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雪の中を歩く楽しみ 地附山 733m(長野県)

2021年12月28日(火)


photo:妙高山
妙高山 2021.12.12 地附山山頂から

強い寒波が来て、急に雪がたくさん降った。長野市の積雪量は例年に比べてそれほど多くはないが、冷え込みが厳しい。だから10センチほど積もった雪が溶けずにそのまま残っている。


12月中旬12日、13日に大峰山、地附山に登った時にはまだ積雪はなく、遠い山の雪を眺めていた。妙高山は全体が白くなって、雪深い山だと感じる。しかしその白い山を眺めているわが地附山、大峰山の日当たりの良い南斜面には春の花が開いていた。

photo:アカミゴケ,キノコ,落ち葉・大峰山
秋の気配を残す? 2021.12.12

photo:ホトケノザ
ホトケノザ 2021.12.13

その後、18日の朝、長野にも6センチほどの雪が積もった。そのままなかなか溶けない。山の雪の様子を見に24日に登った時には、大峰山の北斜面は凍っていたけれど、南斜面の山道の雪は溶けてしまっていた。南からの山道は、まだしばらくは雪仕度なしでも大丈夫などと思った。

photo:ヤブコウジの実・歌ヶ丘の森
歌ヶ丘の森 2021.12.13

photo:ヒイラギ,ヤドリギ・地附山
森の中にもクリスマス 2021.12.24

photo:ウサギの足跡,スズメバチの巣,蜂の巣,マメガキ・地附山
落とし物がいっぱい 2021.12.24

白と茶色の森の色の中に、ヒイラギやヤドリギが明るい緑色に光っていて、「今日はクリスマス・イヴだ」と、イベントとは無縁の私にも季節の変化を感じさせてくれた。大峰山へ登る斜面には蜂の巣も何種類か落っこちていたが、中にはこれまで見たことがない細長い巣もあって、雪道ならではの落とし物を楽しみながら登った。街には雪がなく、まだまだ呑気な登山だった。


そこへ強い寒気が雪を運んできた。さすがに地附山も真っ白になっているようだ。

photo:駒弓神社・地附山
駒弓神社

今年はこれが納めになるかもしれないと言いながら、雪の裏山に向かった。リュックの中にはスパッツはもちろん、アイゼンも用意した。

中腹の駒弓神社に挨拶して登り始める。真っ白な雪面に走り下った足跡が一つある。私たちが歩き始めたのは9時45分、もう降りてきた人がいるんだね。

photo:山道は真っ白だ・地附山
山道は真っ白だ

photo:雪の斜面・地附山
雪の斜面

photo:アカマツのトンネルにビックリ・地附山
アカマツのトンネルにビックリ

photo:靴に雪団子がついた,動物の足跡・地附山
雪道には面白いことがいっぱい

雪が乗るだけで山の雰囲気はキッパリ変わる。それまでの優しさを残す里山らしさは白い幕の向こうに隠れ、青空の下でも粉雪が舞うような厳しい冬の世界になる。もちろん森の中の斜面は一面白くなっている。気温が低いので、木の枝に積もった雪はそのまま白いオブジェになっている。日差しが強くなって気温が上がると溶け出して、青空の下の水滴攻撃を受けることになる。今日は青空になっても気温が低いままだ。よほど強い寒気が来ているのだろうか。アカマツやネズミサシなどの針葉樹は葉の上に積もった雪の重みで枝をしなわせている。大きな木がしなってトンネルのようになっている。

photo:地附山パワーポイントから善光寺平と周辺の山々・
パワーポイントから

雪は湿っている。凍っていないのでアイゼンはいらないが、落ち葉と雪がくっついて団子のように靴裏についてしまう。数歩歩くたびに団子のようになった雪を落としながら進む。凍っているのも疲れるが、この湿った重い雪も歩きにくいことに変わりない。団子雪と格闘しながらパワーポイントまで登る。ここにはノウサギの足跡が縦横に走っているが、ずいぶん前に走った跡らしくぼんやりとしている。

photo:地附山山頂,着替え中,JR車両センター・地附山
20211228 地附山山頂 733m

ゆっくり登ってきたが、雪道にちょっぴり緊張しているせいもあり、夫は汗をかいたという。ここでシャツを着替えることにした。上半身裸になった夫を見て「わぁー寒そう」と声が出る。本人は汗を拭くのに夢中であまり感じないみたいだ。

着替えてさっぱりしてから山頂に向かう。

photo:天然のツリーだ・地附山
天然のツリーだ

晴れていれば山頂からは飯縄山や黒姫山、妙高山が綺麗に見えるのだが、今日は北の空が雲に覆われている。飯縄山の中腹しか見えない。長野は晴れて青空も広がってきたが、北はまだまだ雪が降っているのだろう。誰もいない山頂でしばらく周囲を眺めていたが、いつものお楽しみのJR車両センターを見下ろしに行ってみることにする。雪も多いし、山々の頂は雲に隠れているのであまり綺麗に見えないだろうと思っていたが、センターに並んでいる列車がたくさん見えた。隣で夫が解説してくれるが、右の耳から左の耳に消えていく。E217系とか聞いてもなんのことやら・・・だ。相模鉄道もあるよという。相模鉄道と聞けば、私にもイメージは湧く。神奈川に住んでいる頃乗った電車だ。改造や解体のために神奈川から長野まではるばる走ってきたのかと思うとなんだか感慨深い。


photo:雪化粧をした森,ツララ,五葉松,山漆・地附山
雪化粧をした森

目的の車両センターも見たので、帰ろうか。冬の間は地附山公園が閉鎖されているので来た道を引き返す。パワーポイントまで降りたら顔見知りの男性が登ってきた。

photo:どこもかしこも雪・地附山
どこもかしこも雪

「道をつけてくれてありがとう」と笑う。男性は、毎日地附山に登っているそうで、時々出会うと明るく挨拶を交わす。朗らかで、出会うとこちらの気持ちも明るくなるような人だ。今日も挨拶を交わして別れる。「また地附山で会えるように、元気でね」と言い合う。

いよいよ今年も終わり、新型コロナウィルスに苦しめられた年が2回り過ぎていく。新しい年は収束に向かいますようにと願いながら、雪の道を踏み締めていく。




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