⬆︎Top 

30
カヤの平 1450m北ドブ湿原周遊(長野県)

2017年10月5日(木)

インフォメーションのイメージ画像 使用した写真の一部 🔸は当時のフィルムカメラで撮ったプリント写真をスキャンしデジタルデータ化したものです。

地図・カヤの平

自然の中を歩くことが好きな友人がやってきた。カヤの平のブナの森の美しさを話したら、行ってみたいというので一緒に歩くことにした。

写真1明るい森2000.10.8:カヤの平
🔸明るい森 2000.10.8

写真2紅葉輝くブナの森1997.10.10:カヤの平
🔸紅葉輝くブナの森 1997.10.10

写真3ブナの森でおにぎり20001008:カヤの平
🔸ブナの森でおにぎり 2000.10.8

長野は9月から寒さが厳しく、10月は雨模様でのスタートだった。天気予報で一日だけ晴れマークがある日の前日、友人たのちゃんときみちゃんが山梨からやってきた。その夜は久しぶりの話が弾み、ついつい遅くまで起きている。

そして当日、雲は多いが青空も見えている。まずまずの歩き日和。2週間前に夫と二人で通った道を今日は4人で楽しくおしゃべりしながら行く。運転は山道に慣れたたのちゃん。いつも運転席にいるため道端の景色を眺められない夫が、今日は嬉しそうに周囲を眺めている。

中野市から国道403号を行き、高社山を回ってから山道を登る。ぐんぐん高度をかせいで行くと、森が明るい黄金色に染まってくる。シラカバ、ダケカンバの森からブナの森、どこまでも続く深い森だ。

写真4色づき始めたブナ林で:カヤの平
色づき始めたブナ林で

靴を履き替え、森の中に入ると風が穏やかになり、暖かい。数メートルも歩いたろうか・・・きみちゃんが歓声を上げる。

「見て、見て、このササ大きい!」

新潟で育ち、ササ餅やササ団子が生活の中に当たり前にあった私にとってはごく普通のササの葉だが、きみちゃんは感動している。彼女は山梨の山のササでちまきを作ったのだそうだが、小さくなってしまったと言う。嬉しそうな友人たちとササ摘みをしながら、子どもの頃季節になるとササの葉採りに行かされたことなどを思い出していた。

写真5大きなササの葉に夢中:カヤの平
大きなササの葉に夢中

写真6ムシカリ実:カヤの平
ムシカリ実

森の中は紅葉がすすみ、光が踊っている。落ち葉が厚く積もっている道は足に優しい。森は冬支度に忙しいのだろうが、私たちはブナの実を拾ってみたり、落ち葉をかざして形を楽しんだりしながら、ゆっくりゆっくり歩く。キノコももちろん見えるが、2週間前に比べるとずいぶん減った。

私と夫はいつも写真を撮ったり、花を見つけたり、遠くを眺めたりしながら自分たちのペースで、ゆっくり歩くことが多い。でも、時には友人と話しながら歩くのも楽しい。一緒に歩いて、発見が広がったり、楽しみが膨らんだりするようだ。『友人』だからこそなんだろうか・・・。

まだ咲いていた

写真ウツボグサ:カヤの平
ウツボグサ

写真キンミズヒキ:カヤの平
キンミズヒキ

写真コナスビ:カヤの平
コナスビ

写真モリアザミか:カヤの平
モリアザミか

森の中は鳥の声と私たちだけ、誰にも出会わない。私たちの見えないところで動物たちは忙しくしているのかもしれない。そう言えば、たのちゃんが「オ!」と叫んで指差した先には巨大ナメクジが!太い木の幹のちょうど私たちの目の高さ当たりにへばりついている。大きい。長さは10㎝以上、太さは2㎝ほど、淡い木肌の色と同化しているが背中に茶色の模様が見える。こんな大きなもの、見たこと無い。やっぱり森に詳しい人は目が違うのだろうか。4人にじっと見られても身動きしない巨大ナメクジには早々にお別れをして、私たちは北ドブ湿原に向かった。

写真8キノコが好物のヤマナメクジもいた:カヤの平
キノコが好物のヤマナメクジもいた

湿原はもう一面の草紅葉。広がってきた青空の下にオレンジ色の湿原が揺れて光っている。さわやかな風。湿原の奥の四阿でおにぎりを食べることにする。持って来たのは我が家のミョウガを味噌につけただけの刻みミョウガをまぶしたおにぎり。ちょっと塩味が薄いかな、でもミョウガのほろ苦さと味噌の香りがおいしい。

写真9北ドブ湿原の草紅葉:カヤの平
北ドブ湿原の草紅葉

写真10昔も北ドブ湿原は草紅葉1997.10.10:カヤの平
🔸昔も北ドブ湿原は草紅葉1997.10.10

おにぎりを食べて、清々しい空気を十分味わったあとは、湿原の奥を一回りして再びブナの森の中に戻る。広葉樹の混淆林、大きなトチノキの葉を見上げるのも面白い。天狗の葉ウチワとはこのことか?湿原の渕にはオオウバユリの実も巨大だ。花の頃、来てみたい。ウバユリとは花の頃には葉が無くなるので、歯(葉)が無いから姥なのだそうだ。なんだか、可哀想な名前だ。可哀想だけれど、生活に密着していたとも言えるかもしれない。

写真11北ドブ湿原でおにぎりを食べる:カヤの平
北ドブ湿原でおにぎりを食べる

写真12トチノキ:カヤの平
トチノキ

写真13オオウバユリ実:カヤの平
オオウバユリ実

フカフカの落ち葉の絨毯を踏みながら歩いて行くと、今日森の中で初めての人に出会った。腰に籠をぶら下げてキノコを採っている男性だ。籠の中を見せてくれる。遊歩道を歩いているだけでは見つけられないようなキノコがある。毒キノコもあったが、展示用に採っているのだとか。

写真14花や実,ユキザサ,ゲンノショウコ,ツルリンドウ,マイヅルソウ:カヤの平
花や実を見つけながら歩く

写真15巨大なブナを見上げる:カヤの平
巨大なブナを見上げる

カヤの平には巨大なブナが多い。巻き付いたツルまでも自分の幹に飲み込んでゴツゴツとそびえているブナは圧巻だ。言葉も無く見上げる。森の中でのひとときは何かを深く考えている訳ではないのに、自分が浄化されている気がする。山道をひたすら登っている時などもそうだ。その時は何も考えていないのだけれど・・・。いや、何も考えていない時そのものが嬉しい贈り物なのかもしれない。自然からの。

写真16カヤの平のササで友人が作ったちまき
カヤの平のササで友人が作ったちまき

山梨に帰った友人から「大成功!」と、ササちまきの写真が届いた。これも自然からの贈り物!




  • Gold-ArtBox Home