伊勢社への山道から 2021.1.20・クリックで拡大
今冬の雪は例年より早かった。暮れの12月半ばにドンと降り、正月三が日もポツポツ降り続いた。庭の雪が減ったり増えたりしながらも、消えることなく白いままだ。そんな中、青空が見えたので、伊勢社から大峰沢に遊んできた。以前は大峰山に登る時は伊勢社への急な山道をジグザグに登ったものだが、道が荒れてからしばらく歩いていなかった。先日雪に埋もれたこの道を通ってみたら、小鳥が多く、見晴らしも良くて楽しめた。そこでその後大峰山へ登る時に何度か通っている。今日(1月20日)は見晴らしが良さそうだが、昨日の雪が積もっているだろう。道に凍った雪が溶け始める時間を見計らって家を出た。
伊勢社は地元の鎮守の神様、お祭りなども催されるらしいが、昨年はコロナ騒ぎで、色々なイベントが中止になったり縮小して行われたりしたようだ。
私たちが訪れる時にはいつも誰もいない。小鳥の声が響いているだけの見晴らし台だ。その見晴らしの良い空に大きなキリの木が枝を広げている。小鳥の遊び場になっている大木だ。私たちはキリの紫の花が大好きだけれど、今はもちろん丸い実がついている。
伊勢社にお参りしてから、さらに大峰沢に足を伸ばしてみた。夫は朝散歩などで歩いたことがあったらしいが、私は初めて。草が茂ると歩けなくなるような藪の細い山道も、雪が覆っている間は歩くことができる。ヤブランの実が雪の下から顔を覗かせている。シロヤマブキの黒い実が四つ仲良くくっついて揺れている。大峰沢も、隣の湯福川もこの斜面を流れて市街地へ降りていくが、大峰山を登っても、乾いた沢しか見られない。豪雨の後だけ水音がするが、あそこが源流だろうか。
一昨日(1月18日)も伊勢社を通って物見岩から登ってきた。物見岩から登る大峰山の登山道は、左下に深い沢を見下ろしながら歩いて、途中の源頭らしいところで左に渡り山頂までの斜面にとりつく。ソヨゴやネズミサシが冬でも青々とした葉をつけている森に雪が積もると、宝石のように輝く。大峰山はアカマツの森が多く、松茸も採れるらしい(ハイカーはその季節、遊歩道以外の入山禁止)が、最近のアカマツの虫害は凄いのでどうなんだろう。アカマツが少なくなった森の空は開けている。葉を落とした広葉樹の枝に雪が乗るとまるで満開の桜のようだけれど、緑の葉に遊ぶ雪も面白いと思う。
若い頃の冬はスキーに出かけることが多かったが、今年は一番近い飯綱高原スキー場が閉鎖になり、コロナ感染の不安もあり、スキーに行こうという意気込みが湧いてこない。北からのおまけのような雪も多いので、雪かきや、家周りの雪消しで体を動かして遊んでいる。とは言うものの、家に篭っているだけではつまらないので、少し青空が見えると勇んで裏山へ出かけ、雪を踏み、足跡に滑りしながらの山歩きを楽しんでくることになる。
冬になると、小鳥の姿が見えやすくなるから花の季節とは違う楽しみになる。シジュウカラの綺麗な緑はこの季節特に美しい。エナガのピンクもよく目立つ。先日地附山に登った時にはウソが何羽も枝にとまって日向ぼっこをしていた。日頃なかなか見つけることができない小鳥に会える冬の山はいい。
そしてほとんど人に会わないのもいい。もっともこれは私の感想、寂しいと感じる人もいるかもしれない。誰もいない山頂でも、「来ましたよ〜」と、お山に挨拶をする。
上りはさほど滑らなかったので、ザックザック歩いてきたが、帰りは表面が溶けて滑りそう。持ってきた軽アイゼンをつけることにした。ほどよく積もっている雪の道を快適に飛ばして地附山との分岐まで15分。
そのまま一気に地附山に登る。北の空は雲が多い。飯縄山は見えているが、黒姫山、妙高山は雲の向こうに隠れている。東に目を転じると、斑尾山が見える。今日の日本海方面に被さる雲の層は薄いのかもしれない。
雪の上には野ウサギやイノシシの足跡が多い。イノシシは雪の薄いところを掘り返している。餌を探しているのだろう。いつも大峰山より地附山のエリアの方に足跡が多いように思えるが・・・。餌の多さ、森の構成樹の違いか、それとも私の観察の不味さでしかないのか。これからも足跡探しをしていきたい。雪の積もった季節の楽しみの一つではある。
山頂を後に、この日は再び大峰山との分岐に戻り、伊勢社を通って帰ることにした。雪の中に埋もれるような木の実や草のタネを見つけながら駆け下り、伊勢社でしばらく小鳥の声を聞いてから家に向かった。
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