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沼の原湿原といいづなアップルミュージアム(新潟県・長野県)

2019年5月8日(水曜日)


photo1早春の風景
早春の風景

山の花の開花はその年の天候に大きく左右される。今年は元号が『平成』から『令和』に変わるというので、ゴールデンウィークが一段とゴールドを増した。我が家の近くの善光寺は観光地なので、道路は渋滞、境内は人の波と、近所の住民としては嬉しいような、困るような・・・。

そのゴールデンウィークが終わるのを待って、沼の原湿原に出かけた。山の間の湿原は、雪の量や寒暖の差によって花の開花時期が大きく異なる。

photo2斑尾山のてっぺんが見える
斑尾山のてっぺんが見える

photo4木道に残る雪
木道に残る雪

今年の冬は雪が少なかったようだから、連休後の今では遅いだろうかと思って行ったが、ミズバショウはまだ5分咲き程度、遊歩道の木道にも雪が覆い被さるほどだった。4月になっても寒さが厳しく、何度か雪が降った影響だろうか。

photo5水の中で咲くミズバショウ
水の中で咲くミズバショウ

photo6水中のミズバショウ
水中のミズバショウ

私たちが靴を履き替えていたら、大型のバンが来て、蛍光色ベストを着た数人の男性が降りてくる。某テレビ局の名前の脇にドローン撮影と書いてある。確か昨年は看板などを整備しに来ていた地元の人たちに会ったなぁ。ここには何かしら人の手が入っているということだろうか。

まずは流れの速い小川沿いに行く。4月に入って雨量が多かったせいか、木道も水をかぶっているところが多い。ミズバショウはしっかり水中に没して流れに揺れているものが多い。

photo3ミズバショウとリュウキンカ
ミズバショウとリュウキンカ(黄)

ドローン隊は中央の木道あたりに集まっているので、私たちは山裾のコースを回った。所々にリュウキンカの明るい黄色が光を放っているが、まだまだ雪と水の世界という感じ。ぐるりと回って、奥はもう一面雪の世界だ。

photo8万坂峠への分岐点
万坂峠への分岐点

こうなると面白くなる。「万坂峠まで行ってみようか」と話は決まり、雪の中を歩き出す。アイゼンなどは持って来なかったけれど、春先の晴天、日向は土が出ている山道だから登山靴で十分だ。山桜が綺麗だ。木々が雪に押しつぶされて曲がっている。今日の暖かさで溶けた雪から解放されて、時々足元で跳ね上がる枝がある。こちらはびっくりするけれど、自由になった木は嬉しそうだからいいか・・・。

photo7ヤマザクラとスミレ
ヤマザクラとスミレ

雪に倒されているから、枝が近い。花が目の前にある。マンサクはまだ凍えながら咲いているようだ。キブシは半分も開いていない。緑の綺麗な花が目についた。クロモジ?シロモジ?そんな仲間だよね。カナクギノキかな。初めて聞いた面白い名前。小さいけれど、薄緑のドレスを広げたような豪華な花だ。

photo9マンサクの花
マンサクの花

photo10カナクギノキかな
カナクギノキかな

photo11流れの上は溶けている
流れの上は溶けている

いくつかの小川を越えたり、雪の上を滑ったりしながら登っていく。まだ土が出ているところが少ないので、楽しみのフキノトウもあまり出ていない。それでも、雪が溶けたばかりのところから淡いクリーム色の塊がポツポツと見えているのをいただいて進む。勾配が急になってくると、道は小さな川になってきた。しかも始末が悪いことに、雪の下を流れている。万坂峠までは大した距離じゃないはずだけれど、踏み抜くと足首まで水に浸かるのは遠慮したい。林道に出る手前あたりで、引き返すことにした。雪道は充分堪能した。

photo12雪の斜面
雪の斜面

photo13雪で覆われた万坂峠への道
雪で覆われた万坂峠への道

雪の上に倒れている木や、落ちている大きな枝が多い。上に、ということは春先になってから倒れたということだよね。重い春の雪に負けたのだろうか。水の上の雪が溶けてオブジェのようになっているのも楽しい。

雪道を楽しみながらまた沼の原湿原まで降りてきた。鳥の声が空に響く。すぐ近くの枝に止まって歌っている小さな鳥をカメラで狙ってみた。鳥や蝶のように素早く動くものには苦手意識が強い。視力が弱かったせいか、「どうせ見えない」という諦めが先に立つ。けれど山に近くなって(この『近く』は距離ではなく生活のようなものか)、鳥たちにも近くなったら、時々は姿を見ることができるようになった。特に秋から春にかけての木の葉を落とした森の中では、物理的にも見えやすい。写した鳥は帰って図鑑で調べる。夫が熱心に調べてくれる。今日見たのはノジコという小鳥だった。

photo14ノジコ
ノジコ

photo15樹上のノジコ
樹上のノジコ

そのあと、今度はアカゲラが2羽先になったり後になったりしながら湿原を飛んでいく。遊んでいるようだ。ふと、大きな木の幹に並んで止まると、しばらくじっと動かない。「お疲れ〜」と、言いたくなってしまう。遠い木に止まったので、私の小さなカメラの望遠レンズにはちょっと難しかったが、頑張った。先日戸隠森林植物園でオオアカゲラを見たばかりなので、その違いがよくわかる。珍しいというオオアカゲラはゆっくり木を登りながら大きな嘴で木皮を剥いでいく。なかなかの迫力だった。目の前のアカゲラはどこか愛嬌があるようだ。

photoアカゲラ

photoアカゲラ

photoアカゲラ

photoアカゲラ

アカゲラ

広い湿原の中央部には、真っ白いミズバショウと、明るい黄色のリュウキンカが見事なコントラストを見せている。青い空に芽吹き始めた木々の梢はパステルを箱ごとひっくり返してこすった画用紙のような柔らかく厚みのある色合いだ。しばらく見ていても飽きない。鳥の声を聞きながらゆっくりゆっくり歩く。朝、ドローン隊がいた木道も今は誰もいない。

photo17沼の原湿原の春
沼の原湿原の春

photo18沼の原湿原の真ん中で
沼の原湿原の真ん中で

沼の原湿原は広く、山の襞に入り組んでいるので、場所によって雪どけのスピードも水量も変わる。ミズバショウの成長にも差があって面白い。成長して大きな株になっている部分もあれば、まだ白い苞がとんがっている一角もある。広い湿原の中でゆっくり気持ち良い時間を過ごした。


思わぬ雪上歩きも堪能したので、沼の原湿原を後にして、今日のもう一つの目的地に向かう。帰り道の途中にある『いいづなアップルミュージアム』。これまでにも何回か近くを通ったが、立ち寄ったことがなかった。ニュートンのリンゴ並木というのがあって、そこに咲くという世界各地のリンゴの花を見たいというのが、私の目的。夫はまぁ、お付き合いというところか。

リンゴの花はちょうど満開だった。お昼を少し過ぎていたので、まずは花より団子。ミュージアム内のカフェに入る。ここでは骨つきチキンやジビエのカレーもあると調べてある。今日はカレーが食べたい気分という夫。夫はチキン、私はジビエを注文する。しばらくしたら、厨房の方から女性が出てきて「すみません!」。今日のご飯が終わってしまったんだって。う〜ん、残念。気分はすっかりカレーなんだけど〜、でも他へ行くわけにもいかないし、あるもので間に合わせる事にした。他にはおやきとケーキしかないんだけれどね。周りを見ると、カレーを食べている人もいる、あ〜少し遅かったんだね。

photo21アップルミュージアムで軽食
アップルミュージアムで軽食

さて、コーヒーを飲んで気分を変えて、リンゴ並木を歩く。まさに満開。真っ白に見えるもの、うっすらと紅の化粧をしたもの、そして驚いた事に濃いピンクの花もあった。それぞれの木の脇には産地の国旗や実の写真、由来を説明した看板がある。一口にリンゴといってもずいぶんいろいろな種類がある。

世界のリンゴ 1

photo1オーストラリア(グラニースミス)
オーストラリア(グラニースミス)

photoカナダ(サマーランド)
カナダ(サマーランド)

photoイギリス(エグレモント ラセット)
イギリス(エグレモント ラセット)

photoスウェーデン(アロマ)
スウェーデン(アロマ)

世界のリンゴ 2

photo2日本(千秋)
日本(千秋)

photoニュージーランド(キャプテン キッド)
ニュージーランド(キャプテン キッド)

photoイギリス(メイポール)
イギリス(メイポール)

photoオランダ(ベルドボスクープ)
オランダ(ベルドボスクープ)

カナダの木も見つけた。「あ、アン(※)がマシューの馬車に乗ってくぐって行ったリンゴ林」などと勝手にイメージを膨らませる。そして、あった、ありました。その落下を見てニュートンが『万有引力の法則』を発見したというリンゴと同じ品種のリンゴの木、満開だ。花に文字は書いてないから、他の花と同じ美しさだ。そこに歴史を読み、想いを重ねて感動できるのが人間の特技というものかな。

photo23ニュートンのリンゴ
ニュートンのリンゴ満開

photo22ニュートンのリンゴ
ニュートンのリンゴ

雪の原からリンゴの花まで、ちょっぴり春の時間をワープして、満足の帰り道だった。心残りはカレーのみ・・・、やっぱり花より団子か。

photo24フキノトウ収穫
フキノトウ収穫




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