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奥深い森の山道 御正体山 1682m(山梨県)

2008年11月2日(日) 2021.1記 


丹沢山塊の北を流れる道志川沿いに山地に深く入り、山の中を走る。まっすぐいけば山中湖に至る道志みちをしばらく走って右に折れ、さらに奥深い道を登る。この道は都留道志線と呼ばれ、都留市まで続いている。ジグザグと登ったところに道坂トンネルがあった。このトンネルの入り口が御正体山(みしょうたいやま)の道坂峠登山口。私たちが登った当時、御正体山の標高は1682m。国土地理院2014年点検・補正調査による改定で、現在は1681mとなっているそうだ。

地図 御正体山

道志山塊は奥深いという印象があり、標高はそれほど高くなくてもなかなかヒョイと出かけてこようかというふうにはいかなかった。公共交通機関が少ないというのもその奥深い印象に拍車をかけていた。やはり車で行くのがベストと、秋の御正体山に出かけた。


photo 登山口で
登山口で

photo 森の中の登山道
森の中の登山道

道志みちは長かった。首都圏にもとても近いところなのに、雛びた風情があって、旅の気分を掻き立てられる。道坂トンネルの入り口にある駐車場に着いた時は7時を少し回っていた。5時20分くらいに家(当時神奈川)を出たから2時間は走っていないが、足元を整えて歩き始めたのは7時20分、家を出てちょうど2時間ということになる。


photo 丹沢方面を見る
丹沢方面を見る

森の深い山という印象は間違いなく、暗い森をジグザクと登る。しばらく登ってようやく丹沢方面が見えるようになってくると嬉しい。 朝が早かったので森の中の気持ち良いところでおにぎりを食べる。朝ごはんだ。それからしばらくいくと一つのピーク岩下ノ丸1304mに到着、9時になるところだった。落ち葉で敷き詰められたような広場に印の石が並べられている。森の中なので、見晴らしはあまりない。

photo 岩下ノ丸 1304m
岩下ノ丸 1304m

photo 山を見ながら登る
山を見ながら登る

丹沢方面と、北の八ヶ岳方面の山並みを眺めながら黙々と歩く。秋の森は赤、黄、オレンジ色の落ち葉で賑やかだ。御正体山は混交林で、樹木が豊かなので、落ち葉も大小様々だ。私は大きなホオノキや掌のような形の葉を拾って歩いていた。


photo いろいろな落ち葉
いろいろな落ち葉

岩下ノ丸から2時間弱歩いて御正体山に到着。ベンチもある山頂には数組の登山者がくつろいでいた。山頂の草の上に持ってきた落ち葉を置いて写真を撮る。いろいろな色や形があるけれど、私には名前がわからないものが多い。木の葉や実もわかるようになるとさらに楽しくなるだろうな。

花はさすがにあまり咲いていないけれど、リンドウの濃い青が日光を求めて開いていて、美しい。オヤマボクチは茎の先に俵のような濃い紫の花をつけているが、もう寒さに縮んでいるようだ。マムシグサの実は真っ赤。アザミやトリカブトも最後の花をつけている。

photo リンドウの花やマムシグサの実など
森の彩り


山頂は広くもないが、かと言って窮屈な感じでもない。4、5人の登山者がそれぞれの場所で寛いでいる。私たちも座っておにぎりを食べる。歩き始めてから朝ごはんを食べたので、お昼には早い時間だったけれど、山歩きをしていると、少しずつ食べるのもいいものだ。秋の気配が気持ち良いが、見晴らしは良くない。淡い色合いの紅葉に囲まれている。


photo 御正体山1682m山頂で
御正体山 1682m山頂で

さて、と腰を上げる。11時20分、少し早いが歩き始める。ゆっくり途中の見晴らしを楽しみながら降ろう。

ちょうど正午頃には7合目、白井平分岐だったが、もちろんここでは食べない。山道は真っ直ぐ続いているのだが、登ったり降ったりが多い。さらに1時間アップダウンを繰り返して、岩下ノ丸に着く。

photo 大きな木
大きな木

登りにも見た大きな木が目を楽しませてくれ、ほっとさせてくれる。大木の姿はなぜか人を安心させてくれるのだが、森の中で暮らす動物たちも同じように感じているのだろうか。幹に守られ、食べ物の恵みを受け、きっとたくさんの生き物が、この傍で命を育んでいるのだろう。


photo 八ヶ岳方面を見る
八ヶ岳方面を見る

北の空を見ると木の枝越しに八ヶ岳や秩父の峰が浮かんでいる。山から山を望む、懐かしく思い出す山、いつか行ってみたい山、名を呼べる山が少しずつ増えてくると山歩きがより楽しくなるものだ。

photo 紅葉の残る森
紅葉の残る森

薄く残った紅葉を楽しみながら歩いていると草原に出る。晩秋の午後の日を受けて自分たちの影が足長おじさんになっている。面白いねと1枚パチリ。自然の中で影を撮るのはこの辺りから始まったのだったか、時々楽しんでいる。日の光との戯れだ。


photo 遠景と自分達の姿
遠く・・・近く・・・

降ってくると、それまでの広葉樹の森から針葉樹の森になる。最後は杉林だ。暗い杉の森を抜けると、愛車が見える。午後2時半、駐車場に帰り着く。靴を履き替え、出発。道の駅道志に寄ってみようかと入ってみたが、駐車場は満車。諦めよくUターンして道志みちを我が家に向かって走った。家に着いたのは夕方の5時。今日の山の話を肴にゆっくりできる時間だった。




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