ、ハリギリ、ミズナラ、シナノキなど)で、高木、亜高木、低木、草本という4階建ての構造になっているそうだ。

道はいくつも小さな沢を越えていく。沢沿いにラショウモンカズラが開き始めてきた。なんだか重々しい名前だが、どうしてこんな名前がついたのだろうか。紫の花が特徴的だ。

17いくつも沢を越えていく,ラショウモンカズラ
いくつも沢を越えていく

春の花が一斉に

イワヤツデ
イワヤツデ

フデリンドウ
フデリンドウ

クルマバツクバネソウ
クルマバツクバネソウ

ホソバノアマナ
ホソバノアマナ

歩くほどに、足元には小さな花がこぼれるように咲いていたり、背の高いルイヨウボタンやサンカヨウが揺れていたり、目を楽しませてくれる。もう5月も終わりだというのに、ミツバオウレンやコミヤマカタバミ、そしてネコノメソウなど早春の花と思える花もまだ咲いている。ネコノメソウの仲間は色々あるが、葯の色が暗赤色で8本、萼裂片が立ち上がっている様子はホクリクネコノメソウだと思われる。

19サンカヨウ
サンカヨウ

23花を見ながら沢辺を行く,ミツバオウレン,コミヤマカタバミ,ホクリクネコノメソウ
花を見ながら沢辺を行く

20お疲れ様のムシカリ
お疲れ様のムシカリ

大きな花、鮮やかな色の花は見つけやすいが、高い木の上の花、葉の影に隠れるような小さな花、花か葉か分からないような地味な花、それぞれにその姿には大切な意味もあるのだろうか。ネコノメソウは水辺に浮かぶかのように咲いていることも多く、花の色も周りの葉と同じように見えることが多い。仲間も似た姿をしているから、まだ私には名前が分からないことも多い。

草むらにまるで花なんか咲かないよと言うかのように小さな花を垂れているのはタケシマラン。実は真っ赤で目立つけれど、花は本当に見つけるのが難しい。大概群れになっているので、葉の姿を覚えると見つけやすくなる。

21花が見つけにくいタケシマラン
花が見つけにくいタケシマラン

花々を眺めながら歩き、森の中に木のベンチを見つけて持ってきたおにぎりを食べる。我が家の味は体に染みるようで、森の空気を最高の調味料に、ゆっくりランチタイムを楽しんだ。

24森の中でおにぎりを食べる,ツルシキミ,フッキソウ
森の中でおにぎりを食べる 5.25


(参考)2015年6月29日戸隠中社、奥社、大谷地湿原

今年の6月は戸隠方面を歩かなかったが、何年か前に友人と行った時に珍しい花を発見した。6月といえば少し標高が上がると春の花も夏の花も一斉に咲き乱れる季節だ。

長野に引っ越してまだ2年の頃、友人が長野旅を計画して我が家に逗留した。近くの善光寺や城山公園あたりを楽しく散歩したが、一度は山懐にも行ってみようと、3日目に戸隠に向かった。

その日は快晴で、高原の花が青空に映えて光っているようだった。友人も花が好きなので、オダマキやアザミが草原の風に揺れる様をただただ感激して見ていた。

戸隠高原に咲く 6.29

ヤマオダマキ
ヤマオダマキ

ノアザミ
ノアザミ

ケナツノタムラソウ
ケナツノタムラソウ

カラマツソウ
カラマツソウ

戸隠は初めてという友人と一緒に中社にお参りし、随神門を潜って奥社まで登った。中社の御神木を見上げると首が痛くなると笑い、奥社へ続く杉並木の幽玄な雰囲気を楽しんだ。

26中社にて
中社にて

杉並木から奥社への山道は最上部で結構な登りになるけれど、濃い緑の森の中の空気を楽しみながら歩いていたので、難なく登りついた。

27随神門,イワナ,タニギキョウ
奥社へ続く随神門

28杉並木を歩いて奥社へ
杉並木を歩いて奥社へ

途中の山道脇の疏水にはイワナのような魚がそっと身を潜めている。じっと動かず水中に漂っているような姿は、まるで「私は魚ではありません。水ですよ」と言っているみたいだ。

久しぶりに会う友人と話を楽しみながら歩いていると道の傍に珍しい花を発見した。ショウキラン、初めて見つけた私は大喜び。夢中になってあっちからこっちから見て、写真を撮り、一人興奮していた。友人も夫もへぇ〜珍しいの?というふうに、花よりも私の喜ぶ様子を見て楽しんで、あるいは呆れていたのではないかと思う。

29ショウキラン
ショウキラン

30赤く色づいたニワトコの実
赤く色づいたニワトコの実

31戸隠のお昼はやっぱり蕎麦
戸隠のお昼はやっぱり蕎麦

初夏の雰囲気も垣間見せる高原をたっぷり散策してから、やっぱり戸隠蕎麦が食べたいという意見はすぐ一致。

私たちの好きな蕎麦屋さんへ行くと、お店の入り口に並ぶ食品に友人の目がキラリ。お料理も得意、食べることも好きな友人はそこで売っている蕎麦粉などに興味津々。美味しい蕎麦に舌鼓を打った後は買い物も楽しんで店を出た。

腹ごなしに立ち寄った大谷地湿原には夏草が丈高くなってきて、あたり一面緑の世界だった。爽やかな空気の中に聳える飯縄山にあいさつして帰った。

32緑一色の大谷地湿原
緑一色の大谷地湿原 6.29


7月10日 森林植物園と戸隠展望苑

花はいつでもそこにあると、つい思ってしまう。2ほど前に見つけた、カモメランやショウキランをもう一度見ようと出かけたけれど、どちらも見ることができなかった。

カモメランを探して、草の中を目こらしながらウロウロしていると、「何を探しているの」と、男性が近寄ってきた。その男性は、カモメランがそこにあることを数年前に発見したという。発見した翌年にはかなりの株が盗掘されてしまったのだそうだ。こっそり隠しておくか、きちんと囲ってみんなに大切に見守ってもらうか、かなり悩んだのだそうだが・・・。今年は、もう花の盛りを過ぎるころに見に行ったのだが、小さな葉が芽を出しているばかり。苔が繁殖しすぎているからだそうだ。「今年は咲かないね」と、男性も寂しそうだった。例年になく多量の雨と気温の上昇が、苔の繁殖を促したのかもしれない。

33みどりが池,コバノフユイチゴ
みどりが池 7.10

7月にはすでに夏の気配が強く、メタカラコウが黄色い花を広げるのを待ちきれないように蝶が集まっている。ヒョウモンチョウの種類はたくさんあるそうで、ちゃんとした名前はわからないが、とにかくひらひらたくさん飛んでいる。イカリモンガも大きな目のような模様の羽が目立つので分かりやすい。

34メタカラコウと蝶
メタカラコウと蝶

純白の花をたくさん見せてくれたサンカヨウも今は実になっている。ちょっと粉を吹いたような独特な青、形もまん丸ではなくてほんの少し長細い。なんだか可愛い実だ。近くには大きな葉の真ん中に緑のリボンを乗せたようなシラネアオイの実も膨らんでいる。

35サンカヨウ実
サンカヨウ実

戸隠の森には夏の息吹を感じさせるヤグルマソウ、オニシモツケ、オオナルコユリなど背の高い花々が賑やかになってきた。だが、どれも静かにそっと咲いているという風情だ。

小さな花をたくさん咲かせる

ヤグルマソウ
ヤグルマソウ

オオナルコユリ
オオナルコユリ

カラマツソウ
カラマツソウ

オニシモツケ
オニシモツケ

森の中を歩いていたら、高い声が響いてくる。小鳥の声、水辺に近いところで高く響いている。数少ない鳴き声がわかる小鳥、ミソサザイだ。一本の枝に止まってしばらく囀っていた。声はとても美しく響くけれど、姿はあまり目立たない。尻尾を高く上げているところは可愛いけれど。

ミソサザイ

37ミソサザイ

37ミソサザイ

37ミソサザイ

37ミソサザイ

今年は雨が多かったせいか、足元にはキノコの姿も多い気がする。ギンリョウソウも多かった。木々に隠れるように実になりかけたギンリョウソウが白く光っている。

38キノコもいろいろ
キノコもいろいろ

39ギンリョウソウ
ギンリョウソウ

夏の気配を楽しみながら、やっぱり戸隠に来たら蕎麦でしょうなどと呟き、展望苑の蕎麦の芽吹きを楽しんでから蕎麦屋さんに向かった。

40芽吹いた蕎麦畑と美味しい蕎麦
芽吹いた蕎麦畑と美味しい蕎麦 7.10




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