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ブランド薬師の上は(くすり)山 689m(長野県)

2021年3月5日(金)


map ブランド薬師周辺

長野から飯綱高原や戸隠高原に向かうときにたびたび通る浅川のループ橋。その橋から見える崖の上のお堂はブランド薬師という。走る車の窓から見てとれるのはそこまで、見上げるような空中の岩の上に張り出したお堂を見上げるたびにいつか登ってみたいと思っていた。しかし、垂直に切り立っているような岩の上に行けるのだろうかとも思っていた。

photo ブランド薬師(八櫛神社)
ブランド薬師(八櫛神社)

長野の自然に詳しい方からここには整備された道があると教えていただいて、早速出かけることにした。夫曰く「朝散歩に行ってこよう」。


洗濯を干して、家を出たのは8時10分、薬師の鳥居の前に車を停めたのは8時20分、近い。ループ橋の真下なので、上から車が走る音が響いてくる。道の脇には浅川の流れが思ったより激しい。登山靴でなくても良いと思ったが、どんなところを歩くか分からないので、一応履き替える。

photo ループ橋の下に車を停める
ループ橋の下に車を停める

まず鳥居を潜る。石の階段がせり上がっている。とても急で、幅が狭い。昔の人の足は小さかったのかな。かなり急な斜面を道はジグザグに縫うように整備されていて歩きやすい。

photo 急な狭い階段を登る
急な狭い階段を登る

この参道は十三仏巡りの巡礼道にもなっていて、登っていく道の傍に石仏が祀られ、説明の看板も建てられている。私たちが登るのは表参道、石仏は山頂を越えて裏参道に下る道まで置かれているようだ。

photo 登山道からループ橋を見下ろす
登山道からループ橋を見下ろす

道は整備されているが、太いアカマツが倒れているのが痛々しい。小さくジグザグを繰り返すと下にループ橋が見える、圧巻だ。さらに何回か折り返して登ると目の前にブランド薬師が浮いている。大きな岩にへばりつくように建てられているが、床は半分宙に浮いている。

このブランド薬師(八櫛神社)は、なんと創建807年、少彦名命(すくなひこのみこと)が祭神だそうだが、では本尊の薬師如来は・・・明治まで神仏混在が続いていたらしい。

photo 懸崖造りのブランド薬師
懸崖造りのブランド薬師

photo ブランド薬師、床下は空間
ブランド薬師、床下は空間

懸崖造りといわれる恐ろしい作りのお堂はやはり何度も崩落したようだ。最終的に大改修が行われ今のお堂になったのは昭和36年のことだそう。

photo 3番 文殊菩薩立像
3番 文殊菩薩立像

面白いのは、垂直の岩に穴を開け、三本の材木を打ち込み、そこにお堂を建てたためブランと揺れるからブラン堂と呼ばれるようになったという、ちょっと眉唾の話。そして、これから登るのが薬(くすり)山という珍しい名前、この名前はお薬師様からきているのだろうか。

photo 1〜7番の仏像
7番はお堂の中に(3番は別写真)

ブランド薬師を出ると目の前に四阿が見えてくる。四阿の辺りは少し広くなり、東南に展望がひらけている。ここは休むのに気持ちが良さそうだが、まだ山頂までの道が続いている。先へ行ってみよう。この四阿からは登山道というより散策道で、狭いながらも舗装がされている。落ち葉が積もった広い道、石仏を数えながら歩いていく。斜面にはダンコウバイの枝がかぶさり、黄色い蕾が冬芽を押し開くように膨らんでいる。もう少しで山は一斉に黄色く染まりそうだ。足元には落ち葉に混ざって木の実が転がっている。松ぼっくりやヤマハゼの実、杉の実、リスもいるのかパックリ割れたクルミの殻も転がっている。そんな中にツチグリも隠れていた。もう胞子を飛ばした後だろうから少し凹んでいるが、雪の下になって冬を越えたのに綺麗な形を保っている。

photo ツチグリ,サルノコシカケ,ダンコウバイ,ハリブキ
森の中で


photo 十三仏石像(8番〜13番)
十三仏石像(8番から)

photo 小鳥がたくさん(右シジュウカラ)
小鳥がたくさん(右シジュウカラ)

緩やかな稜線の道を歩いていくと十番の阿弥陀如来像が祀ってある。この辺りが一番高そうだねと話しながら周囲を歩いてみるが、山頂標識のようなものは見当たらない。もう少し先へ行ってみよう。笹が増えてきて、道は下り坂になっていく。木立の向こうに飯縄山が大きい。十三番の虚空蔵菩薩像を越えると一気に下っていく。もう、裏参道の登山口が近かった。裏参道の登山口にも鳥居が立っていて、3体の馬頭観音像があった。登り始めてちょうど1時間、のんびりコースだ。木の枝に小鳥がたくさん集まっている。嘴が大きくて黄色いが、逆光でわからない、アトリかな。ん?羽の一部が黄色いようだ、カワラヒワか。シジュウカラやエナガはわかるようになったけれど、私にはまだまだ小さな鳥影を特定するのは難しい。

photo 薬(くすり)山689mの阿弥陀如来像
薬(くすり)山 689m
の阿弥陀如来像

裏参道を出て沢を渡り浅川ダムの対岸に至るコースもあるようだが、今日は朝散歩の気分で来たので、そのコースはまたの機会にして、私たちは来た道を引き返した。今度は裏参道を登り、やはりここが山頂だよねと、阿弥陀如来様と一緒に記念撮影をしてから四阿に下った。

photo 四阿でおやつタイム
四阿でおやつタイム

朝は風が冷たかったけれど、ちょうどお日様が顔を出し、ポカポカと温かい。善光寺平を見下ろしながらおやつを食べる最高に優雅な気分。

photo 岩を削ったお堂
岩を削ったお堂

ゆっくり山の空気を堪能してから、もう一度ブランド薬師にお参りする。ここからも展望が得られる。菅平高原が目の前に見える。私たちが裏山と親しんでいる地附山や大峰山より標高が低いのだろう、そして方向も異なるからか、浅間山、湯ノ丸山、烏帽子岳などの頂上部がいつもより小さく見えている。

展望も楽しみ、山の空気も楽しんだ、さぁ帰ろう。

少し買い物をして家に着いたのは11時、雲が出てきたと思っているうちに雨になってしまった。雨粒に当たられなくてよかったね。

photo 善光寺平の向こうに菅平
善光寺平の向こうに菅平

photo ブランド薬師から遠くに浅間方面
ブランド薬師から遠くに浅間方面




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