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黒姫高原で遊ぶ 880m(長野県)

2020年9月11日(金) 


photo 黒姫高原コスモス園
黒姫高原コスモス園

友人夫婦がやって来た。善光寺で催される『おびんずる市』に出店する計画だったが、コロナ感染拡大を懸念して、今年の『おびんずる市』は全て中止になってしまった。催しは中止になったけれど、楽しみにしていた団欒の機会をも無くしてしまうのは残念と、山歩きの1日を楽しむことにした。

若い頃山歩きといえば単独行だった私は、最近は夫と二人で歩くことが多い。グループで歩くことがほとんどないのは、わがままな自分を自覚しているということだろう。家族以外では唯一、タノちゃん&キミちゃんと一緒に歩くことがある。仕事をやめてから発見した山歩きの形だ。

こういうのを馬が合ったというのだろうか。お互いに自分のペースを守って楽しみながら歩くことができると気づいたのだ。歳を重ねて、ガツガツ登ることはなくなった。目の前の自然の大きさに感動し、美味しい空気の中で美味しいおやつを食べ、ゆっくり自然を満喫してくる山歩き。そういう時間の楽しみ方が気持ちいい。その時交わす会話が気持ちいい。


map 黒姫高原周辺

さて、今回はどこへ行こうか。台風が通り過ぎても前線が停滞しているとかで、雲が多い天気予報が続いているが、私たちはその隙間を縫うように出かけようとしている。春にC.W.ニコルさん(1940-2020作家、環境保護活動家)が亡くなった。私たちは信濃町の食堂で2、3回ニコルさんを見かけたことがある。小さな気取らない食堂だ。きみちゃんはニコルさんが丹精した森に行ってみたいという。

『アファンの森』、一般の人の見学は行っていない。会員に対してのみ開かれていることを知らなかったそうだ。黒姫で開かれている追悼展覧会に行ってみようか。黒姫高原のコスモスも満開らしい。花を見ながら山道を歩き、黒姫童話館で童心に帰って、ニコルさんの追悼展を見てこよう。


photo 黒姫高原スキー場(深い霧)
黒姫高原スキー場(深い霧)

コスモス園が9時開園というデータを見つけて、間に合うように家を出る。道路は空いているので、9時少し前にコスモス園の駐車場についた。黒姫山の裾野に広がる高原は、冬にはスキーのゲレンデになるところだ。私たちが滑った時(20年も昔のこと)はガスが濃くて見晴らしがなかったが、晴れれば一面の雪景色が見渡せるはず。その向こうに野尻湖が光っているだろう。


娘と孫と一緒に訪れた時には青い景色が広がっていた。コスモスとダリアの花が満開の中、クワッドリフトに乗って望湖台(標高1030m)まで登った。少し歩くと見晴らしの良い小公園があり、孫がブランコに揺られて喜んでいた。たった5年前のことなのに、その孫はもう私たちを見下ろすほどの身長になった。

photo 黒姫高原望湖台
黒姫高原望湖台(2015.8.25)

photo お花がいっぱい
お花がいっぱい(2018.10.6)

photo リフトに乗って
リフトに乗って(2019.9.25)

その後も、コスモスの季節に何度か訪れている。8月の後半から10月の前半まで、友人や家族と一緒に歩くことが多かった。

次に訪れた時には、クワッドリフトは営業していなくて、もっと緩やかな傾斜のペアーリフトが動いていた。その後はいつ行ってもペアーリフトだった。コスモスが風に揺れる様を眺めながら自分たちも風に吹かれて何度リフトに乗っただろう。

photo 一面のコスモスと
一面のコスモスと(2018.8.25)

photo 黒姫高原コスモス園(2019.9.25)
黒姫高原コスモス園(2019.9.25)

コスモスの花は白かピンクだと思っていたけれどキバナコスモスも見事だ。オレンジ色もある。もちろん白とピンクの花も様々なバリエーションがあってゆっくり見ながら歩いていると楽しい。まだ2歳になったばかりの友人の子が、そっと花に触れていたのが忘れられない。

photo 花が近い
花が近い!

photo 黒姫高原コスモス園
ジャンケンゲームではありません


今回もこのリフトに乗ろうと出かけたのだが、なんと、営業は10時からという。スタッフの女性が「古い情報ですね」と言った後、「フリーゾーンに入れますよ」と教えてくれた。昨年は入場料を取られたコスモス園の左側が大きく開放されている。私たちは大喜びで花の中に入っていった。

斜面の向こうにまだ営業前のペアーリフトを見ながら花の中を登っていく。前線の影響か、雲は多いが、速い風に送られて走っていく。雲の切れ間から黒姫山が顔を出すと、「お〜」と声を上げる。10時前の高原を歩く人は少ない。ゆっくり登っていくうちにリフトの終着点と同じくらいの高さになっている。コスモスの花の向こうに斑尾山、袴岳が見える。その足元に青く光る湖面は野尻湖。目をあげれば遠くは鍋倉山、もっと霞んで米山も見える。

photo 木登り
木登り

さらによく見えるだろうかと公園の中央にある展望台に行ってみる。太い木を中心に据えて作られた展望台からは同じ景色。もっと高いところはどうかな・・・と、タノちゃんが木登り。「危ないわよ」と叫ぶのはキミちゃん、写真を撮るのは私、いつものパターンに笑い声。


photo 背景妙高山,黒姫山の懐に立つ2歳の男の子
山の懐に立つ(2018.10.6)

photo 黒姫山
黒姫山

花を堪能したので、童話館に行ってみる。駐車場に車を停めて童話館に向かって歩いていくと、目の前に黒姫山が大きく見える。妙高山はまだ少し雲をかぶっている。前に来た時、この景色の中で2歳の男の子がとてもいい顔で立っていたことを思い出す。自然の懐に抱かれると心が解き放されるのは、大人も子供も同じかもしれない。


photo 黒姫童話館いわさきちひろ山荘
黒姫童話館いわさきちひろ山荘

コロナ感染予防のために絵本を読むコーナーは縮小されているが、併設されているいわさきちひろさん(画家、絵本作家1918-1974)が暮らしたという山荘を訪ねたり、ニコルさんの追悼展を見たりして、自然の大きさに浸った1日だった。




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