長野市にある白鳥バレエ学園が創立60周年を迎え、二日間に渡り記念公演が行なわれた。一日目は発表会形式で「戸隠物語」他いくつかの演目が披露され、二日目は「ドン・キホーテ」全幕。主演は学園出身の二山治雄さんと、ゲストで東京バレエ団の秋山瑛さん。
弾けるようなキトリと、街の人気者バジルの物語が展開していく。何度も見た「ドン・キホーテ」だが、この二人の演技は素晴らしかった。軽やかでスピード感があり、そして美しい。アメリカンバレエシアターでプリンシパルだったシオマラ・レイエスさん等が振付されたそうだが、動きがシンプルでわかりやすい。
周りを固めるのは学園出身で、現在国内外で活躍されているダンサーたち。主要な役を現役のダンサーが踊り、コールド部分は学園の生徒さんたち。まだ3歳くらいだろうか、ようやくシューズを履いて歩いているような子供達から、明日はプロの舞台に立ちたいと思っているだろう中高生まで、賑やかに舞台が進む。
主催の塚田たまゑ先生の指導力は素晴らしいと思う。この学園で育ち、世界に羽ばたいていくダンサーたちがこれほどいるのだ。生徒さんたちは、先輩の踊りを目の当たりにして夢を膨らませるのだろう。
芸術は弛まない努力と精神力の上に築かれる。透き通ったようなシャープで、かつ温かい主演の二人だけでなく、ダンサーたちのこれからの活躍も期待させられる公演だった。
そして一番心に残るのは1日目の「戸隠物語」のハイライト。舞台下手から登場した天照大御神、まさに輝くようなたまゑ先生の存在感に圧倒された。どうぞこれからもお元気でダンサーの卵たちの行方を照らし続けていただきたい。