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奥深い秩父 両神山 1723m(埼玉県)

2005年4月30日(土) 2021.1記 


地図 両神山周辺

冬籠りをしていると春の花が待ち通しい。あの山の花も綺麗だった、この山にもまた見に行きたいと話が弾む。仕事が忙しかった頃は、夏休み以外には5月のゴールデンウィークが山登りのチャンスだった。そして、ちょうど花の咲き始める季節でもある。秩父には春一番に咲くセツブンソウやザゼンソウを見に出かけたことがあるが、車の渋滞に巻き込まれたこともあってか、山が深いという印象だった。

photo 武甲山をバックに芝桜の丘で
武甲山をバックに芝桜の丘で

それで、両神山(りょうかみさん)に登る時も、前日に近くの宿に泊まることにした。まだ圏央道がつながっていなかったので、八王子から滝山街道を走り、あきるのICから圏央道に入った。しかし目的地は秩父なので、すぐ入間ICで降りて、後は国道299号をひた走った。ホテルに入ったのは夕方の5時、家を出てから3時間強、なかなか遠かった。

足慣らしも兼ね、すぐ近くにある芝桜の丘羊山公園を散策することにした。武甲山の懐に広く植えられた芝桜は、今を盛りと咲き競っていた。公園内を散策して花を楽しんだ後、秩父仲見世通りを見て歩き、夕食の買い物をしてホテルに戻った。明日は山登りだ、今日はゆっくり休もうと、少し早めに布団に潜り込んだ。

地図 両神山


photo さぁ、出発
さぁ、出発

photo 新緑が眩しい登山道
新緑が眩しい登山道

翌朝6時過ぎにホテルを出る。車で1時間ほど走って両神村(2005年10月に小鹿野町と合併、小鹿野町となった)日向大谷の駐車場に到着、靴を履き替えて歩き始める。森の緑が美しい。新緑の柔らかい緑が揺れている。

薄川沿いの道を登っていく。七滝沢で木製の橋を渡る、いよいよ山に分け入るという気持ちが深まる。小さな鎖場や木の根を越え、1時間ほど歩いたところで朝ごはんを食べる。春の花、スプリングエフェメラルと呼ばれる可憐な花々が咲き乱れている。

photo ニリンソウの大群落が続く
ニリンソウの大群落が続く

photo ニリンソウの大群落
ニリンソウの大群落


朝ごはんを食べてさらに1時間ほどで、八海山下の河原に出る。この辺りの道はどこまでもニリンソウの大群落に囲まれている。また色とりどりの花も多い。何種類ものスミレ、ヒイラギソウが目に入ってくる。ハシリドコロは毒草だが、釣鐘形で可愛い。ムラサキケマンも毒草だ。キノコの毒は有名だが、山の草にも毒を含むものは多い。トリカブトはあまりにも有名だが、この季節はまだ新芽だ。ニリンソウの新芽はお浸しなどにして食べられるが、トリカブトの葉が似ているので、稀に間違えてしまうというニュースを聞く。山に咲くものは採らずに見るだけにすれば間違いもないだろう。ニリンソウの大群落は、斜面一面が白いカーテンのよう。木の色が濃くなってそろそろ終わりかなと思うが、カーブして崖を回り込むと再び白い世界が開ける。何度驚きと喜びの声を上げただろう。

森を彩る花々

スプリングエフェメラル

ニリンソウはもちろんだが、私の大好きなカンアオイの仲間フタバアオイが小さな花をたくさんぶら下げているのも嬉しい。沢沿いではネコノメソウの仲間にもたくさん会えた。ハナネコノメはそろそろおしまいになっていたが、コガネネコノメとヨゴレネコノメは今を盛りに小さな花を開いていた。

春の花々


さて、弘法の井戸でチョロチョロと流れる冷たい水を飲んでもうひと頑張り。清滝小屋に着いた時には、さらに1時間以上経過していた。ここまで来れば半分以上とは言うものの、やっぱり奥深い。

photo 両神神社本院
両神神社本院

photo 鎖場も楽しい
鎖場も楽しい

少し人がいたけれど小屋では休まず、登り始める。両神神社の本院前で頭を下げ、細い尾根を頑張る。ゴツゴツした岩場が続き、鎖場もあるが、恐怖に足が竦むような急峻な岩場ではない。ゴッツリと、でっかい感じ。

photo 鎖場をこえて山頂へ(右上三角点)
鎖場をこえて山頂へ(右上三角点)

岩場を楽しみながら歩き、ついに山頂に到着。12時40分、両神山1723mの頂を踏む。山頂は狭いけれど、山頂下にベンチがあったので、そこでおにぎりを食べながらゆっくり山々の風景を眺める。晴れていれば富士山も見えるそうだが、遠霞みの空で見えなかった。山頂のアカヤシオがピンクの花びらを開き始めている。満開の頃にはたくさんの人が訪れるそうだ。

30分くらい遊んでいただろうか、ついに気持ち良い山頂にサヨナラをする。1時15分、来た道を引き返すことにする。

photo アカヤシオ咲く山頂で
アカヤシオ咲く山頂で

photo 山頂を振り返り、沢で遊び・・・
山頂を振り返り、沢で遊び・・・


両神神社で無事行ってきましたと挨拶し、清滝小屋で10分ほど休んだけれど、飛ばして降りていった。途中ニリンソウの大群落に癒されながらどんどん歩く。山頂を振り返ったり、沢の大岩の上で遊んだりしながら、3時間ほどで麓の両神荘に到着。

photo ヤマブキの黄色に癒されて
ヤマブキの黄色に癒されて

photo 歩いてきた峰を振り返る
歩いてきた峰を振り返る

帰りは一つ奥の狭山日高ICから圏央道に乗った。国道299号をひたすら走ったという記憶がある。やっぱり秩父の山は奥深い。 家に着いたのは夜の9時、真っ暗だった。




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