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雪雪雪、青田南葉山 949m(新潟県)

2020年5月8日(金)


新潟県上越の青田南葉山を歩いてきた。今年の冬は積雪量が少なかったので、雪解けを待って春の花々に会いに行こうと、少し早めの5月前半に出かけることにした。

朝7時に家を出て、信濃町から高田まで上信越自動車道を走る。上越高田インターを降りるとじきに「南葉高原キャンプ場」への道案内が出ていた。

道はすぐ細い山道になり、曲がりながらぐんぐん登っていく。谷沿いの道は、新緑が美しい木々の梢にフジの花が満開だ。崖側にはタニウツギがどこまでも続き、ピンクの壁になっている。ウワミズザクラやオオカメノキの白がアクセント、助手席の私は素晴らしい眺めを堪能していた。

どんどん登ってキャンプ場に到着。キャンプ場の施設は閉鎖中(コロナウィルス感染防止のため)だが、登山者用の駐車場が広い。端のほうに停めると、木々の下にトキワイカリソウやナガハシスミレの群落。すごい、私は大喜び。

小さな春の花

photoイワナシ
イワナシ

photoクロヒメカンアオイ
クロヒメカンアオイ

photoニシキゴロモ
ニシキゴロモ

photoオトメエンゴサク
オトメエンゴサク

photo2ギフチョウ舞う森
ギフチョウ舞う森

大きな期待を抱えて、靴を履き替えるのももどかしく歩き始める。キャンプ場へ登ると、頚城平野が見渡せる。正面には頸城三山(妙高山、火打山、焼山)、青い空気の底には水を張った田んぼも光っている。

キャンプ場をまっすぐ突っ切って登山口に着く。実はここで大きな間違いをしてしまったのだが、私たちは首をひねりながらも進んでしまった。歩き始めてすぐの十字路に看板があったので、明神峠へ行く道は右に続いている道だと思ってしまった。私たちが行こうと思っていたのは左の一般的な木落し坂コース、そして帰りに降りてこようと思っていたのが右に折れる明神坂経由の明神沢コース。右に折れないでまっすぐ行けば良いと思って登り始めたが、実はこれが明神沢コースの始まりだった。行こうと思っていた木落し坂コースは左へ少し降ってから登山道に入るのだったが、それは後になって分かったこと。

photo3苗場山と東に見える山
苗場山と東に見える山

photo5登り始め
登り始め

周辺のカタクリは花が終わって実をつけているものが多かったが、ひらひらとギフチョウらしき蝶が舞っていて、蝶に誘われるようにどんどん歩いた。しばらく登るとカタクリの花がまだピンクに登山道を彩り、コミヤマカタバミの純白の絨毯も出迎え、スミレは何種類も花を咲かせている。

雪解けを待って咲く

photoコミヤマカタバミ
コミヤマカタバミ

photoキクザキイチゲ
キクザキイチゲ

photoショウジョウバカマ
ショウジョウバカマ

photoトキワイカリソウ
トキワイカリソウ

スミレに会う

photoスミレサイシン
スミレサイシン

photoシロバナスミレサイシン
シロバナスミレサイシン

photoオオバキスミレ
オオバキスミレ

photoナガハシスミレ
ナガハシスミレ

道は沢筋を進み、登ったり降りたりしながら美しい森の中を進んでいる。私たちは一般に登られているという、尾根コースを登るつもりだったから、沢が続くのはやっぱり変。しかし、小さな沢を何度か渡る頃には、地図を見ながら、「帰りに歩こうと思っていた道だと思うから、まぁいいか」と、どこまでも続く青空の下、まだ早い時間という気楽さで歩き進んだ。何よりも道々にシラネアオイ、サンカヨウがたくさん顔を見せてくれたのが嬉しく、もっともっとと楽しみながら進んでいった。

シラネアオイ

photoシラネアオイ

photoシラネアオイ

photoシラネアオイ

photoシラネアオイ

サンカヨウ

photoサンカヨウ

photoサンカヨウ

photoサンカヨウ

photoサンカヨウ

雪!大きな沢に雪渓が残っていて、その下がもう洞になっている。さて、ここはちょっと怖いぞ。ストックを使ったり、足で雪を叩いたりして、まだ硬いのを確認してから急いで渡る。うっかり雪渓を踏み抜いてしまったら沢に転落してしまうから要注意だ。

photo9いくつもの沢を渡る
いくつもの沢を渡る

無事に沢を渡り、また沢筋の崖の道を進む。「あ、見て。すごい、満開!」谷へ向かって細い水の流れがあり、その周辺にアズマシロカネソウがちょうど満開だ。小さな小さな花だけれど、薄緑にあずき色のドレスを着ているようだ。周りにはコシノチャルメルソウもたくさん咲き出している。沢コースならではの、花の競演。

アズマシロカネソウ

photoアズマシロカネソウ

photoアズマシロカネソウ

photoアズマシロカネソウ

photoアズマシロカネソウ

コシノチャルメルソウ

photoコシノチャルメルソウ

photoコシノチャルメルソウ

photoコシノチャルメルソウ

photoコシノチャルメルソウ

しかし沢コースはあまり人が歩いていないようで、崖に向かって斜面が崩れそうなところもあり、油断はできない。大きな沢を渡るとようやく尾根に取り付くブナ林の中に入った。ブナの新緑は森全体を染めるようだ。私は森の中に転がるカンアオイを見つけた。コシノカンアオイより小さい、なんという花だろう。キャンプ場の案内にクロヒメカンアオイと書いてあったのをこの時は知らなかった。

突然、夫が「休もう」と言う。「急に体が重くなってきた」。まずい。木の根本に座っておにぎりを食べる。塩煎餅も食べる。水分も飲む。少し休んだら、元気が戻ったようだ。よし、再び出発。ロープも用意してある急な登りをいくつか登っていくと明神峠についた。

photo12ブナ林
ブナ林

photo13おにぎりタイム
おにぎりタイム

photo14ブナの森を登って明神峠へ
ブナの森を登って明神峠へ

稜線にもオオイワカガミが一面に艶やかな葉を広げている。ふさふさの花は登るにつれ蕾になってきたけれど、ショウジョウバカマやトキワイカリソウは満開だ。チゴユリ、ニリンソウと花を数えながら登る。

登るにつれ左側に視界が開け、頸城平野が青白く沈んでいる。そしてそのさらに奥に、輝くようなブルーの日本海が今日は静かだ。

photo15日本海
日本海

photo16日本海が見える
日本海が見える

だが、のんびりしていたのはここまで。

眩い光の向こうに雪原が広がっていた。道は雪の中に消え、押し倒された木の幹が横に伸び、うっかり近くを歩くと踏み抜く。嬉しさと厄介さとで、ワイワイ言いながら雪の上を登っていく。道を探し、雪の中に潜りながら歩いていると、雪の多さを実感する。

もうずいぶん昔、新井スキー場(現アライマウンテンリゾート)に来たことがあった。青空が見えていたのに、あっという間に吹雪になり、上部の圧雪されていないコースは積もった雪に潜ってしまうくらいだった。上越の雪の凄さを実感した。

photo17吹雪の新井スキー場20011228
吹雪の新井スキー場 2001.12.28

思い出を話しながら雪と格闘して進む。目の前にようやく南葉山の丸い頂が姿を表す。かろうじて人が歩いたような足跡が消えかけて続いているので、それを頼りに歩く。だが雪が溶けてきているので、木の跳ね返りや足が潜ってしまう危険はまだ多く、安心はできない。

photo18雪,雪,雪
雪、雪、雪

なんとか山頂に到着。一面の雪の原。目の前に大きな妙高山、火打山がそびえている、すごい。来た甲斐があったと言うもの。駐車場で見かけた人がいるかと思ったが、無人。足跡も見えない。

photo19雪の山頂
山頂、どこもかしこも雪

photo20目の前に妙高山、火打山
目の前に妙高山、火打山

ここでゆっくりおやつを食べようと思っていたが、とんでもなかった。眩しい。見晴らしを楽しんで、記念撮影をして、腰を下ろせるところを目指して下ることにする。足跡も見えないので、下山路を探すのに苦労した。

photo21スキーのようにぐんぐん降る
スキーのようにぐんぐん降る

行けども、行けども雪が続く。夫はまるでスキーをするかのように飛ばして降りていく。ようやく雪が消えた七合目の展望台で大休憩をして、濡れた足を乾かしてから、木落とし坂コースを下る。ギフチョウがたくさん出迎えてくれた。カンアオイを食草とし、カタクリの蜜を吸う彼らには素敵な環境なのだろう。

photo22木落しコースを下る
木落しコースを下る

見上げればタムシバが白くひろがり、足元にはオオイワカガミやカタクリの群落、花々の饗宴の中を降る足は疲れているが、気分は爽快。

濃淡色々オオイワカガミ

photoオオイワカガミ

photoオオイワカガミ

photoオオイワカガミ

photoオオイワカガミ

イワウチワに会いたいと思い、弟に聞くと「どこにでも咲いてるよ」と一言。新潟の里山に行けば会えるだろうと、妙高を越えてきたのだが、残念ながら今回は会えなかった。

なかなか会えなかった他の花々や蝶には会えたのに、皮肉なものだ。まぁ、次のお楽しみが残って良いと考えることにしよう。

木の花、野の花

photoハウチワカエデ
ハウチワカエデ

photoタムシバ
タムシバ

photoエンレイソウ
エンレイソウ

photoヒロハテンナンショウ
ヒロハテンナンショウ




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